Interview

STOF / bedsidedrama 谷田 浩 3/3

結局全く新しいものなんてないですし、要は組み合わせ方と見せ方の勝負なのでその中で如何に自分の表現にしていけるかが、デザイナーとしての力量だと思います

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―STOFは「ストーリー性のある服」をコンセプトにされていますがストーリーはどこから生まれますか?

うーん。あらゆるものが好きなので、その断片の集積だと思うんですが、海外によく行くことがあって、テーマはそこで生まれることが多いかもしれません。

―海外には色々行かれているのですか?

そこそこ行きますね。アフリカ、メキシコ、ロシア、中欧など色々と行っています。

―デザインする上で大事にしていることってありますか?

ユーモアを大切にしています。

―ユーモアを何か定義づけできますか?

んー、定義づけする必要もないと思っていて、もっと言えば説明する必要もないと思っています。あるがままに受け取ってくれればいいかなと。

―ではどうしてSTOFにはストーリー性を?

単純にそのほうがおもしろいからです。ほぼ全ての行動原理がおもしろければいいと思っているタイプの人間なんで。本当それだけです。 何かこのままでは何も考えがない人間に思われそうですけど、大丈夫ですか?

―大丈夫だと思いますが。

哲学のないただのあほな人と思われるのは困るかなと。笑

―哲学に興味はあるのですか?

いや特にないですね。ただ地味に悟りの境地に入っている節はあります。

―いつ頃から悟りの世界に?

仏陀があれだけ何も情報のない時代に30歳そこらで悟ったんだったら、皆明日悟ってもおかしくないのではないかと思います。

―何も無いから悟れたということでは?

何もない状態では悟ることは難しいと思いますよ。何もないことこそが悟りなんですから。

―「何やっても一緒だよ」という態度ですか?

そうですね。何をやっても一緒だからこそやる。日の当たる方に行く。そういう感じですね。

―ニヒリズムに陥るようなことはないですか?

ないです。自分よりポジティブな人にあったことがないくらいポジティブですね。

―「おもしろいこと」というのは「新しいこと」を意味しないのですか?

そのふたつはとても近いと思うのですが、古くからあるものを新しい形で見せることに興味があります。

―STOFはSHOPを出さないのですか?

計画はあります。こちらも近々change fashionのブログで発表しますね。といっても普通に洋服だけを売るような店にはならないと思います。そういうお店を自分でやりたいとは今は思わないので。

―ファッションデザイナーの概念とは何だと思いますか?

ある意味ぎりぎりの服を作る人を指す言葉でいいんじゃないかなと思います。誰もが着やすいような服を作っている人はファッションデザイナーという感じはしないですね。個人的にはぎりぎりの部分をせめていかないとおもしろくないと思います。結局全く新しいものなんてないですし、要は組み合わせ方と見せ方の勝負なのでその中で如何に自分の表現にしていけるかが、デザイナーとしての力量だと思います。

―ファッション業界に最近語ろうとする動きが出てきていますが、それについてどう思いますか?

歓迎こそしないけど、あっていいと思います。今は語ろうとしている人と語ろうとしない人たちの齟齬が見ていておもしろいという印象です。どうせやるならば建設的な議論ができたほうがいいんでしょうけど、目指しているものや立ち位置や状況で話し合っても意味がなくなってしまうことが多々あるので、その辺のルールや環境をしっかり整えないと難しいですね。

―STOFが批評されたらどう思いますか?

おもしろいですねそれ。どんなこと書いてくれるのか楽しみです。ショーやった後にでも是非書いてください。

―日本のファッション界に思うことはありますか?

暗いと不平をいうよりもすすんで楽しくやりましょうということですね。

―10年続くブランドが増えてくれればいいなと思いますがなぜ続かないのでしょうか?やはりメディアに原因があると思いますか?

どうですかね。メディアは関係あるのかな。現在メディアにどれだけの力があるのか、それすらわからないです。

―先ほども若手が出てこないとおっしゃっていましたが?

才能ある若手の不在もあるかもしれないけど、上の世代がずっとそこにいるということも大きく影響してますよね。特に雑誌が変わらない印象です。あたらしいスタイリストも出てこないし。そこをどう変えていくかが大事だと思います。今の業界は本気で若手を育てる気があまりないような印象を持ちますね。

―かなり構造的に硬直化してしまっているところはありますね。

構造の問題はもうどうしようもないほどありますね。まあ、暗いと不平をいうよりもすすんで楽しくやりましょうですから、web媒体がこの構造を変えてくれることを期待します。

Interview & Text:Fumiya Yoshinouchi, Masaki Takida

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