Interview

Christian Wijnants 1/3

Christian Wijnants はアントワープをベースに活動するデザイナー。
ブリュッセル生まれのChristian Wijnants は、1996 年にROYAL ACADEMY OF FINE ART でファッションデザインを学ぶためアントワープに移住した。彼の卒業作品は2000 年の「Dries Van Noten Award」に選ばれ、卒業後はd’Hyeres のインターナショナルモードフェスティバルでグランプリを受賞。彼のコレクションはパリのColette やロンドンのPineal Eye、東京のVia Bus Stop などで取り扱われた。その後Dries Van Noten(アントワープ)、Angelo Tarlazzi(パリ)のもとで働いたのち、2003 年に自身のレーベルを立ち上げている。
現在Christian Wijnants はパリでショーを行っており、バーニーズ、ハービーニコルズ、ジョイス、オープニングセレモニーなど世界中の100以上のブティックやデパートメントストアで取り扱われている。
また、彼の作るリッチでグラフィカル、新鮮な色使いの表現力豊かなニットウェアは、2005年のSWISS TEXTILES AWARD、2006 年のANDAM AWARD、昨年2013 年にはTHE INTERNATIONAL WOOL MARK PRIZEにも輝き、今世界中から注目を浴びているデザイナーである。
 
 

――今回の来日は5年振りだそうですが久しぶりに日本に来てみて何か変わったと感じる部分はありましたか?
  
変わらないと感じる部分と凄く変わったなと感じる部分もあります。
前回来日した時は日本のファッションは過渡期にあると感じました。ですが、今は面白いお店も増えましたし、ポジティブなエナジーに溢れています。それに若くて素晴らしい日本のブランドもたくさん出てきているように感じます。本当に活気が出てきているなという印象です。
  
――今回来日した理由はなんですか?
  
今後のコレクションでコラボレートする予定である絞りの職人さんと会うのが来日の大きな理由のひとつです。日本の伝統的な職人技術にとても興味があり、そういったものを自身のコレクションに取り入れたいと思っていました。
それに前回の来日からだいぶ年月が経ってしまいましたので日本のお客様の方々にも直接お会いして話をしたいと思っていました。新しいお店を回ることも重要なことですし、こうやってジャーナリストの方やエディターの方にお会いして私たちのコレクションについてももっと知ってもらいたいと思っています。
  
――日本の職人技術の中でも特に絞りに興味を持ったのはなぜだったのですか?
  
日本の伝統的な技術だけにかかわらず世界中の様々な国の伝統技術、職人技術に興味を持っています。そういった技術をこれまでもコレクションに取り入れてきました。私はデザイナーとしてそういった職人技術を後世に伝えていく、残していくということはとても重要なことなのではないかと感じています。職人の技術を取り入れながらも新しい提案をしていく。過去から受け継がれてきた技術を現代、未来に残していくことはデザイナーとしての義務だと感じていますのでそういったことも考えながら新しいコレクションを作っています。
今回のコレクションではボスニアのハンドニットの職人が作るニットを現代的にアレンジしたものをつくりました。コレクションには工業的要素だけでなく職人的要素も盛り込むことが大事だと感じています。新しい技術を取り入れて作った新しい素材のニットと職人的な技術から生まれるニット、古いものと新しいものを組み合わせるスタイルを同時に提案しています。
絞りの技術はウールマークプライズで発表したコレクションにも取り入れていますがその時のものは自社で染めたものです。ですが自社でウールを染める、太い糸に色を中まで染み込ませるという工程は自分たちでやるのには限界がありますし、今後は日本のクリエイターさんと組んで今までとは違ったアプローチでもコレクションを提案していきたいと思ったのです。
  

――絞り以外の部分でもシェイプやスタイリングなど、あなたのコレクションにはどこか日本っぽさを感じる部分もあると感じているのですがご自身では意識したりしているのでしょうか?
  
勿論日本からもたくさん影響を受けています。日本の文化や伝統、素材にカッティング、シェイプなども着物などの伝統衣装などから影響を受けたりしています。私はミニマムでピュアなスタイルが好きですのでそういった点でも日本のスタイルはとても好きです。
日本のクライアントの方々からもキュートでコンパクトなスタイルと言われますのでそこはヨーロッパの他のブランドとは違うのかもしれません。
先ほどもお伝えしたように次回のプレコレクションでは日本の絞りのアーティストさんとコラボレーションします。これまで日本を特別に意識して制作したことはありませんが、私自身の中にそういった要素が元々含まれているのだと思います。
  
――今後は今までの年に2回のコレクションだけでなく、年に4回コレクションを発表していくそうですがその理由とはなんですか?
  
ニットウェアは季節と季節の間に売れる傾向が強いアイテムです。日本の夏は特に暑さが厳しいのでこれまで私たちのニットは冬にはとても強かったのですが、一方夏はこれまではあまり反応がよくありませんでした。ニーズはありましたが暑くなると売れない。その部分を埋めるのがプレコレクションだと考えています。プレコレクションでニットを提案することは季節の変わり目のニットの需要が一番多いシーズンに自分たちの得意なアイテムを提案できるのです。私たちのお客様方はニットを凄く求めているのでプレコレクションはよりニットウェアにフォーカスしたコレクションになります。
  
 

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