Interview

GRENSON / Tim Little 3/3

――150年以上の伝統と歴史を持っているグレンソンですが、これまでは他のノーザンプトン発のブランドに比べて日本での知名度はあまりないように感じます。それはなぜだと思いますか?
 
ブランドの地位を確立するのにはとても長い時間がかかります。グレンソンというブランドはこれまで日本という場所にあまり力を注いでこなかったのではないかと感じています。グレンソンを長い間運営してきた方達はUK内ですでにある程度の地位を確立していたので、外にあまり目を向けることをしてこなかったのです。
日本のお客様は靴に対する造詣が深く、そのブランドの背景にもとても興味を持つ方が多いと思っています。ただ単に靴を売るだけではなく、私たちの靴を見て、履いてもらって信用を得る、それにはたゆまぬ努力と時間が必要だと思っています。私たちの靴が長い期間にわたり履くことが出来るということを知ってもらうことが重要なのです。
 
――今後は日本での展開も今までより力を入れていくのでしょうか?
 
私たちは日本のマーケットが大好きです。今ここで起こっている出来事にとても興味を持っています。店頭に並んでいるプロダクツ、コーヒーショップやレストラン、私たちの目に入ってくるもの全てが興味深いものです。ロンドンより革新的であると言える部分も多いでしょう。
私たちはグレンソンというブランドが日本というマーケットに合うものを提供していると信じています。時間はかかりますし、私たちのことを知ってもらうためには何度も訪れないといけません。日本で成功しているポールスミスは年に4回来日していると聞きました。もし私たちも同じように成功したいのであればそれくらいの努力をしないといけないと感じています。
 
――数年前には日本ブランドfoot the coacherとコラボレーションしていました。今後も日本のブランドとコラボレーションすることは考えられますか?
 
今後はコラボレーションもどんどんやっていきたいと思っています。UKではこれまでにも様々なブランドとコラボレーションしてきました。素晴らしい日本のブランドとも積極的にコラボレーションしていけたらと思っています。お互いが近い関係で話し合うことにより、1+1=3になるようなものづくりを目指しています。
勿論日本限定アイテムもリリースしたいとおもっています。私自身日本語の文字がとても好きなのでそういったものも靴に載せれたらと思っていますがきっとそういったものはヨーロッパでは売れるかもしれないけど日本では難しいでしょうけどね。
 

――あなたにとって良い靴とはどんなものですか?
 
そう聞かれたらグレンソンの靴と答えるでしょうね(笑)。
私にとっての良い靴というのはそれが長く履けるかということです。今私が履いている靴はもう10年以上もの間履いているものです。良い靴というのは何年も履くことが可能です。靴を磨くことによってまた味が出てくる、それもとても重要なことです。その靴が修理可能かどうかというのも重要です。グッドイヤーウェルト製法で作られたグレンソンの靴は修理することが可能です。
 
――正しい靴選びをするにはどうすればよいですか?
 
あなた自身のパーソナリティに合った靴選びをするということです。ひとそれぞれ良い靴は違います。目立つような靴が好きな方もいればその逆もいます。何のために、どのような時に履くのか、どんな靴をはきたいのか理解することが重要です。
私たちのお店でお客様に「何を買いたいのかわかりません」と言われたらまずはシェイプから選んでいきます。カジュアルなものがいいのか、細長いものがいいのか。そこからスタイルを決めていきます。それはデザイナーも同じです。私たちが靴をデザインするときにもシェイプを決めるところからスタートします。木型を決めずにデザインをすることは出来ません。シェイプは靴にとっての個性と言えるでしょう。
 
――今後の展開について教えてください。どのようにブランドを成長させていくのでしょうか?
 
私たちはデイリーベースで考えています。長くても次の6か月先のことで、5年先のことは考えていません。
つい先日新しくロンドンに2店舗がオープンしました。とても素晴らしい内装で気に入っています。リテイルには力を入れていきたいと思っています。東京にも店を作りたいですし、NYにも作りたいです。
レディースシューズも急成長していますのでそちらも力を入れていきたいです。メンズには150年もの歴史があり、レディースの歴史は僅か3年だけです。それを考えればとてもうまくいっていると思います。150年の間グレンソンは男性の為だけに靴を提案するブランドとして認知されてきました。そういった認識を変えるには時間がかかるかもしれません。女性は女性らしくありたいのであり、男性のようになりたいわけではありません。ですから私たちが女性にとっても好むような美しい靴を作っているということをもっと理解してもらえるよう努力していきます。
 

INterview & Text:Masaki Takida

 
 

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