Interview

tiit 岩田翔 滝澤裕史 「人と服と乖離」~日常の中でみられるファンタジー~ 1/2

tiit は2012 S/Sにデビューしたニューブランド。デザイナー岩田翔氏はTAROHORIUCHIを経てMIKIOSAKABEへ入社、デザインアシスタントとして7 シーズン経験を積み独立。滝澤裕史氏はセレクトショップBUCKBASEのディレクターを経てタートルストーンへ入社、自社ブランドOKIRAKUにて経 験を積み独立した。
tiitはリアルでウェアラブルな人の生活に馴染むアイテムのなかで少しだけ変化をつけた作品を提案する。
若干25歳の若手デザイナー率いる新しいブランドが何を考え、これからの展望をどう描いているのだろうか。

―ファッションに興味を持ったのはいつ頃ですか?

(岩田)丁度裏原がブームになった頃にファッションに興味を持ち始めました。渋谷から原宿にファッションが移り始めていた頃です。

―学校はどちらへ行かれたのですか?

(岩田)杉野服飾大学に行きました。そこで滝澤と同級生だったんです。当初はストリート上がりで、裏原の次の世代のHECTICとかが出始めていた頃です。モードではHussein Chalayanなどが騒がれ始めていました。学校では主にデザインの勉強をしていました。2年間は基礎を学び、3年生から選択で選ぶというカリキュラムで、物を作る一般的なコースを選択しました。

―その後TARO HORIUCHIのアシスタントをしたんですか?

(岩田)大学3年生のときにTARO HORIUCHIの3年生の時のコレクションが好きでアシスタントになりたくてネットで連絡先を探し、連絡したら会ってもらえることができました。採用して頂いたのですが、その時は諸事情から結局難しいということになったんです。その後太郎君(TARO HORIUCHIデザイナー)が卒業して東京でMIKIO SAKABE等と一緒に東京でデビューする(ヨーロッパで出会った新人たち展/2007年)ということになり、まだ学生だったのですが呼んで頂き、手伝うことになりました。そこで1年間働いていたのですが太郎君がパリに行くことになったんです。そこでどうしようかと悩んでいたときに以前から交流があって、作り方やデザインがおもしろいなと思っていたMIKIO SAKABEに入りたいと太郎君に相談をしてMIKIO SAKABEの面接を受けました。それでMIKIO SAKABEで働くことになりました。

―MIKIO SAKABEではどういった仕事を任されていたのですか?

(岩田)最初入って3~4ヶ月は上の人がいたのでその人たちの手伝いをしていました。MIKIO SAKABEの東京での2シーズン目から入り、商品生産の仕事をしているときに入社しました。そのときから7シーズン働いていました。

―デザインをされることもあったのですか?

(岩田)完全に1つのものをデザインするということはありません。生地は一緒に作ったりしましたけど。あとはトワルでシェイプの加減を一緒に見て意見をするということもありました。
MIKIO SAKABEとは関係のない仕事ですが、外注のスポーツウェアデザインの仕事もしていました。グラフィックやプリントのデザインなどもさせていただいて。スポーツウェアの仕事はおもしろかったです。流行とかもまた違いますし。

―スポーツウェアにも流行りというものはあるのですか?

(岩田)色が多いです。そういう流行だけは押さえてデザインしてくれと頼まれました。確かファッションより半年ほど流行が早いらしく、遠い未来を志向してデザインされているようです。

―スポーツウェアをデザインされる上で苦労されたことなどはありますか?

(岩田)最新技術を駆使したジップとかそういったものをイラストレータで提出しなければいけなかったのでそこが難しかったです。

―最初から2人でやることを決めていたのですか?

(岩田)いえ。仲は良かったのですが卒業して互いの仕事について特に干渉しあうという間柄ではありませんでした。生産関係の仕事をしているという情報くらいしか知りませんでした。

―そもそもtiitとはどういう意味なのでしょうか?

(岩田)2 人の頭文字を並べただけなのですが、そうした背景には元々ブランド名に意味を付けたくなかったということがありました。tiitという枠内だけでなく、 様々な方々と仕事をしていきたいと思っているんです。色々なブランドに携わったり、他の会社の案件も手がけたり、イベントを開いたり、そうしたプロジェク トにブランドの名前を関連付けて、ブランドとして大きくしていきたいという思いがあります。なので出来る限りイメージの付きにくい名前というところから着 想した結果、tiitという名前になりました。それにレディースブランドから始めるということになっていたので親しみやすくて音の響きが良いものにという感覚的に選んでいるところもあります。2人でずっとやっていくという決心的なことも含め、2人の頭文字から取ったということもありますが。

―ファーストシーズン2012 S/Sをやり終えてみていかがでしたか?

(岩田)大変だったということと、助けてもらった方々への感謝の思いで一杯、ということに尽きます。反省点はありますけど自分たちで形にできたということは大きかったです。経営面、ブランドビジネスについて事 前に勉強して準備万端で望む、という方法論もあると思いますがそれでは変化の激しい今という時代について行けないんじゃないかと思いますし、やらないと見 えてこないことというのがどうしてもあると思うので。準備ってゴールに向かうことを目的としていると思うのですが、僕たちはやりながら臨機応変に産業シス テムにも時代の流れにも対応していくことがこれからは大切だと思っていますし、その方が面白みもあると考えています。

―反省点というのは具体的にどんな点だったのでしょうか?

(岩田)ぎりぎりまでデザインを迷っていて、その影響で全ての作業が遅れてしまい、それによって展示会の営業(DM発送など)などもうまくできませんでした。服を作る以外にも書類の作成など事務的な作業が色々大変でした。

―今シーズンのコレクションはMIKIO SAKABEを辞める前からデザインを決めていたと聞きましたが。

(岩田)決めていたのですが直前で悩んでしまったんです。アジアのマーケットを意識したことで、決めていたデザインを練り直しスケジュールがタイトになってしまいました。日本のマーケットとアジアのマーケットには意外と違うところがあるんです。

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