Interview

BALMUNG 後篇

それぞれがその存在証明をはっきり出すことによって単純に相互効果というかそういったものが集まってカルチャーが出てくるんじゃないのかなと思っています

-常に過去に遡って未来を見据えるわけですよね

そこは縛られるほど固執しているわけではなくてあくまで議題として掲げる程度な感じです。時には外れることもありますし。

-洋服を通して伝えたいことってありますか

洋服は洋服なので言葉で伝えたいのであれば言葉で伝えればいいと思います。だから服で伝えるってことはそんなに意識してなくて。何かを感じてくれればいいし、感じてくれなくても楽しんでくれればそれで良かったりしますし。みんなで共有できる意味というか意義みたいのは広い気がしますね。あまりピンポイントで 「このメッセージが」というのがあるわけではないですね。単純に自分が服作りを楽しんでいる部分もありますし、シリアスな部分での相互コミュニケーションじゃなくて、遊びの中で生まれてくるようなコミュニケーションに近いんじゃないですかね。

-BALMUNGにはメンズ、レディースの区別がありませんがそれはなぜですか

意識してユニセックスにしてるわけではなくて、自分の作る雰囲気の出来上がった結果が男女両方で共有できるようなサイズ感覚であったり、自分自身も作る時の意識として、男か女かというのをそんなにはっきり意識もしてないんです。自分自身の今までのルーツから言ってもあまりファッションって男女の差というのを本質的な部分で感じたことがないので、そういうものが自然に現れて自分の作る服に性差というのを少なくしてるんだと思うんですよね。狙ってるというわけではなく、自分から出てきたら自然にそうなったというか。

-では特に男性にとか女性に着てもらいたいとか意識したりしないんですか

意識はしてないですし、誰に着てもらいたいとかも全然なくて。自分の中でこういう感じの人が似合うんじゃないのかなというのは少しはあったとしても、そこを自分で決めることに意味を感じないので。ハイファッションとローファッションの組み合わせみたいなコンセプチュアルなコーディネートを楽しんでいる時代だと思いますし。Apeみたいな服とLouis Vuittonをコーディネートするというのも一つのコンセプチュアルな着こなしだと思うのでそんな時代にこういう服を着てる人に自分の服を着てもらいたいとそういうのがある時点で自分の中に限界を作ってしまうのかなという思いがあるので。あまり懐古主義的な考えは好きではなくて、見たことないようなものに興味があるので常にそういうものを探し続けるみたいな意味もあるんですけど。

-自分のブランドでも「新しいもの」を表現したいということですか

強く意識してるわけではないですけど既に見たものを自分でもう一回作るというよりは今まで見たことないものを自分で作りたいと思ったりします。今みたいな世の中だからこそ作り続ける意味というのが重要だと思うので。大して意味がないのなら古着を楽しめばいいと思いますし、これだけ服がありふれてる中で新しく布使って、労力もかけて服作る意味はないと思うので「なぜ服を作るのか」という意識はありますね。その答えはそれぞれがその存在証明をはっきり出すことによって単純に相互効果というかそういったものが集まってカルチャーが出てくるんじゃないのかなと最近は思っていますね。

-(オーがナイズをされたようですが)CandyのエキシビジョンにHIROさんを選んだ理由を教えてください

自分はHIROさんが「ぶっ壊してやろう」だとか「何か面白いことをやってやろう」という心を持っている人だというのを知っていたのでHIROさんに声を掛けてやってみましょうと。

-BALMUNGがHIROのエキシビジョンの為に作った洋服について教えてください

自分が初めてHIROの服を見たときに感じたHIROの服という印象が良い意味で自分の中に残っていて。自分の記憶の中のHIROの良さを自分の服に加えるという意味で50:50でどっちの色にも染まることのないような感じで作ってみました。

-完成したエキシビジョンを見てどう思いましたか

自分が考えているファッションの面白さみたいのが凄く出ているというか、その人それぞれの表現が本当に色濃く出ていて。他人が他人の答えであったり、結果とかを完全に100%限定したり想定出来得るものではないと余計に確信しました。他人のことは分からないし、その人が何を出来るのかというのも分からない し、だからこそ自分が考え付かないようなことを見せてくれたり、自分もそういうことが出来るので、お互いにぶつけ合って解らない者同士で積み上げていく、そういった積み重ねが最終的には歴史の積み重ねというかカルチャーの積み重ねになって先に進んでいくことだと思うんですよね。

-(HIROの)パーティーに来たたくさんの人達を見てどう思いましたか

あまり感じたことがないような服が持つ側面みたいなものを見ることが出来たんじゃないんですかね。

-エキシビジョンは成功だったということですか

やること自体が良かったことだと思いますね。みんなの表情とか熱気みたいなのがその答えだと思うんですけど。

-ではその結果を受けてなにか次みたいのは考えていますか

(今回みたいな形ではなく)もうちょっと別な形で出来ればいいとは思っていますね。



-自分のブランドでショーをやりたいという思いはありませんか

自分のブランドに関しては自分のやりたい表現みたいなものが先に来ているので自発的にランウェイをやりたいという気持ちはないですね。どちらかといえば写真とか映像表現の方が興味があります。

-普段あまり使っていない素材を取り入れているとのことですが

今回のコンセプトの一つなんですけど、凄く着易い素材とか形に違和感を感じるような素材を組み込んだ時の服、肌で感じる感覚みたいなものですね。スウェット素材にコーティングされたレザーだったり、チュールだったり、オーガンジーだったり、強いコントラストを一つの服に入れてあるという感じですね。自分の中でスウェットの存在を広げてみたいというのがあって。

-パターンは自分でやられているんですか

そうですね、縫製も自分でやっています。完全なハンドメードの服を今は目指したいですね。今自分が服に込めたい自分自身の存在証明という部分が大きかったり、あとは服の存在として画一的なものになってしまうと他のもので代用出来てしまうと思うので、自分のデザインしたものを自分で作り上げるというのは一番大事なんじゃないかなと思います。服に込める意味だと思うのでその意味がマスな考え方であったり、上質なテーラードとか、綺麗な服を作るというのが前提に あれば自分よりも技術の高い人に縫ってもらったりというやり方もあると思いますが、今作ってるものは自分自身の枠を超えたものは服のコンセプトではないので。

-ファッションに目覚めたきっかけについて教えてください

中学生のときに塾の友達に「お前ダサいね」っていわれたのがきっかけですね。それで目覚めた瞬間からすぐのめりこんでしまって。TVCMとか見てコーディネートを学んだりしていましたね。

-デザイナーになろうと思ったのはなぜですか

それも中学3年くらいの時に将来の進路を考えた時に「服のデザインをするような仕事につくことが出来たらいいなー」って思ったのが始まりですかね。

-自分らしいファッションを意識したのはいつ頃でしょうか

自分らしいというのは意識しなくても滲み出てくるものだと思うんですけどそれをはっきり意識しだすようになったのは専門学校に入って、東京に引っ越してきて原宿とかで時間を過ごすようになってからですね。原宿特有のテンションの高い感じがあって自分の持ってる特長みたいなものを後押ししてくれたというか、 あーいう中にいたからもっと前に出ようという思いを強くしてくれたという感じですね。原宿の影響は物凄く大きいです。

-それ(原宿の影響)はデザインに関してもそうですか

絶対にでていますよね。デザインは自分の人生の全部が反映されると思うので。原宿で過ごしたファッションに関する体験は一番ベースなんじゃないですかね。

-今も原宿にはそういったパワーみたいなものを感じますか

街自体が変わってしまって自分の中での好きだった原宿というのはちょっと終わってしまったかなという感じはしますね。

HP – http://balmungtokyo.web.fc2.com/

Interview, Text/Masaki Takida

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