ニューヨーク最大のポップアップイベント「ポップ・アップ・フリー」が、10月31日から11月2日までの週末三日間、原宿・明治神宮前のBa-tsuギャラリーにて開催された。
「ポップ・アップ・フリー」は、創業者マイケル・ウィリアムズとランディ・ゴールドバーグの二人により2009年に始まった期間限定ショップ。今回「ポップ・アップ・フリー」はアジア初上陸の場を東京に決定し、アメリカ製のレアなメンズウェアを中心に販売した。各ベンダーは会場内に思い思いのスペースを設営し、ここでしか手に入らないレアな商品を持ち込み、販売し、そしてファンと交流する。「ポップ・アップ・フリー」創業者ふたりにとっての夢のショップ・創設から6年が経過したいま、ニューヨークにおける最大のメンズウェア・イベントへと成長してきた。
東京での三日間のイベント期間中、現在アメリカを代表するブランドとしてTellason、オレゴン州ポートランドからはTanner Goods、ニューヨークからはFreemans Sporting Club、そしてアメリカの靴メーカーの代表格Red Wing Shoe Co.をはじめとして多数のブランドが出店した。
―なぜ「POP UP FLEA」というイベントを始めようと思ったのでしょうか?
何かお店をやりたいと思っていたのですが、2人とも仕事がある。それで仕事のない、週末にだけ開けることができるお店なら自分達でも出来ると思ったんです。
5年前に自分達が「POP UP FLEA」を始めた時は世界的金融危機があり、経済もとても不況で、守りに入っているお店ばかりで自分達が面白いと思うお店が全然なくなっていました。そういったリテイルのビジネスに対して新しい風を吹かせたという想いもありました。週末のみのお店をやる、そこにコンセプトを付け加えていきました。ただ普通のお店をやるよりも、結果的により楽しいお店になった、それが「POP UP FLEA」です。
自分達が一番好きなブランドを呼び、あまり一緒になるようなことがないブランドを一つの場所に集め、実際に商品を作っている職人や、デザイナーの人たちを呼ぶということをルールにしており、そのブランドが一番気に入っているものを持ちよる。お客さん方も実際に作っている人に会える面白さ、どうやってつくられているのか、どうやってデザインされているのか、そのストーリーを伝えることが出来る。男性にとって商品がどのような工程で作られているのかというのは凄く興味があることだからそれをしっかりと伝えることができるようにしたかったんです。
―どのようにブランドを集めて最初はどのくらいの規模で始まったのでしょうか?
一番最初のイベントは12ブランドだけでした。まずは自分たちの友人のデザイナー達に声をかけることからはじめ、自分達がお店を作ったらということを考えながらブランドを集めました。靴ならここ、洋服ならここ、ひとつのスペースの中であのブランドとこのブランドのアイテムを組み合わせてスタイリングしたら良い効果がうまれるんじゃないかということで。
―どのくらいの頻度でイベントを開催しているのですか?
1年に2回程度で今年は東京で5回目となります。2009年にスタートしていますが今回で丁度10回目となります。
イベント性を大事にしたいのでそんなに頻繁にはやりたくないと思っています。毎回少しずつ大きくなっているので場所もそれに合わせて変わっていっています。次回のNY開催では75ブランドの出展を予定しています。
―今現在は週末のみ、それも2,3日限定ですが、ひとつのお店としてやろうとは考えていないのですか?
勿論お店としてちゃんとやっていきたいという気持ちはありますが、こうやって週末だけやっているイベント性の面白さをどうやれば通常のお店という形態でも続けることができるか、資金面も含めて考えています。でも今後はやりたいと思っています。
―「POP UP FLEA」ではMade in U.S.A.にこだわったブランドが中心です。それはなぜでしょうか?
Made in U.S.A.にこだわるというよりは良いものがちゃんと作られているというところにこだわっています。たとえそれがMade in JAPANだとしても同じです。そのプロダクトが、どのような工程で作られているのかということが重要です。食べ物がどこでどのようにつくられているのかと同じで、その人たちがどのようなプロセスで商品を作っているのか、どの場所で作られていて、どういった技術が使われているのか。伝統的な技術をどのように新しく落とし込んでいるのかということを知ることが重要です。
―今回初めて東京で開催するうえでこれまでやってきた場所と何か変えた部分はありますか?またなぜ東京という場所で開催しようと思ったのでしょうか?
今回参加しているブランドはこれまでにも参加してくれたブランドがメインです。ブランドに伝えたのはここでしか買えないものを提供すること。日本側から集めてもらったブランドに関してもパートナーに自分たちと同じような考えを持っているブランドをセレクトしてもらいました。
限定アイテムがあり、デザイナーがいる、そしてその場所でしかできない何か特別なことをしている。
「POP UP FLEA」はニッチなブランドを集めていますのでそれなりにファッション感度の高いマーケットを選んでいます。東京には自分たちのイベントを受け入れてくれるマーケットがあると思ったのです。
―イベント毎に限定アイテムを作るのは凄く大変な気もしますが。
イベントに参加しているブランドはアーティザン的なアプローチをしているブランドがが多いので、特別なものを作るというのはそんなに大変なことではなく、むしろ楽しみながら作ってくれています。
―実際に東京でイベントをやってみてどう感じましたか?
建物に入り、空間の雰囲気も含めて良いイベントだというのがお客さんに伝わったのではないかと思います。長い目で見た時の、重要な最初のステップとなるでしょう。日本の皆さま方からとてもよい反応を得ています。
―今回のイベントではどのくらいの来場と売り上げを見込んでいるのですか?
私たちが行っているイベントの意味というのは、来場者の数や売り上げでは測ることができません。今回は一回目ということもあり、私たちのことを認知してもらうための教育的な意味合いもあります。ですので、セールスがどうとかはそれほど気にしていません。自分たちに評価を下すとすれば次回ですね。
―日本では初めてのイベントで、それほど日本で知名度があるブランドが参加していないにも関わらず、凄く沢山の人が来場し、イベントを楽しんでいる気がします。
勿論そこは凄く重要なことです。3日しかないなかでどうすれば人を集めることができるか考えました。
昨年の12月にNYでやったときは3日間で15000人の来場者がありました。日本の広さと比べると5倍程度で、ドアをオープンした時には500人程の列がありました。しかし、日本でやるにはそれは難しい事なのではないかとも言われましたし、どのくらいの人が来場したとかではないですが、小さくてもいいからやってみようと思って今回のイベントが実現しました。
―せっかく日本までくるのであればもう少し長い期間やってもよかったんじゃないかなとも思うのですが。
日本ではそれもいいかもしれませんね。文化に合わせて正しい方法を模索していきたいです。
―東京での今後の開催予定はありますか?
やってよかったと思っていますので絶対戻ってきます。
―今後やりたいこと、やりたい場所はありますか?
ベルリンでやれたら面白いかなと思っています。L.A.もやったことがありませんし、ハワイは休暇を兼ねてやりたいですね(笑)。
“POP UP FLEA” 東京出展ブランド:
FILSON、Red Wing Shoe Co.、Billy Kirk、Field Notes、Freemans Sporting Club、General Knot、Hickoree’s、The Hill-Side、Tanner Goods、The Good Flock、Topo Designs、Rancourt & Co.、Tellason、Burgus Plus、Button Works、Tatamize、slow/ Tools、Demode 9、Brown’s Beach、Sabae Handmade Eyewear by Edandy、MADE BY SEVEN -REUSE- (Official Pendleton Upholstery)、Heritage Leather