Interview

STYLE BAND TOKYO TOMO × BO NINGEN TAIGEN

2007年夏、Tokyoパーティー・シーンに現れて以来、海外ゲストと国内最新の注目バンド達が共演、国内と海外インディシーンの架け橋 となり、音楽シーンを牽引してきたパーティー”STYLE BAND TOKYO”のオーガナイザーTOMO氏、2011年7月20日にはその集大成となるSTYLE BAND TOKYOコンピレーションアルバムをリリースし、イギリスを中心に日本でもシーンの注目を一身に浴びているジャパニーズバンドBO NINGENを招聘したツアーを開催するなど、“トウキョウ”発信で、全国、はたまた世界を視野に入れた“ジャパニーズ”のアイデンティティーを持った音楽を発掘、発信し続けるキーパーソンだ。

今回STYLE BAND TOKYOについてや、コンピレーションアルバムのエピソードなどについて、ちょうど来日中でコンピレーションにも参加しているBO NINGENのフロントマンTAIGEN氏にも急遽加わっていただきコンピレーションに関するエピソードなどを語っていただいた。



―今回、イベント名の冠のついたアルバムをリリースするまでとなった訳ですが、まずはSTYLE BAND TOKYOを始めるきっかけを少し教えていただけますか?

TOMO:イギリスから東京に来たときエンジニアとして、面白い新しいバンドを探ししていた時期が、ちょうどマイスペースジャパンが立ち上がった「マイスペース時代」が来た時期と同時期だったんですね。
それまでは大きな媒体経由でないと、表現する側が発表の場を持ちにくかったり注目されにくかった状況から、マイスペース経由で面白い、新しくて格好良いものを発信できるようになり、受け取る側もそれを発見できるようになってきた時期だったんですね。
マイスペースで見つけたかっこいいバンドを自分のマイスペースに追加していくうちに、だんだん色んな人からコメントの反響をもらうようになって、
そうしていくうちに、じゃあ、自分が見つけたかっこいいバンド同士を引き合わせてみたらどうだろうと思い、まずLillies and RemainsとPsysalia Psysalis Psycheを引き合わせてみたんですね。

バンドマン同士では「今度また一緒にやりましょう」っていう話にはなっていたものの、そのまま本人同士を放っておいたところで、まだ京都で活動していたLillies and RemainsとPsysalia Psysalis Psycheの共演するイベントが今後ちゃんと実現するのか?と思ったときに、じゃあ自分がやってみようと思ったのが動機のひとつですね。だからLillies and Remainsの存在はイベントをやるきっかけとしては大きいですね。

あと、ちょうどその時期東京のクラブシーンでは外国のバンドをゲストDJとして呼んだイベントとかバンドマンの内輪でやっているパーティーとかはよくあったけど、日本のシーンや音楽を発信しようというイベントがなかったので、それまではパーティーのオーガナイズの経験はなかったけども
その日本のシーンを発信してみようと思ったというのもありますね。

TAIGEN:日本のバンド同士がオーガナイズしているイベントはあっても、それだとどうしても結局内輪ノリになって顔ぶれやお客さんがいつも一緒になりがちで、限界が出てくるから、そこで第三者のオーガナイザーの存在があることで広がる部分は大きいですね。

TOMO:せっかく東京という皆が集まっている場所があるから、そこから発信しようと思ったタイミングと、マイスペースやSNSなどインターネットが発達して影響力を持ちだした時代背景もちょうどいいタイミングだったというのもありますね。

―今回、イベントの集大成となるようなコンピレーションアルバムを製作するにあたってのコンセプトやこだわりはどんなものですか?

TOMO:もともとスタイルバンドのコンセプトが「発信する」、「新しい発見ができる」ということだったので、以前からCDを作る際には“先駆け的なもの”を発信できる内容にしたいと思っていました。
製作にあたっては、実は自分では滅多にコンピを買わない人間だったので、だからこそ、どういうアルバムなら欲しいか、もし自分だったらどんなものが欲しいかな?と常に買う側の立場にたって考えました。
だから新曲が沢山あって、新しいバンドが沢山入っている物を作りたいというのがありましたね。

TAIGEN:コンピレーションアルバムに収録される曲は“エクスクルーシヴ”と言っているものであっても、実際は既にある曲のミックス違いで新曲扱いというものが2〜3曲あるかないか程度だったりするものが多いなかで、全部のバンドが新曲で構成されているコンピレーションアルバムはなかなかないと思いますね。あとは自分の好きなアーティストの曲でアーティストのアルバム収録曲と同じ曲があると買う側としては損した気分になるかもしれないけど、今回のように、全部新曲だとそれがないので、好きなアーティストが参加していることが買う動機だったとしても、他の良いアーティストを見つけることができると思いますね。

今回自分達が新曲を入れるという意味では、バンド側としては既にある曲のアレンジを出すよりも、自分たちで出すアルバムに収録されるものとは違う曲を提供するというところで、これをきっかけに自分達の曲を聴いてもらいたい気持ちがあると同時に、自分達のアルバムのものとは違うからこそ、自分達の別の一面を表現することにチャレンジできる部分もあったので、感謝しています。

―全て新曲というコンピレーションアルバムはとても珍しいと思いますが大変だったエピソードとかはありましたか?

TOMO:大変だったのはBO NINGENくらいですね(笑)
あ、大変なバンドありました。COMANECHIは実はもう1曲収録予定だったんですが、曲が間に合わなかったんですよ。

TAIGEN:実は自分たちもギリギリでした。(笑)音源を送る期限の当日、ベネチアであったビエンナーレの出演に向けて朝4時に出発しなくてはいけなくて。メンバーが横で寝ているところ、僕は出発予定時間の朝4時ギリギリまでミックスして、出る直前にファイル送信ボタンを押してなんとか音源を間に合わせることができたって感じでしたね。移動する車の中でエラーがないか確認したという。(笑)

TOMO:リリース時期に関してはバンドとのタイミングは良かったですね。特にBO NINGENやLillies and RemainsやMOJAはちょうどタイミング的に良かったです。

―バンドのチョイスにあたって全部TOMO氏が選曲されたんですか?また選ぶきっかけとかテーマとかコンセプトはあるのですか?

TOMO:相談にのってもらったりしたけど基本的には全部自分でチョイスしました。
海外のバンド(外国人のバンド)の参加も最初考えたんですが、日本のシーンにこだわりました。STYLE BAND TOKYOには新しい日本のシーンを発信したいというのがコンセプトの基盤にあるので。
だからテーマは「日本人」ですね、表面的な日本的な感じではなく、少し聴いただけでは日本人ぽいとは思わないかもしれないけども、グローバルな基準からみたときにも通用する日本なバンドを選びましたね。

TAIGEN:海外から捉えられているステレオタイプのチープな日本日本した感じや海外で受けているアングラ系でもない「日本」というのは新しいですね。

TOMO:あとはアルバムとして聴く場合、ただ新しい曲が寄せ集まっている1枚ではなく、トータルとして聴きやすいものにしたかったので、アルバム単位で聴いて評価できるようなものにしたかったですね。50分という長さや曲順は相当悩みましたが、こだわりがありますね。

―今後の展開とかやりたいことはありますか?今後の予定などを教えてください。

TOMO:コンピのリリースはこれからも継続してゆきたいですね。あとは忙しくて手が回ってないですが、海外にも発信して行けたら良いですね、海外でもSTYLE BAND TOKYOできたら楽しいですね。例えばウェアハウスパーティー的なものを海外で出来たら面白いなぁと思います。日本でも普通のライブハウスだけではなく、もっと面白いイベントはやっていきたいですね。

―今回始まっているリリースツアーでは地方でもSTYLE BAND TOKYOを開催していますが、反応はどうですか?これから行く大阪、京都、名古屋そしてツアーファイナルの東京に向けてメッセージをお願いします。

TOMO:地方の反応は皆さんすごく温かいです。仙台、盛岡とすごく盛り上がってくれました。「東京からきた奴ら」的な感じではなくてもっと受け入れてくれて。これから行く大阪、京都、名古屋などは遠くから来てくれる人もいるみたいです。

どのイベントでもそうかもしれないけど、面白いイベントというのはいつでも同じラインナップで出来るものではないし
特に自分たちのやっていることはその瞬間瞬間を切り抜いたものであって、ネットにもCDにも収まらない、現場でしか体感したり経験する事が出来ないものだと思っています。
だからツアーの公演の一つ一つがその時は全てで、特に地方には僕らのイベントやライヴに来たことのない人も沢山いると思うので、
そういう意味でも来てくれたお客さんには自分たちの音楽を通してなにかを経験して欲しいし、みんなの記憶に残るものになればいいなと思います。

Interview & Text:kyoko.h

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