Interview

STARSTYLING


 
2003年にデザイナーのカティア・シュレーゲルとパートナーのカイ・ザイフィードが立ち上げたブランドSTARSTYLING。
選び抜かれた、遊び心に満ちた要素をコンセプトに 音楽、アート、社会など幅広い分野を反映させた個性的なデザインが特徴。ベルリンを代表するファッションブランドとしてその地位を維持し続けている。
昨年10月にはベルリンブランドSTARSTYLINGのブランド10周年を記念して、デザイナー2人が来日、 Wut berlinにて10年のユニークな軌跡を展示、また渋谷原宿のセレクトショップを巻き込んでのイベント”Hologhosts Street Action & Shop Visits”も開催された。
 
―ブランドを始めた経緯について教えてください。
 
学生時代、Katja(カティア)はカルチャースタディーとスタイリングを専攻し、Kai(カイ)はコミュニケーション学を専攻していました。だからその頃はファッションブランドを立ち上げるなんて思ってもいませんでした。
いつからがブランドのスタートなのか正確にはわかりません。恐らく2001年頃からだと思うのですがスタイリストをしていたKatjaがスタイリングに製作した洋服たちが友人たちに好評だったため、それが徐々に大きくなっていき、ブランドのアウトラインが出来ていきました。それ頃は自分たちの楽しみの為にやっていましたし、最初の頃はブランドとしてやっていなかったので勿論名前もありませんでした。ブランドとしてスタートするには名前が必要だということでピザを食べながらブランド名を考えていたんです。そのピザ屋の名前がStar Pizzaというお店でした。そこからStarを取りKatjaはスタイリストとして活動をしていたのでその二つの言葉を掛け合わせてSTARSTYLINGという名前にしました。
2003年には2人ともこれまでの本職であった、スタイリスト、フィルム制作をやめ、サイドジョブであった洋服作りを本業としてスタートすることにしました。2003年の10月4日にSTARSTYLINGの店をオープンしたのですがそれがブランドとしての本当のスタートと言えると思います。
 
―インスピレーションはどんなところから湧いてくるのでしょうか?あなた方のデザインを見ているとテクノ音楽の影響も感じられるのかなと思うのですが。
 
いつもテクノ音楽を聴きながら作業をしています。ですがテクノパーティーに行ったことは一度もありません。勿論影響を受けている部分もありますが皆さんが思っているほど音楽の影響は強くありません。
やはりグラフィックデザインなどのアートや自然からの影響が強いと思います。それに生活しているうえでのほんの些細なことからインスピレーションを受けたりもします。勿論友人や人からも影響を受けます。
例えば2014年の春夏コレクションは“fuck the minimal”がテーマなのですがこれはWut berlinのバイヤーであるYannが以前私たちのショールームに来た時に「なんでこんなにベルリンファッションウイークはつまらないんだ。ミニマルなものばかりで面白みがないね」と言ったところから直接コレクションに繋がっています。
 

STARSTYLING SS 2014 Collection “fuck the minimal”

 
―ベルリンの若手ブランド達についてどのように感じますか?
  
勿論他のブランドのこともよく知っています。お互いが切磋琢磨し、一緒になにかやったりもします。ライバルというよりは友達のような感覚です。パリのショールームでもベルリンのデザイナーだけで固まって展示会をやってるくらいです。
しかし一般的なベルリンのデザイナー達は色も地味だし、ミニマルでコマーシャルなブランドばかりというのが現実でとても退屈なものばかりです。皆さんが思っているようなベルリンのイメージとはかけ離れているのが現状です。パリには世界中からデザイナーが集まっていますのでクリーンでミニマルなコレクションを作っていてもどうしても見劣りしてしまいます。
しかし若手デザイナー達の中には面白いデザイナー達も増えてきています。メッセージ性があるブランドもあれば、様々なカルチャーをミックスしたようなブランドもあります。
 
―あなた方の洋服はどのような方々に受け入れられているのでしょうか?
 
DJやミュージシャン、アーティストなどが多いです。意外かもしれませんがSTARSTYLINGの取り扱いは自分たちの店以外ではドイツには取り扱いがありません。ヨーロッパ中の熱狂的なファンの方々はわざわざベルリンのお店まで買いに来てくれます。
それに今はヨーロッパ以外のアジアでファンが凄く増えてきています。日本、そして韓国はこれまでも多かったですが最近では香港に凄くファンが増えてきています。韓国や中国のポップスターやシンガーの方々が着てくれているのも大きいと思います。
 
―あなた方の服からはとてもベルリンのテイストを感じますがご自身ではどのように考えていますか?
 
実は私たちは二人とも元々はベルリンの出身ではないんですよ。南部のシュツットガルト出身なんです。でも国外の方から「ベルリンぽい」という言葉はとてもよくかけられます。皆さんの中にはベルリン=カラフルでクリエイティブというイメージがあるようです。ですが先ほども言った通り実際のベルリンファッションウイークというものはカラフルでクリエイティブなものではなく、ミニマルでクリーンなものが主流です。
もしシュツットガルトでブランドをやっていたらここまでブランドを大きくすることは出来なかったと思います。考え方の違いですが他の都市では良い家や良い車を手に入れることが何よりも優先されます。私たちはそういった生活も出来ませんし、そのような考えの方達にはブランドは受け入れられません。よりクリエイティブな思考の強い人たちに受け入れられていると思います。ベルリンは進化し続けていますし、様々なカルチャーがミックスしている。だからこそ私たちのブランドも受け入れられているんだと思います。
 

Hologhosts Street Action & Shop Visits

 
―今回の来日ではどこに行かれたんですか?
 
京都に行きました。東京に比べたら凄くコンパクトなイメージですがフレンドリーですし、雰囲気もとても好きでした。
伝統的な旅館に泊まりマーケットにも行きましたし、祇園にも行き、そこで偶然にもリアルゲイシャを見ることが出来ました。名前は忘れてしまいましたが色んな寺に行きました。中でも南禅寺が最も素晴らしかったです。お好み焼きも食べました。
着物屋にも行き足袋や帯を買ったりしました。色んな作法も興味深かったし、様々なカルチャーに触れ刺激を受けました。
東京に来るのは今回で二回目ですがロボットレストランに行きました。凄くクレージーな場所でした。すべてがtoo muchな感じで・・・、「なんだこの場所は!!!!」って(笑)。面白くて絶えず叫んでいましたね。それと青山のトムブラウンの店にも行きました。David Lynchの映画に出てくるような風景を思い起こしました。
東京は町に歩いている人もとてもインプレッシブです。ファッションを気にしている人がとても多いし、ファッションを楽しんでいる人が多い印象です。
 
―最後に日本のファンに一言お願いします。
 
私たちが日本に来て出会った私たちファンの方達はとてもフレンドリーでとてもファッションを愛していて自分たちなりの着こなしを楽しんでくれています。自分たちのブランドをこのように愛していただきとても幸せです。これからもそういう方々に選ばれるようなコレクションを提案していきたいと思っています。
 
HP:http://www.starstyling.net/
 

Interview & Text:Masaki Takida, Kazuma Mori

 

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