Interview

Susan Cianciolo / スーザン・チャンチオロ 1/2

ファッション、アート、パフォーマンス、映像、食などあらゆる表現領域で活躍するSusan Ciancioloが九州で初の個展を開催した。今回の個展に伴い、8月26日にLamp harajukuにて世界感を伝えるためのインスタレーションが行われた。継ぎ接ぎや再構成された古着がハンドメイド独特の風合いのテキスタイルに生まれ変わる。鮮やかに染まったスニーカーや伸びやかな布の使い方を見ていると、自らの手から表現が生まれることの楽しさを思い出す。

多岐に渡るフィールドで活動し、日々留まることのない彼女のクリエイションの源は何なのか。インスタレーションを終えた彼女に話を伺った。

―今回のコレクションを制作中の印象的なエピソードなどはありますか?たとえば普段影響受けないものに影響を受けたり、取り入れたことのない色味を入れてみたなどこれまでと何か違ったことはありますか?

何か特別今までのコレクションと変わったことというのはないかもしれません。ちょっと作り話を作るから待っててくださいね(笑)。
勿論今回のショーと今までのショーは違います。今までとは異なる場所、東京です。完全に違いますよね。ここにきてモデルに出会うことで彼らのスタイルを理解し、モデルたちにとってどのようなパフォーマンス方法がベストなのか考えます。そこで初めて自分のコレクションピースをどのようにディレクションするか決めるのです。
全てのショーは全く異なり、今まで行ってきた全てのショーが私にとってとてもスペシャルなものです。

―東京にきて初めてショーの構成を決めるということですね

勿論このショーの為に数か月もの間製作期間を設けています。毎日そのことだけを考え準備もしてきました。ですが私が日本でパフォーマンスができるということをショーの直前まで知らなかったんです。
NYを発つ前にいくつかアイデアがありましたが実際にモデルと会ってからではないと全部は決めれません。今回のショーに関してはドイツのフランクフルトにあるMMK(フランクフルトモダンアート美術館)で行ったショーのようなものが凄く合うのではないかと思ったんです。ですのでその一部をなぞって今日のパフォーマンスの参考にしています。

―日本の女の子にアプローチするということは意識していましたか?どんなことを伝えたかったですか?

たったひとことSlow it Downですね。もっとゆっくり生活してもいいんじゃないかって。

―今回の福岡の展覧会のタイトルの意味を教えてください

今回のタイトルは「Objects and Shapes」です。
私はタイトルを決めるとき席にすわって本に色んなタイトルを書き綴るんです。何百個もタイトルを考えそれで本がタイトルでうまったら、その中から一つのタイトルを選ぶんです。それがショーやエキシビジョンのタイトルになります。いくつか美術館に提案して決める場合もありますがそれも同じようなことです。

―日頃触れている素材やものがタイトルに影響しているということはあるんですか?

そうではありません。
私はタイトルが好きですし、言葉が好きです。私がする全てのことにはタイトルがついています。タイトルをつけることは私の趣味の一つでもあるのです。
ショーをするときは私の趣味をするよい機会なのです。だからその時は何百も、何百もタイトルを付けるのです。そしてその中から良さそうなものだけをピックするのです。フィーリングですね。誰がキュレーターであろうとやる作業は変わりません。私はタイトルは必ずしも作品とリンクする必要はないと思っています。作品とタイトルが並ぶことによって美しく見えることが大事なのです。音楽のように。
今回のショーはもうこの世にはいない千葉慎二氏に捧げました。私は彼と何年も一緒にに仕事をしてきて共にエキシビジョンをクリエイトしてきました。彼は’Trees are so special”という名前のギャラリーを運営していました。それは私が彼の為につけてあげた名前です。それも同じように本にタイトルを書き溜めて彼がそのうちの一つを選んだのです。
だからすべては同じアイデアなのです。タイトルを書き綴った本一冊、一冊は全てとってあり、アーカイブ化しています。何かあると常にタイトルを振り返ります。私はタイトルの図書館に囲まれています。

―あなたにとって手仕事とは何を意味しますか?

それは私自身の人生(whole life)といっても過言ではないでしょうね。それと共にそれが私の仕事です。私がするすべてのことは手仕事によって生まれています。
クッキングもそうです。2冊目のクッキングブックが発売されるのですが私にとって料理はとても重要です。
ニューヨークではチケットを購入してくれた方の前で料理をするイベントもやっています。料理は私にとってアートです。私たちはメニューをクリエイトしているのです。
染めること、縫うこと、映画を作ること、本を作ること、料理をすること。全てはロングストーリーです。でもこれらのことは全て手仕事によって行われています。

―美術大学で教鞭を執られていますが学生たちとはどのようなかかわり方をしているのですか?

学生の中には本当に仲が良い友人のような生徒もいます。毎日会話もしますし、頻繁に私のスタジオに会いにきたりもします。ベイビーシッターもしてもらったりもしますし、一緒に走ったりもしますし、あらゆることを一緒にしています(笑)。彼らは本当にハードワーカーですし、私も彼らに助けられています。
それ以外の学生もe-mailしたり一緒にランチしたりもします。先日ドイツに旅行に行ったのですがそれも学生たちと一緒に行きました。
勿論クラスルームでしか会わない学生もいますが学校の外でもできるだけ彼らをサポートしてあげたいと思っています。それぞれの学生によって付き合い方は全く違いますね。当たり前ながら全ての学生と近い関係にいることは出来ません。できるだけたくさんの学生とそういう関係でありたいと思っていますし、できるだけたくさんの時間を彼らに割いてあげたいと思っていますが。

―学生の作るものが自分の作る作品に影響を与えたりすることはありますか?

学生の作るものが直接影響を与えるということはありませんがそれによって感化されることはあります。
昨年私はファッションイラストレーションのクラスだけを教えました。そこでの授業は私にとって本当にエキサイティングなものでした。生徒の多くが本当に才能に溢れていてうれしい限りでした。僅か18歳足らずですが才能に満ち溢れ、私が彼らに教えてあげれることはそんなに多くなかったのではないかと思います。教えたというよりは一緒に作品作りを楽しんだというような感覚でした。まじめな生徒ばかりでハードワーカーで、怠惰な生徒もいなかったしそのような生徒を教えられたことは私にとってとても光栄なことでした。とても授業料が高い学校ですがそれに見合った勉強をしていましたし。私自身も本当に彼らに触発されました。
でもそれが影響というのとはちょっと違います。私自身は自分の作品を作るときはそのことだけにフォーカスし、自分だけの世界になりますので誰かの作品から影響を受けるということはありません。作品を作る時は自分自身の世界だけを見つめ、外界からの情報は一切受け入れません。私は自分自身の作品に取りつかれているといっても過言でないでしょう。だから私にとって誰かからインフルエンスされるというのは考えづらいことなのです。インターネットで調べ物をしたりもしませんし、そういう時に他のデザイナーの作品を見たりとかもありません。もう少し他の人の作品を受け入れたり、他からの情報を受け入れて自分の作品に取り入れるようなことが出来るようなデザイナーだったらよかったのかもしれません。ですが私自身本当に小さいころからそうやって自分自身と向き合い作品を作るということを自分なりに学んできたのでそういうことが出来ないのです。そうやって今までたくさんの作品を作ってきたのですから。
ですので影響は受けませんがそういった才能ある学生たちの作品を見て、触発される、より良いアーティストになりたいと感化されることはありますし、もっと頑張ろうと思います。

Photo by Chikashi Suzuki
Music 9 Bridges http://www.bridge9.com/
hair and make up:Kazunori Miyasaka (mods hair)
Model:Momoko Ando ,Yayoi Ando (elite) ,Kana Ito ,Shota Sometani
Thanks to ARTIUM ,Shinji Chiba, Giovanna ,Maki Hakui ,PressPop ,Chikashi Suzuki ,Sophie ,Yoko Yagi
Susan Cianciolo HP www.susancianciolostudio.com

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