Interview

SHIROMA 2012-13 A/W “PROGRESSIVE” 1/2

デザイナー城間志保氏とクリエイティブディレクターである西家康隆氏によるブランドSHIROMA。
メルセデスベンツを冠スポンサーに迎え昨年10月に行われた「Mercedes-Benz Fashion Week TOKYO 2012 S/S」に参加、ブランド初となるランウェイショーを披露、各方面から賞賛を浴びた。2度目のランウェイショーを3月21日に控え注目を集めるSHIROMA。ディレクターの西家氏に今回のショーについて話を聞いた。

―昨シーズン(2012S/S)のランウェイショーではブランド初のショーにもかかわらずかなりの注目を集めたと思いますが、実際にショーをやり終えてみて反応はどうでしたか

自分達が思っていたよりも反応は良かったと思います。ショーをやることにより、SHIROMAというブランドをよりエレガントな方向に魅せたいと思っていたのでそう思ってもらえたことが凄く良かったです。ショーをやることにより展示会だけでやっていた時より強くブランドのイメージを伝えることが出来たと思います。
前回はショーの反響だけでなく、その結果として売りあげも好評でそれ以前の倍程になったのですが今回もそれ位になれればいいと思っています。というかこれからもショーを続けるのであればそれ位にならないと逆に今までより貧しい暮らしになるみたいな・・・(笑)。
やりたいことはいっぱいあるし、貧しい暮らしはしたくない。お金をどういう風に使っても大丈夫なくらいになりたい。美味しい酒も飲みたいですし。

―初めてのショーということもあり色々と大変だったと思います。前回のショーを振り返ってみて反省点などはありますか

ショーをやって無かった時みたいにお店さんへの営業は出来なくなりました。それにお金を使いすぎたということですかね。もう少し上手なお金の使い方をしないといけないなと。支援はしてもらったのですがそれ以上にお金をかけてしまったので。

―それはショーをする為に今まで以上に予算をかけたということですか

ファッションショーということはそれ程意識しませんでしたが各色作る分、サンプルが増え、レザーの型数も増えたのでそれで余計にお金を使ってしまいました。ただ前回の反省を生かせず今回もそれ以上にサンプル代にお金をかけてしまいました。反省しきれなかったですね(笑)。

―決められた予算の枠でのクリエイションではなく自分達がやりたいことを優先させたもの作りの結果でしょうか

そうですね。
革も通常は一つの加工だけでやる、例えば染め革だったら今回は染めだけでやろうというやり方をするのですが前回は染めをやって違う種類の箔の加工もやり、また違う加工もやった。そういうことをした結果革のロットを踏まなければいけなくなってしまった。僕達はディアスキン(鹿革)しか使わないのですがそれ自体が凄く高いというのもあります。
今回も革にお金をかけたのは勿論ですがニットもやるのでそこにもお金をかけています。それに靴も一から作っています。
本当はTシャツなどの安いものを作ってたくさん売った方が利益が出るのですが逆にそういうものを今シーズンは作るのをやめました。一万円台で買えるものがほとんどないんです。結果、高いものばかりなのですが売れてもあまり儲からないものばかりになってしまいました。(笑)

―通常ですと高いものの方が利益率は高いような気がしますが

SHIROMAの場合はそういうことはありません。逆に革製品などの高価なものの方が利益が少ないですね。前シーズンのレザーで定価が二十六万円するので凄く高いと思うかもしれませんがそれでも原価を考えれば安すぎるくらいの価格です。定価を五十万円くらいで出さないと儲からないくらいです。本音を言うとレザーのアイテムを買うくらいなら安いカットソーをたくさん買って欲しいくらいです(笑)。

―それでもディアスキンを好んで使用するのには理由があるのでしょうか

やはり染めと言う観点であればディアスキンが優れているんです。ディアスキン以外のものだと自分達の思い描く細かい柄が出ません。繊細な染めっぽくないような柄は鹿革を薄くすかないと出来ないもので、他の革でやるとぼやけたものになってしまうんです。色んな染め屋さんを試したんですけどそれは革自体の性質で染め屋さんを変えても出来ないことです。

―ファッションショーを行ったことによりクリエーション自体に変化はありましたか

自分達の中では特別何も変わっていないと思います。ただスタイリング用の小物として雑貨類は上手く作れるようになったかなって。
前回のコレクションで初めて作ったアイウェアが思った以上に反応が良かった。だから今後もアイウェアは継続して力を入れてやっていこうと思っています。アイウェアは大阪でヴィンテージのアイウェアの卸をしているソラックザーデさんと一緒にやらせてもらってます。

―洋服ではなくサングラスだけでの取り扱いもあったりするのですか

アイウェアオンリーで扱ってくれるお店もあります。もともと自分達は洋服以外のプロダクトも好きですのでそういうところも評価される、取り扱ってもらえるのは凄く嬉しいことです。

―今回のショー 2012-13 A/W Collectionの注目点を教えてください

今シーズンは”Progressive”というのがショーのテーマです。今までの女性らしさからより「強さ」を出したものになっていると思います。
僕らがものを作る時に一番大切にしているのが常に“新しい”ということ。コンセプトを掲げてどうこうというタイプのブランドではないので服そのもので新しさを出していきたい。その新しさというものがショーを見る人にも伝わればいいなって思っています。
ヘアーはチームが変わるので少し変わると思います。前回はミニマムでしたが今回は少し遊びを入れて行こうかなと。

―素材やテクニックの面で挑戦したこと、工夫した点はありますか

今回はニットに注力してやっています。これまではカットソーが多く、ニットには久し振りに挑戦したのですがなかなかいい仕上がりになっています。ですがニットもやりたいことをやったのでレザー並みに高額なものになってしまいました。安く仕上げるつもりはあるんですけどそれよりやりたいことをやりたい。やりたいことをやったうえで工場さんに「高いから安くしてください」っていう僕の話術での努力しか出来ないんです。
一見わからないかもしれないことなんですけど素材から全てやっているので技術的にも凄く難しいことをやっているんです。だからショーだけではもしかしたら伝わらない部分もあるかもしれないのでやはり展示会で見て、触れて欲しいですね。

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