Fashion Show

Ann Demeulemeester

これまでモノトーンをベースにして描かれる事が多かったAnn Demeulemeesterの世界観。しかし今回のコレクションで登場したのは、様々な美しい色やファブリックを自由な着こなしで楽しむエレガントな男性。精神と肉体という相反する世界が自由に出逢い引き出された、本質的な色彩の魅力。

ロングジャケットやガウン、パジャマといったAnnのクラシックアイテムは、多彩なカラーとファブリックによりその表情を変える。同じパープルでもヴァイオレットとライラックという異なるトーンを織り交ぜ、また光の反射具合によりオレンジとグリーンを行き来するジャカードなどを使用する事で、カラフルでありながら仕上がりは繊細に。特に光沢を与えられたサマーコーデュロイなど、柔らかく軽やかな質感で表現されるメタリック感が印象的。また古い壁紙をモチーフにしたプリントがカラーに深みを与える。

今回最も特徴的なのはジャケットやカットソーのライニング。カラーリングに加え、ハードとソフト、シャイニーとマットの素材感により、コントラストが強調されている。

アクセサリー類も、オレンジのバッグにヴァイオレットのブーツなど、コレクションのキーカラーを用いたものが多く揃った。

光と影のように、鮮やかなカラーで自身のダークで詩的な世界観を表現することで、斬新であると同時にAnnの美学を存分に感じさせたコレクション。

Text:Yasuyuki Asano


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