Interview

fleamadonna ~Love 95%, Hate 5% Almost love you~

韓国出身のデザイナーJei Kim氏が2007年にスタートしたファッションブランドfleamadonna。ビビッドな色使いやヴィンテージシックなアイテムが揃い、韓国のみならず、ニューヨークなど世界中で取り扱いが行なわれている国際ブランドだ。パンクでありながらキュートなスタイルを表現したアイテムは2009年に東京に進出し、原宿を中心に日本でも注目を集めている。今回はインタビューを通してデザイナーJei Kim氏が何を考え、何を思いながらデザインしているのか、表現の深層をよりよく理解するためにブランドやデザイナーのことなど様々伺った。

―Jei kimさんのデザイナーになるまでの経歴を教えて下さい

ソウルの大学でテキスタイルを専攻して、2年生から韓国のデザイナーズブランドでアシスタントとして2年間デザインを手がけました。その後、fleamadonnaをオープンして今になります。

―デザイナーになったきっかけはなんですか

幼年時代から、お父さんがパターン師だったので工場によく遊びに行ったりして、デザイナーになりたいという夢を持つようになりました。
高校生の時はよく海外に行く職業に努めたくて、キャビンアテンダントを目指して大学のホテル経営学科にエントリーしましたが、デザイナーになりたいという子供の時からの夢をあきらめられなくて結局ホテル経営学科をやめてテキスタイルを勉強しました。今はfleamadonnaのデザイナーとして活動しています。

―ブランド設立までの経緯について教えて下さい

特にブランドをやりたいとは思っていなくて、当時通っていた会社を辞めてしばらく休んでいた時に家で一人でデザインしたのをお父さんに手伝ってもらってサンプルを作ってみたのが10~15個くらい集められました。それらを友人と当時住んでいた家の前のアンティーク家具屋の前で写真を撮ってブログに載せた所、友達や周りの人たちを通じて少しずつ認知されるようになりました。その後ブランド名をつけ、ホームページを開設し、ネット上で少量で販売もするようになったのがこのブランドをはじめたきっかけです。

―あなたの作品に影響を与えたものはありますか

いつも周りからさがしています。音楽を聴いて感じたこと、PVとか普段会っている友達の服装、映画や本、雑誌などからインスピレーションされることが多いです。たまにはなりたいファッションアイコンを検索してみたり、fleamadonnaのテーマである‘女の子’についていっぱい考えています。

―fleamadonnaという名前の由来を教えて下さい

元々はPrima-donnaでFirst ladyという意味もあるし、オペラの主役女性歌手という意味もありますが、実はこういった意味よりMadonnaが好きだったのでMadonnaという単語を必ず入れたかったです。そうやって仮でつくった名前が思ったより反応がよかったのでずっと使うようになりました。

―2012S/S Collectionはご自身の経験に基づき、理想的なアーバンガールのガーリーとラブリーをテーマとしていますが、その経験について詳しくお聞かせください。

全体的なメッセージは“Love 95%, Hate 5% Almost love you”ですが、これは個人的な経験で、仕事でも恋愛でも友情関係でも常に考えているメッセージです。いつも楽しくて幸せでいい関係でも小さなことで妥協出来ず嫌になる時もある、けれどそれ以上に好きで愛しているという意味です。この文章をテーマにしてfleamadonna的に、プリントにしてストレートな文句でメッセージを伝える反面フェミニンで可愛いデザインで表現しました。

―毎回のコンセプトはどこから反映されていますか。

シーズンごとで少しかえていますが、いつもフェミニンをコンセプトとして反映するのを忘れないようにしています。

―韓国では少女時代、f(x)などの若手アーティストや女優が度々着用していますが、彼女たちがfleamadonnaを選ぶのは何故だと思いますか。

f(x)の場合は、fleamadonnaコレクションに基づいたの衣装で特別に制作しています。他でも韓国のアイドルはfleamadonnaとのテイストがよく合うと思うので多くのアイドル、またはアーティストにリーシングされています。そのつながりでアーティスト関連の仕事によく依頼されていて、、それは多分舞台でも普段使いもできる、独特だけどウェアラブルなものが多いからだと思います。つい先日、韓国のアイドルグループBrown eyed girlsのMiroのソロアルバムのビジュアルディレクターを任され、既存とは異なるfleamadonnaスタイルをミックスして新しいスタイルをみせようと努力しました。

―”女の子”という存在はご自身にとってどういったものですか。

ガールという存在は現在の私、過去、未来の私を含める単語だと思います。常にコレクションを具象するうえで欠かす事の出来ない単語です。ディテールを説明するのは難しいですが、ガールという単語とファッションが密接な関係にあると考えていて、また無限なアイデアを生み出せる一種のファッションであると思っています。

―東京と韓国、各都市の特徴は何でしょう。また東京とソウルのブランドの違いについて教えて頂けますか

メンズは詳しくないので、レディースだけにおいて話すと、東京のファッションシーンは新しくて新鮮なアイデアのデザインを試みるに最適な都市だと思います。大胆な柄や可愛らしいパターンのデザインも好む日本に比べて韓国はベーシックでシンプルなものをミックスマッチするのを好みます。最近のレディースウェアはベーシックで洗練されたデザインのブランドが注目されています。それには無彩色や暗い色味のブラック、グレー、ネイビーカラーを好んでいるのが一つの理由ではないかと思います。
ソウルと東京は少し違うテイストを好む傾向ですが、お互いが好むスタイルがミックスされるとちょうどいいのではと私は思っています。

―roomsLINKの韓国若手デザイナー達による“Seoul Planet”エリアのディレクションに関わっていますが、どのようにブランドをチョイスしているのでしょうか。また今後の展開について何か考えていることがあったら教えてください。

ブランドをチョイスする時は、知り合いのデザイナーや周りから紹介してもらったブランドのルックブック、ウェブサイトなどでのリサーチ後にコンタクトしています。ベーシックなテイストのブランドよりは個性があってお互いテイストがかぶっていないブランドをチョイスするように心がけています。まだ日本市場では韓国ブランドが浸透していないので、私を含めて初めて参加するブランドのデザイナーには、日本の市場のことや韓国市場と違う所について考えさせ、勉強してもらえるよいきっかけとなっています。今韓国にはたくさんのブランドがあり、優れたデザイナーも多くいるので、これからも独自の視点で韓国のブランドをたくさん紹介していきたいと思っています。

Jei Kim氏がディレクションする SEOUL PLANET at roomsLINK 03

―いま韓国の流行で注目していることはありますか。

韓国では以前よりインターナショナルブランドが一般消費者で流行っているようです。例えばメンズだと11AWのGIVENCHYやBALENCIAGA、PHENOMENONなどが若者の中で大きく流行しました。実際、最近は韓国のアイドルから流行が広がっていて、そのアイドルがインターナショナルブランドをよく着用しているので、一般消費者も好むようになりました。おととしはSPAブランドが注目されていましたが、去年からは制限的でファッションの表現力が強いものが注目されているようです。

―日本への印象を教えてください

日本に行く度にいつもいいエネルギーをもらっています。おいしい食べ物もすごく多いし、韓国に入っていない海外ブランドや日本のブランドをたくさん見ることが出来るのでいつもときめきます。日本人の誠実で礼儀正しい所も好きです。みんな親切です。人間関係はどのような状況でも親しくなると過ちを犯してしまうことがあると思いますが、日本人は親しくなってもお互い譲り合って配慮する性向なのでいい関係を長く維持出来ると思えます。

―日本のファッションについてどうお感じですか

日本のファッションは日本独自の個性があって、これからも色々知りたくて研究してみたいと思います。様々に発展していて、また韓国ファッションにも影響を及ぼす部分があると思うので普段日本の雑誌やウェブサイトもよくみています。

―今後どういったブランドに成長していきたいとお考えですか

fleamadonnaがターゲットにしている年代は私と同じく20代で、同世代の友達とほしいものや可愛いものを共有出来る力を持っているブランドにしていきたいです。同じタイムゾーンを一緒に共有していきたいです。これからもずっと。

Interview:Nozomi Kabu

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