Interview

Diane Pernet -A SHADED VIEW ON FASHION- 3/4


インターネットにより全てが変わったと言っても過言ではないでしょう。インターネットの発達によりファッションの民主化が進みました。ファッション業界のアクセサビリティを一番変えたのはインターネットというものなんじゃないかと思います。

→Diane Pernet -A SHADED VIEW ON FASHION- 1/4
→Diane Pernet -A SHADED VIEW ON FASHION- 2/4

―個人的に好きなデザイナーを教えてください。あなたが好きなデザイナーはどういうデザイナーなんですか?

自分の為にファッションを見ているのではなくどこにタレント性があるのかということでファッションを見ていますし、その評価基準は凄く個人的なものなのかもしれません。
Sandra Backlundやこれまで挙げたデザイナーに関していえばそれらが彼らの“作品”であるということが第一条件です。それプラス洋服ですので着ることが出来るものというのは凄く大切なんじゃないかなと思います。

―日本のデザイナーにも造詣が深いDianeさんですが気に入っている日本人デザイナーを教えてもらえますか?

UNDERCOVERはずっと好きですし、勿論川久保玲のComme des Garconsも好きです。最近のデザイナーで言えばTAKASHI NISHIYAMAも凄く好きです。彼のデザインには自分がやりたいことが明確に出ている、だから好きです。それにsuzukitakayukiも好きです。ドリーミーで繊細、それでいて世界観が凄くはっきりしている。
ASVOFFのビデオチャンネルにあるのですがThis is Dianeというビデオに昔のYohji Yamamotoのビンテージドレスを着た私が写っています。黒だけではなく、白も着たり、彼の服は着たときに凄く気持ちが良かった、しっくりきた。昔のYohji Yamamotoの服は凄く好きです。見ても綺麗ですし、着ても凄く好きです。

―実際に現地でデザイナーを探すのではなくネット上で新しい才能を発掘することもあるのでしょうか?

勿論です。私自身が世界中の全ての国に行くことは出来ないのですから。インターネットがあってよかったと思います。

―Dianeさんもインターネットで世界中のファッションとコミュニケーションをとっている第一人者の一人かと思いますがインターネットの発達によってどうファッション界は変わっていったと思いますか?

全てが変わったと言っても過言ではないでしょう。インターネットの発達によりファッションの民主化が進みました。物やブランド、デザイナーの情報にアクセスしやすくなりました。どこにあなたが住んでいようが、あなたが何の仕事をしていようが、自分が興味さえあれば今まで扉をたたくのにためらっていたような、少しとっつきにくいようなファッションの業界のことも何も言わなくてもインターネットを使うことによってアクセスすることが出来るようになりました。Eコマースもお客さんが増えていますし、ファッション業界のアクセサビリティを一番変えたのはインターネットというものなんじゃないかと思います。

―無数のショーを見ていると思いますが今までで一番印象に残ったショーやブランドはどんなものなんですか?

凄い昔のことですが全部で3つあります。
1つ目はWalter Van BeirendonckがまだレーベルをMUSTANGに買われる前のショーでパリのリドというキャバレーでおこなわれたものです。100人くらいのモデルが全員マスクを被って登場し、マスクを被っているのでモデルの何人かステージを落ちていく。お客さんがもうやめたほうがいいよと叫ぶのですがショーはそのまま続き、また天井からモデルが降りてきたりしました。
2つ目はJohn Gallianoのショーで緑の光のトンネルの中をモデルが歩いてくるような演出のショーがあったのですがまるで映画を見ているかのようでした。
最後はDries Van Notenの50回記念のコレクションです。パリからお客様は車で連れ出されて飛行機の格納庫に連れていかれました。そこに500人分のテーブルセットがあり、500人のゲストが招かれ500人のウェイターが食事をサーブする。食事が終わった後に食卓がキャットウォークになったのです。ショー終了後には上から鉄の棚が下りてきて一人一人に50回記念の本が置かれていました。ドライバーさんがいないお客さんに対してもパリからの送迎がついていましたし、フォトグラファーは通常ショーでは凄く扱いが悪いのですがその時はフォトグラファー用のバンケットもあり、食事もサーブされていました。ファッションショーだけでなくイベント自体が凄く印象に残っています。

―ブランドを立ち上げる以前の学生の時点で一番才能を垣間見ることが出来たデザイナーとは誰でしょうか?

2人ともイエールに出展していた学生なのですが一人目がAnthony Vaccarello。彼の作品は学生のレベルを凌駕していました。もう一人はやはりSandra Backlund。前審査の段階でイエールに出す為には7体見せなければいけないのですが彼女が見せたのはたったのトップ1体だけでした。ですが私は「絶対凄いものがくるから。彼女をファイナリストに入れるべきです」と言ったのです。それくらい彼女はやっぱり凄かった。
イエール以外で言うとスウェーデン人デザイナーのPaolo Andersonです。彼が学校に行く前に私にスケッチを見せにきたことがるのですが「僕の作品どう思う?」って。私は「才能がある思う」と言って彼はその後にセントマーチンズでファッションを学び、卒業後Martin Margielaで働いてPhoebe Philoの後任としてChloeのデザイナーになったのですが結局すぐにやめることになり今はVanessa Brunoでデザインをしています。彼は本当に才能があると思うし、スケッチの段階でそれは初めからわかっていました。彼がデザインしたChloeを見たかったと思うのは私だけではないと思います。

―今後を担うであろう期待の若手デザイナーは誰かいますか?

Jean Paul-Lespagnardの名前はまず挙げられるでしょう。彼のデザインからは若い頃のゴルチェの雰囲気も感じるしユーモアもあります。
学校関係の人はいつ次代の(Alexander)McQueenが出てくるのかとか、いつ(John)Galliano が出てくるのか毎年そういう話になるのですがそういう天才は10年に1人出るかでないかでそういうタレントに巡り合うことは難しいです。
最近では以前よりもファッション自体がエキサイティングでなくなってきていると感じています。

Photo©Miguel Villalobos

Comments are closed.