Interview

nusumigui 山杢 勇馬 4/4

今まではずっと一人で作業して来た。でも辛い経験を一緒にして、本当に色んな話をした。自分もこの人が手伝ってくれたらいいなって思った。今は偶然にもアシスタントの子と感覚が共有出来ているんです。「こういうのやりたいんだ」って言うとそれが伝わるんです


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―昨年からは日本橋伝馬町のCreative Hub 131にアトリエを構えています。アトリエが出来たことで何か変わった部分はありますか?

上の階にはロンドンやニューヨーク等でもプロジェクトをやっている凄い人達がいて、色んなことを一緒にやらせてもらったりしています。東京蛍のイベントにも絡ませてもらったり、東京デザインタイドにも出ることができたり。それに色んな来訪者がいて、色んな話が出来る。洋服だけじゃなくてアートの人達も多い。刺激を受けますね。

ロケットでの展示に関しては色んな人と出会って色んなことをやりたいなと思ったのがきっかけで自分的にはそれが結構できたのかなと思っています。
話をいただいた時にはじめは服を並べて展示会をやろうと思っていたんです。でもあそこはご飯が食べれる。ご飯を買って、上のチーズのクッションの上でご飯食べたり、みんなで飲み物を飲む、そういうのをやりたかった。
ねずみごっこというイベントもやったのですがそれはお客さんがねずみの格好をすることで展示物になる。ねずみの格好をしてみんなでご飯を食べるだけなんですけどそういうことがやりたかったんです。ねずみはアトリエにいるんですけどドアの下にいるんです。木の穴をあけてそこにいて、いつも怪獣がひっぱりだこなので次はねずみにチャンスを与えようと思って日の目があたらないねずみくんにもスポットを当てたんです。
でもそういったことをやれてよかったです。展示物は展示物だけで終わってしまう。それを利用してみんなでわいわいしたかった。ねずみごっこも20人以上も着てくれましたし、みんな初対面なんですけどみんなでごはんを食べながらひとりずつ自分の一週間を喋るという会だったんです。

―人気者の怪獣ですがロケットの展示にも登場していましたし、過去のインスタレーションでも使用していますし、自身のアトリエにも目立つところにいます。どんな存在なのでしょうか?

彼はアクアでの展示の時に作ったんです。理由は覚えていないんですけど思い立ったら作っていたんだと思います。名前もそのまま”かいじゅう”です
一応彼は僕のアシスタントという設定でブランドと同時に誕生したんです。僕的に完全に真面目にブランドをやっているというよりはどこか人形も一緒に作業しているみたいな方が自分的に良いなと思って。

―Twitterでも怪獣がカタカナでたまにつぶやいているそうですね。

自分の中で真面目なことだったり、色々裏があったり、凄く重要なことを代わりに怪獣が言ってくれています。あまり自分で言えないことを軽く言っていたり。メッセージ性があるんです。

―ロケットの展示の直前には熱海に自転車旅行をされています。

色々精神的に追いつめられていたんです。展示会が終わってロケットまで時間がない。ビルのパーティでオープニングもあったし、(ブロガーの)スージーバブルがきたり、本当にばたばたしていた。アトリエの中でインスタレーションのようなこともしなければいけなかった。全部が重なって時間がなかったんです。
それでロケットまで日がないとなった時に急に自転車で遠くに行きたくなったんです。

―リフレッシュをする為の旅行に行きたかったのでしょうか?

何かヒントがあるのかなと思ったんです。行ったんですけど特には何もありませんでした。野宿までしたんですけど。
でも気分転換にはなりました。行きは雷雨で本当に辛かったんです。上下合羽を着てテンション上げていったんですけど。茅ヶ崎でようやく海が見えて、テンションがあがって、でもそこから山道にはいったら渋滞もあるし、自転車がこげないようないような山道だったり。それでついたらついでまた豪雨でとにかく辛かったですね。

その時に今アシスタントをしている子と行ったんですけど色んなことを共有出来たんです。それまではずっと一人で作業して来た。ブランドを初めて一ヶ月くらいした時にすぐにアシスタントをやりたいと言ってくれる人がいたんですけど全然合わなかった。それからは絶対一人が良いと思っていたんです。
その子とは元々仲良くしていたのですがああやって行って辛い経験を一緒にして、本当に色んな話をした。元々色んなことが似ているんです。その子もスナップとか良く出ている子ですしここのがっこうに通っている。
その後にお手伝いしてくれるということになったのですが二日間一緒にいたのが良い感じになっているなって思います。辛かったけど一緒にいても喧嘩しなかった。自分もこの人が手伝ってくれたらいいなって思ったんです。ただ彼は自分でブランドをやると言っていたのでそういう気持ちはないのかなと思っていたんです。熱海が終わってからもちょくちょくアトリエに来てくれていたんですけど初めて二人でお酒を飲んだ時に、「山杢さんアシスタントつけないんですか?」って話から「そろそろねー」って言った時に「僕やりたいです」って言ってくれて。それから手伝ってもらっています
ロケットの展示も4日間泊まり込みで作業を一緒にしてくれて。彼がいなかったら完成しなかった展示です。

―アシスタントの子とは感覚まで共有出来ているのでしょうか?

偶然にも共有出来ているんです。「こういうのやりたいんだ」って言うとそれが伝わるんです。向こうも適当なんで服作りも学んでないですし、ミシンももってないような人で。安全ピンでやったりとか。うちのアトリエにはミシンがあるのでミシンを教えたりもします。こういう服を作りたいって言ったら任せてくださいと。やったら案外いいものができてきたり。あとは二人でお互い着ながらつまんだりして「こここうしたらもっとよくない?」とか楽しみながらやっています。その子も着るということが好き、自分も着るということが好き、だからお互いに楽しくやれている。「この感じが良いからここを切ってこういう風に繋げよう」とか。

―アシスタントが入ったことでクリエイションに変化はあるのでしょうか?

それはないと思います。最終的には自分が関わりますし、全部その子がやるということはないので。

―今現在一ヶ月にどれくらいの量、服を作れるんですか?

10から15着くらいですね。

―今は全て手作業ですが、一点もの以外、量産服を作る気はありますか?

量産をする気はありませんが頑張ればもう少し作れます。

―今はマカロニックのみですがブランドを広めようという気持ちはありますか?

取り扱いは増やしたいなと思っています。ただ最高でも全国で5店舗。マカロニックプラス地方で4店舗だと思っています。
コレクションシーズンに各地を巡回出来たらと思っています。何週間か期間を空けて新作を追加して。とりあえず地道に少しずつやれればいいですけど。

―ブランドを始めてから2年程経過しましたがここまでを振り返ってどう感じていますか?

正直順調すぎると思います。自分の周りでも大変な人は何人もいる。それに比べたら自分は凄く順調にきている。ましてやああやってロケットみたいな場所で展示をやらせてもらえたり、本当にありがたいなと思っています。

―今後の目標はありますか?

ブランドってすぐなくなっていきますよね。3年目で消えていくブランドが多いと聞くのですがちゃんと続けたい。とにかくブランドを3年間続けたいです。

Interview & Text:Masaki Takida

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