Interview

Mads Dinesen

ベルリンベースの新生ブランドmads dinesen、デザイナーはデンマーク出身。ダンサー、パフォーマーの経験から、政治的、社会的な問題意識を動的にクローズに落としこむそのスタイルは、現代に生きる人々のあるべき姿勢を哲学的、霊的に表現する。文化的表現も好む彼のアイテムは、時にトライバルでエスニック、また東洋的なアプローチを感じさえもする。環境を考慮したマテリアル選びから拘りをみせるメゾンの創りだす作品のクオリティは、他のダニッシュメゾンのなかでも傑出しており、時代の先を行くインテリジェントなスタイルは、NYCやロンドンでも高く評価されている。

――あなた自身について教えて下さい。

私はMads Dinesen、ベルリン在住のデンマーク人デザイナーです。
若いころ、私はダンサーとパフォーマーとしてのキャリアを積み、私が住んでいた世界に影響を与えた政治的、社会的な問題に対処するために物理的なボディーランゲージの美しさを伝えるよう努めました。
怪我が原因で私はダンスを辞めざるを得ず、自分自身を表現するための別の方法を探さざるを得ず、ファッションデザイナーに転身しました。

――あなたのブランドコンセプトを教えて下さい。

対話や意見交換を呼び起こすために、身体や洋服を使い
私達のファッションハウスは、深い知識を用いた緻密な仕立てと、細かい細工への情熱的なアプローチを兼ね備えています。
ストリートモデル―彼は慎重に、現代人のコンディションや、その物理的な存在―それぞれの衣装がその本質的な重要性を満たす―ファブリックを選択します。
部族や遊牧民の文化への一貫した霊的な、また意図的な関心は、私たちがDinesenの洋服を着る間に存在する物理的な世界に凝縮されます。
私達の作品は、美しく、グロテスクで、インパクトが有り、それがタブーであればあるほど説得力があります。
そして、セクシュアリティと肉体美についての先入観を解体しようとしています。
そうすることで、人間の違いと寛容についてのより深い理解を得ることができます。

――AW14は、ルーズでビックシェイプなトップスと、ジョッパーズやサルエルテイストなボトムス、そしてまるで忍者のようなハットなどが見られますが、そのコンセプトを聞かせてください。

コンセプトは「SMOKE CLAD WARRIOR」です。
人類は歴史の中で地球上どこでも、個人、運動、団体およびグループで、抗議、行進やデモを用いて彼らの理想と原則を表明しています。
最近ではアラブの春や、ロシアのLBGT(反同性愛法)など抑圧に対する抵抗がありましたね。衝突は、異なる利益集団の間で、あるいは個人と社会との間で、政府と国民の間で起こります。
そういった衝突こそ、我々のAW14「スモークで覆われた戦士たち」のインスピレーションの源になっています。個人の視点からだけでなく。社会や文化的視点から、衣服を通してどのように講義や抵抗、理想を表現できるでしょうか?私達のスタイルが私達の行き方や理想主義の感覚に基いているという確信がありますか?
もしくはTシャツやバッジにあるスローガンを通して、自己表現をしていますか?
このコレクションは、より良い世界へと変えるため、彼らの名誉、自由、時には生活を危険にさらしてきた、すべての歴史的、現代的なパイオニアへのオマージュです。

 ガンジー、ルーサーキング、ダライ・ラマ….勇敢に戦ってきた、また戦っている人のリストは無限大です。それらが集結された勇気と誠実さは、印象的で感動的でもあります。 政治や社会の変化のため戦うには、理想主義的??な戦いを確信するために内省的な旅に出る必要があります。正確に私たち自身の信念を決定することだけが、私たちが直面しているいずれかの不正義を征服することが可能となります。しかし、ここで個人が自分自身の限界に遭遇するのでしょうか?
 この感情的でスピリチュアルな世界観を構築する方法は、私達がスピリチュアルリーダーとなり心の旅をするようなものです。私達は、知識や経験を通して、世界を彼らの理想的な形に変えようと試みるシャーマン、司祭、聖人などに返信することが出来ます。これがこのエスニックで神秘的、若く挑発的なコレクションのメインテーマです。

 このコレクションは、歴史、民族の文化、若者文化にインスパイアされ、それらの要素の融合に焦点を当てています。洋服のカットや生地は、ライトと重さの相互作用、構築、ドレーピングの間におこる、求めるものと偶然の相互作用です。カラーは主にダークですが、時折その中にカラーが見え隠れします。Mad Dinesenの全てのコレクションのように、プリントや縫製、ニットがコレクションの核となっています。動物的フィーリングがテキスタイルの縫製、ディティールとプリントを通して表されます。生地は、綿、ウール、麻、絹やラフィアなどの天然素材に焦点を当てています。ほとんどのファブリックがリサイクル可能であること―エコロジーと環境の持続可能性を考えること―は生地選びに重要な鍵なのです。 Mad DinesenはAW14コレクションを通して皆に挑戦したい!あなたのバトルを選択してください!ファイト!

――AW14 Hat with coinというアイテムには、中国の古いコインが用いられています。(私達は本当に驚きました!)なぜこのコインを用いたのですが?これは本物ですか?

コインは本物ですよ。
世界中のさまざまな文化では、私達はコインを通貨の別の形として、宝飾品や装飾品に使用してきました。私は防御性と攻撃性との間に何かを表現するために、防御のための呪文ようなものを作りたかったのです。

――あなたはどのようなデザイナーに影響を受けたと思いますか?

若かった時大ファンだったベルンハルト・ウィルヘルムやヘンリク・ヴィブスコフだけでなく、ヴィヴィアン・ウエストウッドやアレキサンダー・マックイーンなどドラスティックなデザイナー達でしょう。
ここ数年は90年代のミニマルなデザインに価値を感じておりましたし、世界各国にある伝統的なフォークロアスタイルにも大きな影響を受けています。

――日本のデザイナーを知っていますか?

もちろん、ヨウジヤマモトやコムデギャルソンは崇拝しているし、若い素晴らしいデザイナーが何人か輝いていますね。

――どのようなアートから影響を受けていますか?

20~30年代のシュルレアリスムや、フォークロアなアート、それからマシュー・バーニーやトレイシー・エミン等の現代アートからも影響を受けています。

――気になるSS15のコンセプトはどうなりそうですか?

次の春夏は「Smoke-clad Warrior」のレスポンスとなる「Burned Child」というコレクションです。「火傷した子供は火を恐れる」ということわざわは、私達が失敗から学び、同じ過ちを繰り返さないということを表しています。しかしながら私達の不安定な現在や、その集団の歴史は、我々がこの教訓から学んでないことを表しています。様々なイベントの中で、政治や人種、宗教の名の下に同じ悲劇、犯罪や災害が繰り返されています。新コレクションでは、前回コレクションの怒りに満ちた問題をさらに追求し、声明として提起します。より良い世界を作るために名声や自由を犠牲にして戦う全ての歴史的、現代的なパイオニアに賛辞を送るのです。
前回同様、今回のコレクションでもプリントや縫製、ニットがコレクションの核となっています。刺激的なプリントは、ベルギーのアーティストTim Van den Oudenhovenとコラボレーションしています。彼のシリーズに見られる子供の肖像画は、白布に包まれた顔やベールに包まれたモチーフなどを残し、部分的に焼失しています。抽象的な画像を直接参照し、明示的にコレクションの痛烈なテーマを表現しています。(ジャック・ケルアックのOn the Roadのセリフで締めくくる。)

――最後に、日本のファンにメッセージをください。

(この言葉が「thank you very much, see you soon」と伝わると嬉しいよ!という前置きをして)
オソレイリマス、モウスグ、アエルネ!
http://madsdinesen.com/
http://www.uggla.jp/SHOP/g15245/list.html

Interview & Translation:Kazuma Mori

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