DARIOはファッションとデザインの合同展示会「rooms」がプロデュースする台湾発のファッションブランド。独特の世界観溢れるテキスタイル、強烈なキャラクターたち、ワクワクするような遊び心と繊細さを兼ね備えた唯一無二の個性とストーリーを発信。季節に拘らず、ユニセックスウェアを中心に展開している。
合同展示会「rooms28」にて披露された新作コレクションは「Strangelove」をテーマに、前2回のコレクションとは違った側面を見せている。
―今回のコレクションのテーマは「STRANGE LOVE」ですがそのテーマにしたのには何か理由があるのですか?
スタンリーキューブリックの映画『博士の異常な愛情 または私は如何にして心配するのを止めて水爆を愛するようになったか』(Dr. Strangelove or: How I Learned to Stop Worrying and Love the Bomb)がとても好きでそこから今回のコレクションの名前が付けられています。
―今までのコレクションは色鮮やかなポップなコレクションでしたが今回は色使いも落ち着き少しダークな印象を覚えました。
今までのコレクションは見た目にインパクトがあり、それを見て人が集まってきましたが今回はそうではありません。今回のコレクションは細かいディテール、服の形にこだわりがありますので、ゆっくり、じっくりと服を見てその雰囲気を楽しんでもらいたいと思っています。
―「STRANGE LOVE」ですがどのように愛を洋服に落とし込んだのでしょうか?
人間にとって「愛」とは癒しであると考えました。それを表現する為に病院が浮かんできました。医者が着ている白衣や、ナースが着ている白衣、それに患者さんが着ている服からも着想を得ています。
一方、愛とは癒しだけではない側面もあります。愛とはとても複雑で愛に溺れたり、その結果、人として色んなものが壊れたりもします。十字架や、ヘロインやコカインなどのドラッグで表現しています。
愛を表現するうえでプラスの面だけでなくマイナスの面も表現することが大事だと考えました。それに“愛”は愛情だけではありません。家族の愛情、友達の愛情も含めての“愛”です。
―今回のコレクションは自身のこれまでの体験から来ているものですか?もしかしてストレンジラブの最中なのでしょうか?
私自身の経験とコレクションは直接関係ありません。私が洋服をデザインするときは自分自身の経験が反映されることはありません。前回までのコレクションはファンタジー、想像で作ったものです。今回はよりリアルクローズに近づけかったので人が誰しも経験する“愛”をテーマにしたコレクションにしました。
これからは自分の感情や感じたものを服を通して表現したいと思っています。
―DARIO自身の愛はストレンジなのでしょうか?
ある部分ではそうかもしれません。見た目はおとなしく見えますが意外と激しい面も持ち合わせています。それが服に表現されています。
今まで洋服をデザインして自分らしいコレクションだと感じたことはありませんでしたが今回のコレクションは今までと少し違った感情を覚えています。特に真ん中におおきなハートがデザインされたアイテムは出来上がったものを見た時に初めてこれが自分の洋服だと思ったんです。説明するのは難しいのですが形とかではなく全体の雰囲気でそう感じました。
―素材や色などこだわった部分はありますか?
今回はコレクションを始める前に絶対色を使わないと決めていました。黒やグレーという色は自分の中ではこれまであまり使ったことがなかったんです。今回は先に色を決めたのでその色にあった素材を探していきました。素材に関して言えば、厚みがあって立体的な感じを出したかったのでウールを使ったりしています。
―今は日本での展開がメインだと思いますが、デザインをする上で日本のマーケットは意識しますか?
元々マーケティングはあまり得意ではありませんでしたが、ブランドを始めてイベントを何度もするうちに、直接たくさんのお客さんが私の前で洋服を選んだり、着こなしているのを見ているうちにそういった部分も少しずつ意識するようになりました。
―DARIOは台湾っぽいブランドだと思いますか?それとも日本のブランドっぽいと思いますか?
特にどちらでもないと思っています。どちらの要素も少しずつ入っていますが、どちらでもない。グレーゾーンの曖昧なところに存在していると思います。台湾や日本とかは意識していません。
―DARIOの服はユニセックスですが購入される方は男性と女性、どちらが多いですか?
今は女性の方が多いです。ブランドを始めた頃は男性の方が多かったのですがどんどん女性のファンが増えていきました。ただ僕自身これまであまりレディースウェアを意識してデザインしたことはありませんでした。
今回のコレクションではレディースの要素が強いアイテムも多いのですが、自分がレディースをデザインするときは自分の中でのモデルを探すことから始まります。それが自分の想像の中の女性でもいいですし、現実にいる女優さんでもいいです。その人の様子を浮かべながらデザインします。今回に関して言えば(女優の)梶芽衣子さんをイメージしています。似ている色が集まって色の境界線が曖昧になっている、あまりはっきりしたくない。そんなイメージにぴったりでした。
―DARIOのコレクションは自身が着たい服を作っているのですか?
自分自身が好きな服を作っていますが必ずしもそれが自分が着る服ということではありません。レディースと同じように自分のイメージの中でこんな人になりたいなという人を描き、その人に似合う服を作っています。奇抜な人や個性がある人に憧れます。
Interview & Text:Masaki Takida
DARIO Facebook:https://www.facebook.com/dariohpf
DARIO専属コミュニケーター/プレス イチロウ Blog:http://changefashion.net/blog/DARIO
2014年3月28日より「DARIO」2014SS Collectionがラフォーレ原宿にあるセレクトショップ「WALL」にてローンチされる。2014SSのテーマは”Annie in darkside”・
莫大な財産を得た孤児院育ちの少女アニーの心に巣くう憎しみと怒りをデザインに落とし込んでいる。
WALL harajuku
東京都渋谷区神宮前1-11-6 ラフォーレ原宿1F