Interview

ヌケメ 3/4

単純な話ですけど帽子に言葉をのせたのは、帽子自体がメディアになるんじゃないかと思ったからです

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―ヌケメを置いているお店や帽子を被っている人は高円寺界隈に多いと思うのですがなぜでしょうか

それはたまたま繋がりでそうなっただけで、自分で高円寺を狙って営業をしにいったわけではないんです。”光”のとこちゃんは元々友達だし、”はやとちり”の後藤さんはVEGEしょくどうのyoyoさんが紹介してくれて、僕も知っているお店だったし、是非、ということで委託してもらえることになりました。なので、別に高円寺だけにしたいわけではなくて、たまたまです。池尻大橋の”PUBLIC/IMAGE.3D”さんとか、代官山の”HARCOZA”さんとか、秋葉原の3331の中にある”Island “さんでも置いてもらってます。

―ヌケメ帽を被っている人を見かけることもあると思いますがそういう人を見られた時はどのような気持ちなんですか

僕自身はあんまりその被っている人に会うことはないんですけど、嬉し恥ずかしですね。ちょっと気恥ずかしいです。

―帽子はずっと続けるんですか

今のところまだ続けますね。

―ヌケメ帽の前にはブリーフを作っているんですよね

そうですね。ユニセックスブリーフです。ブリーフがあって、帽子を作って、Tシャツを作って。布団も作りました。全部、辺口さんの言葉か、もしくは写真が入っています。
単純な話ですけど帽子に言葉をのせたのは、帽子自体がメディアになるんじゃないかと思ったからです。ブリーフは写真を転写したんですが、それも同じですね。パンツに刺繍も考えたんですが、ちくちくしてしまうので。

―ヌケメ帽は徐々に知名度を上げていってると思いますが、簡単にコピーしようと思えば出来てしまいますよね

そうですね。元々そういうものなので。そのきわどい感じは今のとこ楽しんでますね。

―ブランドタグは作ろうとは思っているんですか

それは思っています。現状だと、帽子だけでなく服も全てタグも何もついていないんですけど。

―ではそれが誰のものかもわからないですよね

でも今の段階では、ヌケメの洋服を「ヌケメ」ということを知らずに買うってことはないと思います。

―ではなぜタグを作ろうと思ったのでしょうか。ブランドタグの必要性を感じたんですか

作っても良いかなと。あとは、タグを使ってできることがありそうな気がしたので。今年の11月目標で、CULTIVATEで洋服の展示をやろうと思っていて、そこではタグを付けようかなと。

―ついにファッションデザイナーとして動き出す訳ですね

いや、そういう事でもないんですけど。僕は自分をファッションの人だと思っているけど、ファッションていうか帽子の人でしょみたいな感じになってるし、カラオケのイメージも強いので、裏切る意味で、そろそろ洋服を発表したいなと思って。

―服をしばらく作ってこなかったのはなぜですか

と言っても去年(2010年)の4月には洋服の展示したんですけど、でもそれ以来ですね。作りたかったのは作りたかったんですけど、洋服を作ること自体があんまりしっくり来ない時期があって。だから作らなかったんです。
でも今後はもう少し洋服を作りたいですね。衣装とかもやってみたいですし。

―次はどういう服を作りたいと思っているのですか

地味な服です。次は辺口さんではなくて、他の作家さんと一緒にやってみようとしてます。

―ヌケメの服は自分の着たいモノでもあるのでしょうか

自分が着る、着ない、じゃない部分で作ってたりすることも多いんですが、今回は自分の着たいモノも作ろうと思ってます。

―服はもう作り出しているんですか

作り始めています。今回は地味な感じの展示にしようと思っています。洋服も、自分が着るモノとして考えた時には地味なものが好きで。見たい服、ってなるとまた全然違うんですけど。

―ヌケメはユニセックスブランドですか

ユニセックスとして作ることは多いですが、どちらかといえば雰囲気は少しメンズっぽいかもしれないです。でも商品を買ってくれるのは、たぶん女性のほうが多いですね。

―いつからヌケメ君なんですか

CET08の後からです。それまでは本名を名乗ってたんですけど普通すぎて名前を覚えてもらえなくて、「ヌケメです」って言ったらみんな覚えてくれて、それからなりゆきで。

―最近ではデュークヌケメを名乗っていますが

それはfacebookの登録時にファミリーネームとファーストネームをのせる必要があって、ヌ•ケメだとあまりにもなので、アメリカのDuke Nukemというシューティングゲームからとってデュークヌケメにしました。Duke Nukemで画像検索すると、シュワルツェ・ネッガーみたいなおっさんがいっぱい出てきますよ。そのゲームのキャラなんですけど。

―先ほども言われていたように帽子とともにカラオケのイメージも強いですがなぜカラオケを始めることになったんでしょうか

きっかけは、2010年4月にデザイナーの小田島等さん主催のイベントで「DJをやってほしい」というオファーがきたんですけど、僕はDJが出来ないので、「カラオケで良いですか」と返事をしたら「いいよ」と言ってもらえて、そこから始まってます。その後に快快(fai fai)の”スナック『しばはま』”というイベントで、お客さん参加型のカラオケのコーナーがあって、そこに客として参加したらみんなが面白がってくれて、その後何度か一緒にさせてもらったり。9月に原宿のROCKETで美術家の毛利悠子さん(真由美ママ)と一緒に1日だけ開店した”カラオケスナック香港”があって、翌年に開催された蓮沼執太さん企画”MUCIC TODAY ASAHI”にも”香港”で参加したりとか。

―最初はどんな曲を唄っていたんですか

最初からNeko jump(タイの双子デュオ)の「Poo」です。友達とカラオケに行った時にNeko jumpを歌ったら、自分の中で何か感触があって「これはいいな」と。カラオケって、自分に酔って歌う感じもなんか違うし、普通にメジャーな曲をただ歌っても、実は面白くなかったりもして。でもそういうカラオケのつまらなさとは別の、しかもカラオケ独自の面白さの感触がNeko jumpを歌った時にあって。自分が歌うこともしっくりくるし、これは変な感じ出てるなと。普通に歌って普通に楽しい、みたいな事もいっぱいあるんですけど、そのつまらなさと楽しさを分けてるのが何なのか、まだ言葉にできてないですね。

―カラオケもファッション表現の一つですか

そうは思ってはないですけど、でも無関係とは思っていないですね。ただイコールではないです。

―毎回Neko jumpを唄っているんですか

そうですね。結構歌ってますね。他にはCHAGE & ASKA, くるり、チャットモンチー、YUKI, 久保田利伸、オザケンとかも歌います。「お前がそれ歌うのかよ」っていうのが良い時と悪い時があるって事はよく考えます。歌がどうこうではなく、歌唱力のうまいヘタでもなく、この人が歌っているから良い歌に聞こえるって言うのがあるので。単純に歌い方が似ているとか、声が合っているとかそういうのもあるし、この人はこういう人柄だからこういう歌が合っている、とか。だから何でも良いということではなく、これは「歌えそうだ」とか「歌えない」とか、「あと30年経ったら歌えるかも」とか、結構考えますね。

―その点でNeko jumpはオールマイティだと

そうですね。Neko jumpはどんな場面でも割と歌いますね。
知らない曲だけどOKみたいな。あの曲だけは不思議な感触ですね。好きな曲だし。
あの曲を歌っていると「タイ語喋れるんですか?」とか「タイの人なんですか?」とかよく聞かれます。

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