Interview

Uggla × M!DOR!

2013年にラフォーレ原宿で単独ポップアップショップを行ったアパレルショップUgglaが、6月5日より大阪excube、ベルリンのSAMEHEADSを引き連れ3店舗合同のポップアップショップ「Collage Crush at Laforet HARAJUKU」を開催する。メインアイテムとなるのが、東京を代表するコラージュアーティストM!DOR!と、SAMEHEADSのメインデザイナーRAKIのUggla限定コラボレーション。店内の内装もM!DOR!の全面協力のもとコラージュカラーに染まるという。今回はそのコラージュアーティストM!DOR!と、この企画のプロデューサーで、Collage CrushのメインオーガナイザーでもあるUgglaオーナーのKAZUMA氏にインタビューした。
 
 
-こんにちはM!DOR!さんKAZUMAさん、ラフォーレ原宿ポップアップショップでM!DOR! + RAK! for Ugglaというスペシャルコラボレーションを発表したばかりなのですが、まずはM!DOR!さんに伺いましょう。簡単な経歴をお聞かせください。
 
M!DOR!(以下M)はい、私は文化女子大学のデザインコースを卒業後、グラフィックデザイナーとして企業に勤めながら、趣味として高校生のころからやっていたコラージュを続け、HPなどで発表していました。そしたら突然2010年に原宿のギャラリーから展示のお誘いがあり、そこで思い立ちデザイン事務所を退職し、コラージュアーティストとして独立してやっていこうと思い、今に至ります。
 
-高校生の頃から趣味でコラージュを好きということで、元々アートがお好きだったのですが?
 
M はい、アートが好きで、特にロシア・アバンギャルドやダダイズムが大好きです。ハンナヘヒとか、ジャック・プレヴェールとか。
 
KAZUMA(以下K)シュルレアリスムも感じられるよね、M!DOR!さんの作品からは。
 
M その辺りのアートがすごく好きで・・・そう、KAZUMAさんと初めて会った時いきなりその話で盛り上がりましたよね!
 
K そうそう、原宿の古着屋さんでたまたまM!DOR!さんを紹介されて、10分後にはセザンヌとかフォービズムとかロシア・アバンギャルドとか・・・(笑)
 
M KAZUMAさん、ロシア・アバンギャルド食いついてましたよね(笑)
 
K そう、僕もベルリンの旧東エリアに家を借りていたこともあったし、DDRデザインが好きだったりしたので・・・まぁロシア・アバンギャルドはDDRとは全然違い、原色使いで政治的なカラーのするメッセージ性の強いものですが。
 
M 駅で別れるまでずっとアートの話してて・・・その後KAZUMAさんからインスタで連絡が!
 
K そっか、俺インスタで連絡したんだよね(笑)LINE教えてよ!って(笑)
 
M そうですよー(笑)ちょうどその後FACTOTUM GALLERYで展示があったので、お誘いしたら来てくれて
 
K M!DOR!の展示会を初めてみて、凄いなーって思いました。老若男女外国人含めたくさんの人が小さなギャラリーにいっぱいで、迫力ある原画と雰囲気に飲まれました。
 
M ホントですか??嬉しい!
 
Kその後食事に・・・


 
-お二人で盛り上がってるところすいませんが(笑)、ちょっとお話を止めてKAZUMAさん、Ugglaの成り立ちを教えて貰えませんか?
 
K あ、そうですよね、すいません(笑)
Ugglaですが、話は遡り、元々僕が大学3年生の頃1ヶ月ぐらいフランス、イタリアを旅したんですね。まぁ初めてのヨーロッパで様々な衝撃を受けるわけですが、最も印象的だったのがNIMEという南仏の街に行った時のこと。すごく静かな小さい街で、メゾン・カレという古代建築や、カレ・ダールという芸術大学があったり、とにかく静かなだけでなくお洒落な若者もいたり、現代建築もあり、凄く美しい街なんです。季節も3月のちょうど暖かくなってきたころで、快晴の中街の中心の広場でランチを取っている時間、それまで感じたことのない多幸感に包まれてしまい、、、平日なのに家族連れが2時間ランチとっていたり、路上演奏家の素敵なバイオリンやオペラに囲まれて、こんな経験日本でした事ない!もはやここはディズニーランド!?みたいな。
 
M 素敵ですね、そんな経験。
 
K そう、その頃大学は就職活動真っ只中で、地球の裏側では平日の昼間からこんなに素敵なスローライフを送る権利がある人たちがいるのに、これはもう、いつかヨーロッパに住むしか無いって思って、それからそういう仕事ばかり選んで来て。
 
M あ、だからKAZUMAさんワインの資格とか持ってるんですか?
 
K そうそう、浅はかな考えだけど(笑)僕は音楽制作もやっているのですが、それも始めたころ音楽制作や録音がDTM(desktop music)へ移行する過渡期で、これを習得すればどこにいてもPC1つで音楽制作の仕事が出来るとか、とにかく海外でも通用する仕事だけを求めてきました。でも会社を作ったりなんだりで、なかなか住むまで至らなくて・・・。そして音楽の仕事が少し落ち着いた時に、ふとずっと好きだったファッションで何かしたいなと思い。
 
M それが今につながるんですね。
 
K バイヤー=海外に住んでると勝手に思ってて、じゃあバイヤーになれば海外に住めるのかと(笑)でもバイヤーになるには店がなければいけない。店がないなら作るしか無い。そんな感じで・・・
 
-それでUgglaをオープンし、海外につなげたのですか?
 
K はい、最初に偵察と称して海外3都市を周りました。北欧ブランドを見るためにコペンハーゲンと、あと当時仕入れたいブランドのストックハウスがあったワルシャワ、そしてなぜか今でも分からないのですがベルリン。そして最初に降り立ったベルリンに恋をしてしまい、日本帰国後家を借りて、日本とベルリンを行き来していました。ベルリン拠点に北欧に何度も行き、もうコペンハーゲンなんて20回ぐらい行っている気がします。でもどこへ行ってもベルリンが一番自分の肌に合っていると思います。
 
M ベルリン私もいつか行きたいです!
 
K そう、アーティストの街だから、M!DOR!さんは行くべきだよね!でもM!DOR!さんの海外の話も凄いよね!ジャック・プレヴェールの家に行ったんでしょ!?!?
 
-本当ですか!?
 
M そうなんです、実物をどうしても見たくて
 
K でもそれどうやってアポとったの?
 
M 著作権管理団体に何度もメールして、フランスに行くので、どうしても一生に一度は現物が見たいって言って・・・
 
K えー!凄い行動力!それでOKって?
 
M そこまで好きなら是非見てくださいと、本当はもちろん入れない場所だけど、特別に入らせてもらい、見せていただきました。もう感動で涙溢れました。。。


 
-それは凄い経験ですね!M!DOR!さんは他に海外は?
 
M最初に行ったのはロンドンとチェコで、どうしてもセドレツ納骨堂に行きたいって思って。
 
K 出た!(笑)
 
M もうほんと綺麗で落ち着く空間で、2時間ぐらい私いました。知らないおじさんと一緒に!
 
K あそこは写真でしか見てないけど、ダメな人はダメなような・・・
 
M 私は怖いとかそういうのは感じなかったですよ!むしろ凄いとか、綺麗とか、そういう言葉ばかり浮かんで。
 
-特別な感性をお持ちなんですね。
 
K だってガーゴイルが可愛いとか言うんだから!
 
M 可愛いですよガーゴイル!私ほんとガーゴイルも大好きで、ずっと近くにいて写真撮ったり撫でたり・・・
 
K ガーゴイル姉さんとか呼ばれてるからね(笑)
 
-ガーゴイル・・・そんな会話が出てくるとは夢にも思いませんでした(笑)しかしお二人とも海外で色々な経験をされているようですが、Ugglaは仕入れも全部ご自分で?
 
K もちろんです。最初はデンマークを中心とした北欧ブランドをと思っていたのですが、アイスランドに最初に行った時に、彼らのデザインに惹かれ、アイスランドブランドもかなり揃えました。
 
-アイスランドブランドのどのような部分に惹かれましたか?
 
アイスランドって、地震や火山がある島国で、規模は違えど人々のマインドが日本に似ている部分があるのかなと感じました。デザインにおいては自然とエレクトリックの融合のようなデザインが多く見られ、その辺りも私達が持つ感性と近いのかなと。そう、それでファッションをもっと知りたくて、RFF(Reykjavik fashion festival)に2度目に行った時、アジアから来てる唯一のバイヤーとして大統領官邸に招かれ・・・
 
-え?本当ですか!?
 
K はい(笑)アイスランド大統領と写真撮らせていただきました。何事かと思いました。
 
-そんなこともあるのですね!アイスランド、是非行ってみたい!静かな国のイメージがありますが。
 
K それは全く無い(笑)国民みんなアーティストのような街で、みんなお酒強いこと!他国から渡氷したバイヤーさんたちも口をそろえてDangerous islandと言っていました(笑)街並みは本当に全てがクリアーで美しく、一度は行くべき島だと思います。
 
―ここらへんで一度話を戻しましょう。最初にお二人で食事をしたという先ほどの話。今回のコラボはここで決まったとか?
 
K そうなんです!最初はM!DOR!さんがFACTOTUM GALLERYで展示していたトートバッグを見て、なんとなく洋服になるイメージがあって。
 
M 服作ってないの?ってKAZUMAさんに言われて、作ってないけど私ずっとやりたかったんですって言ったら、一緒にやりたいねって言ってくださって。
 
K M!DOR!さんがUgglaで取り扱ってるRAKIを気に入ってくれてて、RAKIのインタビュー見せたんです。そしたらRAKIが好きなアーティストがM!DOR!さんのそれと被ってて、それじゃ一緒にやってみようかって。すぐに、今回一緒にCollage CrushをやるベルリンのショップSAMEHEADSのYUKIKOに連絡して、M!DOR!さんの画像送って。
 
M そしたらすぐにRAKIさんからもメッセージが来て!RAKIさんが私のコラージュを気に入ってくれたって言ってくれた時は、本当に嬉しかったです!
 
-そんなにすぐに決まったのですね、このコラボレーションは!
 
M はい、何もかもがトントン拍子で。
 
K 二人の性格なんでしょうね。やりたいって思ったらすぐに行動しなきゃ落ち着かない。


 
-さて、クリエイションの部分ですが、今回の服の製作はどのようにして行われましたか?
 
K まずは二人でミーティングして、僕がM!DOR!作品の中から、こういった雰囲気のもので行きましょうと方向付けをして、そしてM!DOR!がそれを元に原画を作って、それをスキャンしてRAKIに送って。その後RAKIから型の提案をもらって、それに対し僕が原画はこれでリピートパターンはこれで等、デザインやカラーを決め、それに添って布を発注し。
 
M 初めてRAKIさんからスケッチが届いた時に、あまりの感動に声が出てしまいました。
 
K だよね、めっちゃくちゃ可愛い-!ってメッセで盛り上がったよね!
 
M私はずっと服を作ることが夢だったので、それを見た時は本当にこみ上げてくるものがありました。
 
-切り替えのカラーリング等はすぐに決まったのですか?
 
K はい。RAKIがスケッチの段階でM!DOR!さんのコラージュからイメージ出来るカラーを当てていてくれたのもありますが、コラージュを見てパッとカラーがイメージできました。色を決めるのはとてもやりやすかったです。そういえば大阪のデザイナーさんが一連の作品を見て、袖のカラーリングKAZUMAっぽいって(笑)
 
M その辺やっぱり私達、感性が似てるのでしょうね。
 
K しかもその時まだラフォーレポップアップの日程が出ておらず・・・。
 
M そうですよね、確か、でもやっちゃえみたいな。
 
-日程が決まったのはもっと後だったんですか?
 
K はい、実は今回全く日程が決まらず、それから2週間後ぐらいに全く何も考えずふと出雲大社に行ったのですが、その帰りの道で、今回の大阪&東京のポップアップの日程から、ZINEを作るところまで一気に決まって。
 
M くるみさんもその日でしたよね!
 
-そう、今回ZINEのモデルに森下くるみさんを起用した理由はなんですか?
 
M 降臨したんです(笑)
 
K 「今回はZINEを作りなさい、彼女をモデルにして」という声は聞こえてないですが、どこからかそういうものが入ってきて。それで彼女のブログを見たら、とても文学的で面白くて。元々、いわゆるファッションモデルではない、それでもこの企画にふさわしい誰かを探していたのもあったのかもしれません。コンタクトをしたら、二つ返事でOKいただき。
 
-森下さんの印象はどうでしたか?
 
M 第一印象が本当に良くて、凄く綺麗だし話しやすいし、言葉が凄くしっかりしていて、自分のものになっているなと感じました。
 
K 小説家もやっているので、言葉選びの流石さや、他の人にはない独特な間の感じがあるよね。
 
M そうですね、ホントZINEが楽しみすぎます!
 
-今回はその森下くるみさんがモデルとなってM!DOR! + RAK!を着用、それを撮影したものをさらにコラージュという、とてもユニークかつ斬新なZINEとなりそうですが、メイクも今回ラフォーレ原宿にあるBEAUTIKのKaoriさんを起用しました。
 
K はい、Kaoriさんとは以前ラフォーレ原宿でポップアップをさせていただいた時に知り合いましたが、彼女はずっとNYCでメイクをやっていた方で、とてもユニークで面白い方なんです。いつか一緒に仕事してみたいと思っていたので、ホントこのタイミングで出来るということで、最高にハッピーです!
 
-メイクに関しましては色々打ち合わせしたのですか?
 
K はい、何度もイメージを伝え、画像でやりとりしたり、実際にBEAUTIKさんでウィッグなどを拝見したり・・・あ!そういえば!今日出来てたんだ、スカーフ!
(本日仕上がったスカーフをM!DOR!の前に差し出す。)
 
M うわー!!!!めっちゃ綺麗ですね!!!!最高です!!!
 
K これ本当に綺麗だよね、これもほんと一瞬で決まったよね。Kaoriさんからスカーフの提案もらって、すぐM!DOR!さんに連絡してスカーフ作らない?って。
 
M ものの数十分で私、これまでの作品を正方形にしてKAZUMAさんに送って。
 
K 最初は2型ぐらいあったら嬉しいなとか言ってたら、30分ぐらいで一気に10デザインほど送られてきて(笑)
 
M 結局5型もあるんですよね!ホントこれ美しい!最高に嬉しすぎます!
 
K 各限定2枚だから、これは争奪戦かもね!
 
M スカーフもずっと作りたかったので、本当に嬉しい!
 
K スカーフもこうやって見ると、これまで作ってなかったのは不思議なくらいだよね。

-ちなみにM!DOR!さんはUgglaで扱っている服をどう思いますか?
 
M 私は実は元々KTZやジェレミースコットが大好きだったので、すぐにUgglaワールドに入ることが出来ました。Ugglaは一見派手なデザインが多いですが、RAKIのように一見ヴィンテージ感のあるコラージュ風な洋服があったり、自分のインスピレーションにもなるし、幅広く楽しめるショップだと思います。
 
K M!DOR!からKTZって言葉を聞いた時はビックリしたよ(笑)
 
M 昔は髪も派手だったし格好も派手で(笑)今は古着ばっかり着ていますが。
 
K 100年前の古着とかも着てるもんね。
 
-今後もお二人で何かやりたいと思いますか?
 
M はい、もちろんです!ずっと私は服を作るのが夢だったので!
 
K ヴィンテージとかアンティーク感のある洋服が、M!DOR!さんのクリエイションには合うと思うから、その方向性で作ってみたい。言葉にすると簡単になっちゃうけど。
 
M そう、元々私のコラージュ自体、古いものを自分の手で組み合わせて新しいものを創りあげているから、そういうテイストとのマッチングは悪くないと思います。
 
K むしろバッチリだよね。僕もDUBという音楽をずっとやってきたんだけど、それも既存の音楽を分解し再構築するという手法を用いてて。そう考えると、僕のやってきた音楽も、M!DOR!というアーティストのコンセプトとも一緒だしね。
 
-今後も続けていくのであればとても楽しみです。ラフォーレ原宿Collage Crushでは店頭にも立つのですか?
 
M 立ちます!そして5日のレセプションパーティではライブコラージュをやります!
 
K そうそう、2度目なんだよね。前回は緊張した?
 
M はい、みんなシーンとする中でじっと私の手元を見てるから、手が震えちゃって(笑)明るい感じでオーとか盛り上がってくれたら嬉しいです(笑)

-森下くるみさんも参加されるとか?
 
M はい、今回はスナップ&コラージュといって、くるみさん含めお客さんたちのスナップを撮らせていただき、それをそのままコラージュするという新しい試みをやってみようと。
 
K 是非とも皆さん遊びに来ていただき、シーンとじゃなく盛り上がっていただけたらと思います(笑)イエガーボムが力を貸してくれるといいね(笑)
 
Mそうですね、それ以外も店頭にいるようにしますので、少しでもたくさんの人にお会い出来て、そして私達のクリエイションを見ていただけたら嬉しいです。
 
K Uggla以外にも大阪のexcube、ベルリンのSAMEHEADSのエッジーなセレクトは、もちろん一見の価値ありです!excubeで販売するブランドのデザイナーも代わる代わる店頭に立つ予定ですし、M!DOR!さんの作品も展示しますので!
 
-それでは、Collage Crush at Laforet HARAJUKU、楽しみにしております。
 
M&K ありがとうございました!
 

「Collage Crush」
開催期間
2015年6月5日~6月17日
開催場所
ラフォーレ原宿2Fコンテナスペース
オープニングパーティ:2015年6月5日19時~22時(招待制。参加希望の方はshopmaster@uggla.jpまで)
問い合わせ:shopmaster@uggla.jp

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