Interview

.efiLevol 2/3

「普段着てる服もそこまで気にしているわけではないし多分皆よりもファッションにつぎ込む金っていうのはそこまで多くなかった。自己表現の媒体としてのファッションが昔から凄い好きだっただけで」

―2010A/Wのコレクションはインスピレーション源である雪の結晶の写真集を出されている方に直接コンタクトを取ったとお聞きしましたがどのようにコンタクトを取ったのですか

写真集に連絡先が載っていたので「東京に住んでいて、ファッションの仕事をしているのですけど、あなたの写真集をみつけて凄く感動したのですが、是非その写真を使って服を作らせて下さい」とメールしたんです。そうしたら喜んでくれて「是非使って下さいと」。

―工場とかはどうやって探されたんですか

工場とかは阿久津が知っているのも勿論あったのですが友人伝に教えてもらったのも大きいです。自分は海外行っている期間があったので、その間に友人は企業とかで働いていますよね。だから「ブランド立ち上げるなら紹介するよ」って。それで今の生産背景などは紹介してもらいました。

―.efiLevolは自分達が着たいモノをデザインしているのでしょうか

そうですね。それに近いかもしれないです。時には自分たちのコンセプトを伝える為の飛びのアイテム(ショーピース)みたいなものも作ったりしますが、基本的にはあまり着られない物は作らない様にしています。

―メンズをやるからにはやっぱリアルクローズじゃないとというのが大前提にありますよね。レディースより制限も多いですし

これといったらこれといった決まり事が凄く多いですよね。だからこそ逆にその中でどういじるかというのがブランドらしさにもなってくると思うし、逆に楽しい部分なのかなって。レディースだったら例えばドレスを全くゼロから形作っていってそれがドレスですと打ち出す事は出来ますけど、メンズのテーラードジャケットを作りますと言う時に全くゼロから作り出すのは無理ですよね。

―.efiLevolというブランド名は誰が付けたのですか

3人ですね。

―逆から読むとloveLife.ですが「愛」がテーマになっているということでしょうか

「ブランドネーム何しようか」という時に、それぞれキーワード的なモノを持ち寄ったんです。そうしたら3人ともその時に“愛”というのがあって。

―ではその“愛”とは例えばどうゆうところに反映されてるのでしょうか

.efiLevolのロゴマークみたいなのがあるんですけど、それはハートの一部が欠け落ちてる様な絵なんです。それは自分たち3人とも“愛”というテーマやキーワードを出したにも関わらず、「本当の愛の形って分からないよね」ってなったんです。だからロゴを欠けているハートのマークにして、「自分たちも本当の愛の形を探してます」という様な感じでやっています。
.efiLevolというブランドはloveLife.の逆さ読みで、それに気づいた人が“loveLife.”という言葉を発したり頭の中で発音すればその時に少なからずLOVEって言う言葉が頭の中にポンッて入って来ますよね。そうゆう事で愛について考えたり愛について思って考えてくれたらなって。

―洋服はベーシックな部分もあり、メンズウエアの形に添ってますが、ブランドのアプローチとしてはアートよりな部分もありますよね。それは阿久津さんの意向なんですか

それは3人ともそうですね。結局展示会はただ作った服を並べればそれでいいじゃないですか。それで成り立つものだし。だけど何かそれ以外プラス、どうせ服を作るんだったらその服に対してのコンセプトもあるので、それをまた服以外の部分でも表現していけたらなって。

―ファッションショーをやりたい気持ちもあるのですか

ファッションショーをやることも色々考えたりはしています。でもランウェイでモデルが歩いて音楽を流してっていう、そのフォーマットの中ではやりたくはなくて。いずれはやってみたいと思いますけどどういった形で発表するかっていうのもそうだしタイミングも重要ですよね。

―それはご自身がファッションショーが好きだからですか

ファッションショーが好きだからいうよりはショーという表現の中でどんな事が出来るかですね。服を作ってるものとしては一度はやってみたいと思うんですけど。

―これまでにショーをやったことはありますか

やった事はあります。学生の時やロンドン行った時、呼ばれてイタリアでファションショーをした事もあります。やっぱそうゆうのは凄く面白いとは思います。

―ロンドンに行って変わった部分はありますか。自分の作る物とか考え方とか

凄く大きく変わったという事はないんですけど、ロンドンに行った事で新しく自分の価値観というか美意識の中に加わったモノはいっぱいありますね。それこそロンドンで初めてリアルなヤングブリティッシュのアーティストとかの作品をみて「あっ、これで芸術って言って良いんだ」とか思いましたね。その潔さっていう感覚はあまり日本にはないなって思いました。ロンドンに行って芸術とかにはかなり触発された事かもしれない。その潔さっていうのも昔の自分の服作りにはあまり無かった事ですし。

―セントマーチンズはどうでしたか

凄く楽しかったです。日本(の学校)だったら日本人しかいないじゃないですか。あっち(ロンドン)だったら世界中の色んな国の人、もうファッションが凄い好きな人たちが集まって「俺が一番だ、俺が絶対一番になってやる!」って。勉強のしがいがありましたし発表のしがいもあった。教育のシステム自体も全然違いましたし。さっき言ってたみたいに、日本は服の作り方を教えるみたいな授業だったんですけど、あっちはデザインのコンセプトから自分がちゃんとリサーチして一本のデザインにあげるまでを重用視して勉強していく。そのやり方が凄い面白かったですね。1個のデザインをあげるのにそれこそ100個のリサーチをしてやっと1個になるみたいな。日本だとデザイン描いて先生に「これを作ります」といったら「じゃぁそれ作りなさい」みたいな感じでそれで終わっちゃいますよね。

―海外は自分で考える過程が中心ですからね。日本はもう答えが決まっちゃってるというか。事細かに何をやれ、何をやっちゃいけないとか決められすぎてる。考えられない人にはいいかもしれないけど、制限はしちゃう気がします

日本の学校って一個の服を作るまでにやるのって、一番最初にデザイン決定みたいなのがあって、それからはもうずっと縫製点検なんですよ。海外だと、とりあえずまずコンセプトを立てて、そのコンセプトからテーマを作っていき、実際にデザインをあげるまでが最後。デザインを決めるって言うのが多分最終の終着地点なのかなぁって。それで、デザインが決まったら服を作るという様な。全然行程が違いますよね。

―今作られている服もセントマで学んだ事が反映されているのですか

特にどうっていうのは自分の中ではあまりないのですが間違いなく反映されていると思います。テーマやコンセプトから考えていき、最終的に一つのコレクションにまとめる作業というのは海外で習って来た事に近いと思います。「こういうのが着たいです」と言うモノをただ並べても面白くないと思うし。

―ロンドンで「こういう美意識があるんだな」って発見したっておっしゃってたじゃないですか。その中でも特に影響された物とか事とか人物とかはいますか

ヤングブリティッシュアーティストと呼ばれる人達。ダミアンハーストとかですよね。ああゆう人達の今まで見たことあるモノをアートの作品にしてしまうところ。ぶっ飛んでる人達の作品とかドローイングとかは凄いなぁって。初めてみるなぁって。

―ファッションはいつから好きだったんですか

僕は中学の終わり位からですね。

―きっかけはなんですか

昔から絵を描いていて、将来画家になりたかったんです。それで、絵を描いていて、中学の時に自分が描いた油絵が評価をうけて海外の展示会とかまでに回っちゃって。それで普通に単純に喜べばいいんですけど、中学生ならではの葛藤みたいな感じで・・・。その絵自体は自分の中では完成せずに締め切りに間に合わなくて出しちゃったモノだったんです。それで、完成されていないのにこんな評価を受ける様な世界は嫌だみたいに思ってしまった。
そんな時にTVでコムデギャルソンとヨウジヤマモトのファッションショーをみて、日本人でも海外でこれだけ凄い評価される分野があるんだぁと思って。で、じゃぁファッションやろうって。

―では自分で着飾るというよりは純粋に洋服という分野に興味を持ったことがきっかけなんですね

そうですね。だから自分が普段着てる服とかもそこまで気にしているわけではないです。だから多分皆よりもファッションにつぎ込む金っていうのはそこまで多くなかった。自分の自己表現の媒体としてのファッションみたいなのが昔から凄い好きだっただけで。

-高校入ってからはもうずっとデザインしてたんですか

そうですね。だから高校決めるよりも先に文化服装学院に行く事を決めました。

―その時デザインしていたのはメンズなんですか

レディースです。

―初めて本格的にメンズの服を作ったのはいつ頃ですか

メンズの服は専門学校の時にちょこちょこっと作った位で、メンズのデザインをしているという感じではなかったです。だから本格的に始めたのは今のブランドを立ち上げてからです。

続く

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