Interview

PHEENY 秋元舞子 ~パタンナーズブランド“感性とパターン技術のハイブリッド”~ 2/2

感覚的なものを今は大事にしています。なんとなく好き、理由はわからないけどなんか好き。理由、意味を持たせないこともレディースでは大事にしていきたいです

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―理想の女性、女性像はありますか

Valentine fillol-cordierやDaria Werbowyというモデルがずっと好きです。二人とも男性的な要素をもっています。
でも一番は周りにいる友達、周りにいる人間的に憧れてしまう女性、そういう人達が周りに沢山いるので、その人達に着て貰いたいと思い、イメージして作っています。それプラス私自身が着たいもの。そうじゃないと私がやる意味はないのかなって。実際に手にとって着てもらいたい服を作っています。着る人と作る人の感覚が近いブランドだと思います。

―自分の着たい物を作るということはご自身の趣味や周りの存在が変わったら洋服が変化することもあり得るのでしょうか

自分が成長したらそれに合わせて変化していく、それで良いと思っています。自然な流れに沿って、ライフスタイルに合わせて変化していきたいです。根本にある好きなものはずっと変わらないので、そこはぶれないようにしようとは思っています。

―その根本にある好きなモノってどんなものなんですか

古着やアメリカっぽいもの。生地はデニムやオンブレチェックやボーダー。昔からあるスタンダードなものが好きです。

―パターンに拘りはありますか

自分なりに拘っています。
ディテール、仕様、時代背景を大切にするメンズのもの作りを学んだので、そういうのはちゃんと残そうと思うんです。見た目にはわからなかったりもするけど要素としてそういうものを落とし込む。自分でパターンを引くので洋服に現れる。そういうのを大事にしています。

―今回のコレクションに関してどのようなことを言われましたか

メンズっぽいねって言われます。それが表面的なデザインからではなく、選ぶ生地やパターンから出ているのかなと思います。イメージですがレディースは線が丸い印象。メンズは直線的な印象。同じ寸法で引いてもパタンナーによって全く違うものになると思います。N.HOOLYWOODにいた時、私の書く絵型やパターンは、かたいイメージと言われていたので、それがくせで出ているではないでしょうか?

―メンズっぽいと言われるPHEENYの洋服ですがメンズはデザインされないのでしょうか

シャツは、男性からの方が好評でした。試着してくれたりしたのですが、少し小さくて着れないので、大きいサイズを作って着てもらいたいなあと思いましたが、今のところは作る予定はありません。

―ブランドのデビューは合同展示会のrooms LINKでした。反響はどうでしたか

roomsLINKでの反響は自分が思っていたより良かったです。新人の私が一人でやっていたらそんなに知ってもらうことは出来なかった。ブランドを知ってもらう良い機会になったと思います。

―どういうお店が興味を示してくれたのですか

セレクトショップや百貨店の方なども来てくれました。沢山の人に見てもらえるという意味でも合同展示会に出したのは大きかったと思います。
ショップさんに実際にオーダーをもらえたのはすごく嬉しいです。また、個展で個人オーダーをしてくれる人もたくさんいました。自分が着てもらいたいと思っていたような人達が、気に入ってくれたことが凄く嬉しかったです。

―今シーズンのテーマ“CITY GIRL”はどのように決まったのですか

作りたいものを決めて行った中でそのアイテムをカテゴリー分けしたら「都会的な洗練された要素」と、「ストリートっぽい要素」の2つに分かれたのでそれを合わせて「CITY GIRL(シティガール)」になりました。なのでテーマに合わせて服を作ったのではありません。
「着たい物を作る」ことは大前提にありますのでそれを集めてデザインする。それで今の自分の気分がわかる。それをテーマにしています。
感覚的なものを今は大事にしています。なんとなく好き、理由はわからないけどなんか好き。理由、意味を持たせないこともレディースでは大事にしていきたいです。

―意味を持たせるのはパターンだけということですか

それだけで良いと思っています。作る側として拘る部分で、着てもらう人に何となく感じてもらえれば嬉しいですね。

―リサーチはしますか

パターンを引くうえでします。仕様やディテール裏の始末等を調べます。そこは好きなところなので。

―作るものに自分で全て袖を通しているんですか

自分で全て袖は通しています。トワルの段階でも自分で着て直したり、モデルをお願いしている友人にも着てもらい修正します。

―秋元さんのお話を聞いているとデザイナーの感覚というよりスタリストの感覚に近いような気もします。服の中での編集力とか、セオリーがある上でそこを自分のよいものに変えていく力とか

そうかもしれないですね。デザインを考える時にもなんとなくコーディネートでも考えています。「これにはこれをあわせたいから、これを作ろう」とか。それはデザインが出来ないからなのかもしれません。

―ファッションショーをやりたいとは思いますか

今は全くありません。今は小さいコレクションですが、少しずつ作りたいものを増やしていきたいと思います。

―ブランドコンセプトにある女性らしさとはどういうことですか

メンズの服や、ラフな洋服を着た時に覗かせる首もとや、背中、脇、腕などが、女性を女性らしく感じるポイントなんです。
そういう部分をきれいに見せるパターンにしています。
例えば、Tシャツはわざと後衿ぐりを抜かせたり、タンクトップはアームホールを深めにとり、脇をのぞかせたり。開けているのではなく、のぞかせるという感覚にしています。

―ものを作る上で大切にされていることはなんですか

どんな人に着てもらいたいか、誰に着てもらいたいかのイメージをもつことです。着てもらいたい人のイメージがないと「これだれが着るんだろう、どこで着るんだろう」っていう服になってしまう。着ている人がイメージできる服にしたいです。

―今後挑戦したい事や、やりたいことはありますか

もう少し型数を増やし、トータルでブランドの世界観を見せることが出来るようになるのが当面の目標です。次回はニット製品も増えるし、小物も少し作ります。よりPHEENYの色を出していくのが目標です。

Interview & Text:Masaki Takida, Fumiya Yoshinouchi

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秋元舞子/Maiko Akimoto
文化服装学院技術専攻卒業。
株式会社ミスターハリウッドにて、パタンナーとして勤務。
2012 S/SよりPHEENYをスタート

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