Interview

.efiLevol 1/3


2006年4月、ディレクター阿久津誠治氏、デザイナー太田泰介氏、飛世拓哉氏の3人によりスタートしたブランド“.efiLevol”。
2010年3月にはプロダクトライン“CLOTH”を展開。
メンズのベーシックなスタイルに彼らの個性が反映され、その世界観を崩さないインスタレーション形式でのコレクション発表は、完成度が高く、そして更に進化し続けている。
今回はデザイナーの1人、飛世拓哉氏に過去、現在、未来について話を聞いてみた。

―簡単なプロフィールを教えてください

1981年生まれ。文化服装学院を卒業し、ロンドンに留学してセントマーチンズで学び、帰国してブランドを立ち上げたのが2006年ですね。それで今に至ります。

―セントマーチンズは卒業しているのですか

いや、卒業してないですね。BAの一年生しかいっていません。神戸ファッションコンテスト(2003年)で優勝して行ったんですが、一年分しか学費を出 してくれないんですよ。それで二年目行く時になったら当時は学費が凄く高くて。それでロンドンで色々やりながら生活をして、ビザがきれる頃丁度ブランド を立ち上げると言う話を頂いたんです。

―セントマーチンズでは何を勉強されていたのですか

レディースのファッションデザインです。だから今やってることとは違うんですけど。

―神戸ファッションコンテストに出した作品はどんなモノだったんですか

かなり真っ黒な作品で、どっちかと言えば本当、見方的には日本的なデザイン。それこそギャルソンさんなどからの影響がかなり見られると思います。

―学生時代はそういった感じのモノを作っていたのですか

文化の二年生位からそっち系の服作りになってきました。

―日本に帰って来られてからすぐに3人でブランドを立ち上げられたんですがその経緯を教えてください

阿久津が表参道の方でセレクトショップの店長兼バイヤーをしていたんです。そこのお客さんの友人として太田を紹介されたんです。阿久津が丁度その時ブラ ンドを立ち上げようと思っていたらしく太田に「一緒にやる?」という話をしていたんです。じゃぁもう一人会わせたい人がいるというので自分がその時紹介されて3人でやる事になったんです。

―今はディレクションをされているみたいですが阿久津さんもデザイナ-になりたかったという事ですか

阿久津もデザインには凄く興味がある。でも、元から3人で色々やっていこうという話だったので、誰がメインのデザインとかそうゆうのではなく、一つの物に3人でアイディアを出し合っていって、コレクションに作り上げるようになったんです。

―毎シーズンのテーマやコンセプトも3人で決めるんですか

3人で決めますね。コレクションを考える初めの方で、最近何が気になるかと言い合います。それからコンセプトやテーマにするのであれば「こういうような考え方で表現できるよね」と作り方をします。最初に枠を作ってからどんどん中に入っていくような。

―デザイナーが二人居ますが、デザインのインスピレーション源というのは一緒なのですか。それともそれぞれが違う所でインスピレーションを受けているのですか

それぞれ違いますね。.efiLevolは3人でやっているのですが3人が3人被る部分はあるのですが、好きな物が全く違ったり、好みの物も違ったりするので、逆にそれぞれの好きな部分、「こうゆうのが良いんじゃないか。」というモノを持って来て、「あっ、それかっこいいね。でもそれもっとこうやったら格好良くなるんじゃないの」という話し合いをする。元の出てくる部分がそれぞれバラバラなので最終的にデザインのディレクションを阿久津がしてそれを一本にまとめるんです。

―デザインの方にも阿久津さんの意見も入って来るということですか

入ってきますね。

―2010A/Wコレクションについて教えて下さい。あのコレクションはテーマはないのですか

テーマはありません。
始める前にお互いに「こうゆうのがいいね」とか「最近こうゆうのが気になる」とか話しを出し合っていてそれで白が気になっていたんです。自分は特に雪の写真集の雪の結晶が凄く気になっていて、そうゆうところから白とか透明な感覚、あと自分の中なのですけれども、自分の好きな曲があって、その男と女との掛け合いの曲の、男と女の人達が着る服みたいなモノをイメージして作った部分もあります。白の透明感とその曲のイメージですね。

―だから今回レディースが含まれていたのですか

そうですね。

―前回も今回もレディースが含まれていますが、レディースとしてだけの別枠で展開していく予定はあるのですか

そういうことではなく.efiLevolという一つのブランドの中で、レディースだけのデザインとかメンズだけのデザインとかではなくユニセックスで着られるデザインを意識しています。元々自分も太田の方もメンズを勉強していたわけではないので、作られる服というのが、すごく男臭い服ではない。なのでお店の方からも「このテイストでレディースの服が欲しい」ということを言われていたんです。自分達も元々レディースの勉強をしていたので、そういう発表を出来たらとは前々から思っていたので、それで、前シーズン位から、少しだけですけどそういう服をやらせてもらおうかなと。

―そもそもなぜメンズだったのでしょうか

ディレクターの阿久津が元々メンズの洋服屋をやっていたし、周りにメンズ畑の知り合いも多かったんです。それで、自分も太田もメンズを作ることになりました。自分達がレディースのデザインをしてきたからこそ、「メンズのデザインをしたらどうなるのだろう」とちょっと興味があってじゃあメンズのブランドを立ち上げてみようと。

―「CLOTH」についてお聞きします。なぜ別ラインを始めたのでしょうか

僕たちはアート的な物も好きで、ミュージアムショップが好きだったので「せっかく物を作っているのだからそうゆう場所に置いてもらえる様なものも作りたいね」と言っていたんです。それで去年の秋冬にCLOTHの原型みたいなのを作り、それをプレゼンしに行こうかという話で、友人からmethodの山田さんを紹介してもらいました。

―.efiLevolもCLOTHもパターンにこだわりがあると思うのですが、パターンもお2人で引いているのですか

そうですね。物の作り方は、例えばシャツだったら誰もが思い描くシャツの姿があると思うのですけど、それを真っ正面から捉えるのではなくて、他の視点から見たら面白い物が出来るのじゃないかというのでデザインしていくことが多いですね。それが.efiLevolのデザインの原型みたいなものですね。だから今回とか特にそうだったんですけど、特にテーマとかはなく、イメージさえまとまっていればという感じですね。

―飛世さんと以前お話したとき、絵を書く事が元々お好きと言う事を聞いていて、服も絵に描いたイメージを形にするという様に見受けられました

そうですね。

―太田さんも同じ感覚なのですか

太田の方はどちらかというと、ディテールから洋服の全体を作っていくタイプです。自分はイメージから。外枠から内に入って行くのと内の一点から外に行く。全く逆なんですよ。でもそれが上手い事合わさって、一つのブランドとして形になるんです。

―服を見ていると、ベーシックな物やワーク系の物が多いように思うのですがそこにイメージを落とし込むからという事でしょうか

そうですね。例えばモッズコートだったら、モッズコートをもうちょっとこういう風な視点で見て、こういう風なデザインを載せたらどうだろうとかで作ったりします。ベーシックなアイテムが元になっていて、それを.efiLevol的なフィルターを通してデザインしていくみたいな。

続く

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