Interview

POTTO 「UF男とネス子たち」 1/3

7月12日、岡山を拠点に活動するPOTTOによる約2年振りとなるファッションショーPOTTO COLLECTION 2013『UF男とネス子たち』が代々木公園と2.5Dの2箇所で披露された。

2013年の夏の東京。
2011年の春の東京。
あふれる光、公園通り。
幽霊たち。
価値のないものが価値をもっていく。
あとから物語がつけ加えられる。

2011年に活動の拠点を東京から岡山へと移してから初となるファッションショー。今回のショーにはどんな想いが込められ、何を表現したかったのか。デザイナーの山本氏に様々な質問をぶつけた。

→POTTO 2013 collection「UF男とネス子たち」(ショー前インタビュー)
→POTTO 2013 collection「UF男とネス子たち」(Fashion Show)

―なぜタイトルがUFOとネス湖ではなくUF男(お)とネス子(こ)だったんですか?

UF男かUF夫か悩んで男にしたんです。もしUFOだったらUFOですよね。そしたらUFO。それは違う。それはUFO。UFO一般的に言えば空飛ぶ円盤。未確認飛行物体。でもUFOだと思った時点でUFOじゃないんですよ。未確認飛行物体がUFOなんです。なんか飛んでるのを見てUFOだと思ったらUFOというものになっちゃうんですよ。確認しちゃってる。だから本当はUFOというのはおかしい。なんかわからないけどおかしいというものをUFOと呼んでおこうとしているんですよね。
UF男はそのUFOについてのことではないからもうちょっと人間によっている、ネス子も人間よりです。

―結局「UF男とネス子たち」とは何だったんですか?

ゲンズブールとか巨匠ファッションデザイナー寄りの解釈をすると、UF男は僕でネス子たちは高橋さん、秋乃さん、久恒さん、有本さん、柴田さんです。
完全に嘘ですけど。
ほんとの事をいうと、たとえ話です。物語が勝手に作られて存在しているという。

―上村聡(遊園地再生事業団)さんと山下陽光(途中でやめる)さんはその物語を作っている存在だということだったのでしょうか?

彼らだけではなくショー全体がそうです。特にわかりやすい例として二人が言葉で物語を作っていました。

―前回のインタビューでショーを見たら感動して涙が出ちゃうというようなことをいていたと思いますが、結局ショーを見て泣くことはなかったんですけど・・・・

滝田さん(インタビュアー)はきっと泣かない人なんですね。

―そうかもしれません。逆にどの場面で泣くんですか?

ライブが終わったところは泣きやすいですよね。途中でも何度も泣けるところがありましたしもう全体的に泣けるところだらけでしたよ。

―柴田聡子さんの楽曲は今回のショーの為のオリジナルではなく、もともとあった曲から選ばれたとのことでしたがアラスカン(ネオ)に関しても同様ですか?

アラスカン(ネオ)の歌詞は作ったというより元々あるものを組み合わせたりしています。もとゅ(有本ゆみこ)の歌詞は本人が作っていて、自分で作った詩といろんなところから抜粋した詩が混ざっています。
メロディはねぁゅ(久恒さん)がつけています。

―代々木公園で行われた第一部は呆気にとられました。みんないつ始まるの?、いつモデルが出てくるの?って

始まるのは時間通り18時に始まりましたよ。
ありがたいことですが開始時刻より早めに来て待ってくれていた人もいて。みんなあそこのケヤキ並木をモデルが歩くんだって思ったと思うんです。

―そうですね。場所もけやき並木しか指定してなかったし、どういうものになるんだろう?ってみんな思っていたと思いますよ。

隣にいて服を置くじゃないですか?でもそのことについては誰も触れないんです。見ないふりみたいにしていて。これはこれでいつ始まるんだろう?みたいな。凄く不思議な感覚でしたね。みんな隣に服があるのに。みんなショーが始まるのを待ってるみたいな。

―でもショーの日は凄く人が多かった。ホームレスの人も多かった。そこまで考えての演出だったのかなと思いました。

僕が下見をした時は本当に人は誰もいなかったんです。人がいなくていいなって。だから人がいすぎて正直びっくりしました。ただそういうのが(霊が)集まってきたのかなと思います。「ショーがあるよ」って聞きつけて。

―最初始まってるのかわからなくて始まってるのがわかって「え?」っていう反応が多かった。

そうなんですね。僕はちょっと見れていないからわからない。本当は見たかったんですけど僕がいたらいけないというコンセプトなので。

―2部でも2人から山本さんに話しかけられていましたね。

僕はいちゃいけない。「こんにちは」とかしちゃいけない。気づいているけど感じ悪い人みたいに思われた人もいたかもしれないですがコンセプトなので気を悪くした人がいたらすいません。

―結局あのインスタレーション?ショー?はなんだったんですかね?

ネッシーもUFOもこの辺にいるけどいつ来るかわからない、そもそも本当にいるかわからない、そういうことです。それが別に幽霊でもUFOでもいいんですけど。

―1部でも2部でもラジカセから音楽が流れていましたがどういったものだったんですか?

YOUTUBEからUFOやビッグフットといった目撃証言を何を見たのかはカットして繋いでいます。

―一部ではおかれてある服を着ている人もいましたが、それも想定の範囲内だったのでしょうか?

それは予想外です。何も考えていなかったというか。触るのはあるかなと思ったんですけど着るまでは想像していなかった。

―モデルの人たちには事前説明したとのことでしたが今回のショーに関してどういう説明をしたんですか?

3週間くらい前に全員で集まった時は段取り的な説明をして、服は麻袋みたいなやつ、それに(山下)陽光さんと、上村さんが物語を加える。意味を付ける。意味はなくてもいいんだけど。同時にいろんな人が一つのところにいる。お互いは存在にも気づいていない。そういうことを説明しました。勿論みんな理解していなかったですけど。

―まるで劇のようなショーでしたが2人の台本はあったんですか?

台本はありません。なんでもやってくださいとお願いしました。
ただあれが劇かと言われればそれは多分ちょっと違うんです。上村さんに聞いたのですが演劇は先が見えている。演者が先のことを知っている。今回のショーは誰も行きつくところを知らない、未来を知らない。なんとなく流れは知っているけどこの人がこうしたらこうというのはないんです。

―みょうがとiphoneのくだりが凄く面白かったのですがそこは山本さんの演出ですか?

そこは僕ではありません。山下陽光さんの発見で本番まで僕は全く知りませんでした。凄く面白かったですよね。

―2人が何をやるかも知らなかったんですか?

何も知らないです。写真に対して何かするというのは流れであったのですがほとんどアドリブです。別に必然ではない。モデルはモデルでショーをする、柴田さんは歌を歌って僕はスライドをやる。お互いはお互いのことは見えていない。

―でも2人は山本さんに話しかけていましたよね?

話しかけていましたがしゃべっていませんでしたよね?

―柴田さんと二人は喋っていましたよね?

柴田さんとあの二人は何か波長が合ったのかもしれないですね。宇宙人と喋れる人間もいます。そういうことです。たまたま喋れただけです。

―あの二人には全て見えてるということですか?

見えていましたね。かなり高等な宇宙人です。

―スライドには佐野元春の名前もありましたが何か意味はあったんですか?

別に特に意味はないです。特に好きな歌手ではないですし、聞いたこともないです。

―佐野元春からのスライドで安いとなって凄く気になりました。なにか意味があるのだろうかと。

放り投げたらそこに来たというだけです。これの次はこれだろうというのはないです。オバマ君が写真を撮って、僕が言葉を打ってそれを繋げた。それでちょっと見てみようと思ったら「できてるじゃん」と。

―じゃ別に佐野元春でなくてもよかったということですか?

そうですね。でも尾崎豊とかは駄目ですよ。ブルーハーツでも駄目ですし。
さだまさしとかならいいかもしれませんけど。

―大友康平ならいいかもしれないですね

それはいいかもしれないけどまたちょっと違う目線になりますね。

―スライドで使われていた写真はどこの写真ですか?

全て会場の周辺、渋谷の写真です。

Comments are closed.