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rooms23 VIVID review7

rooms レビュー最後となる今回はFASHION AREAの注目ブースを紹介していく。

FASHION AREAの中に更に大きな1つのブースが陣取っている。床にはスクランブル交差点を見立てたデザインがされ、内装をブラックで塗りきらびやかな装飾で、他のブースとは決定的に雰囲気の違う空間が演出されていた。それが今回初めての試みであるCANNABIS ladies 佐藤隆一氏のディレクションによりできたブース「108」だ。ファッションのジャンルがボーダレスになってきている現在。架空都市「HARAJYUKU SHIBUYA KOUSATEN」を作り、ギャルの世界にあるものと原宿カルチャーの間を行く、リアルファッションの展示を試みている。加えてアンチファストファッションと銘打って、デザイン性やクオリティーを武器に独自の色を押し出している。10ブランドが並び、服やアクセサリー、そしてこの企画に合わせてデビューした若い方に向けたラインNOZOMI ISHIGURO tambourineがブースを飾った。

まず108エリアで紹介したいのが、NOZOMI ISHIGUROの新レーベルNOZOMI ISHIGURO tambourine。バックが大胆に裂かれっているTシャツ、カラフルなプリント生地を縫い合わせたブラウスが印象的だった。今回のroomsで初のショーを行い多くの来場者の注目を集めた。


そして、原宿のビンテージショップ「ベルベルジン」とCANNABIS ladiesの合同企画ブランドmasturbation。今年から始まったブランドで古着をリメイクしたアイテムを扱う。いかにもな古着っぽさを排除し、ラグジュアリーなセクシーさを追求する。ビンテージデニムにチュールをドッキングさせたスカートといったように、洗練された雰囲気でこなれたリメイクを実現していた。

Joelle Gagnardは、美容室「Bloc」山本洋史のデザインによるヘアアクセサリーブランド。カジュアルなものからエレガントなものまで、幅広い年齢層、嗜好の人が楽しむことができるアイテムを取り揃える。美容師目線のデザインで、髪型に合わせてのスタイリングを提案。展示場にはヘアアクセサリーを着用したモデルの写真が大きく飾られていた。

次に紹介するブランドはVery brain。2009年A/Wからスタートした大阪を拠点にしているブランド。名前の由来はVERY(本当に、非常に)とBRAIN(脳、知性)をあわせた造語で、脳は人間の知覚感情を司るところから「本当の感性」という意味合いを持たせている。シルクシフォンのような透け感のあるガーリーなものと、スタッズがついたレギンスのようなハードなものの両立が次のS/Sテーマ。かわいいだけでないエッジがきいて、ロンドンのストリートカルチャーを品よくした作品が展示されていた。

続いてはクッションを扱っているブランドGALAでグラフィックはYOSHIROTTEN氏が担当。ブランド名はダリの晩年の奥さんガラからとったもの。今期スタートしたばかりで、これから徐々に違うアイテムも作っていく計画だという。ブランドコンセプトは「ROOMREALISM(ルームリアリスム)」で部屋にシュールリアリスムをいう思いを込めている。女性の部屋を化粧ポーチに見立てた大きなルージュやフレグランスボトル、コラージュのような唇や眼。シュールリアリスムを部屋に置いて遊ぶクッション達は奇知をてらう作品郡だった。昇華転写でポリエステル素材のベロアにカラーリングをしているという珍しい手法、素材を駆使しているという。デザインだけでなく、それを可能にする技術にも独自のアイデアが反映されていた。


108ブース最後に紹介するのがdual&Co.SHOWROOMで展示していたブランドToi et MoiとMAD LOVEだ。オーストラリアデザイナーのGil Lawrenceはシドニーを拠点に活動されており、フランスのカルチャーやファッションから影響を受け、都会的なコレクションを発表している。MAD LOVEの今期はメキシコの砂漠や民族の模様からインスピレーションを受けている。よく見ると髑髏が浮かび上がってくる模様や、サイケデリックなカラーが印象的だ。イギリスでも展開しており、Toi et Moiと合わせてアメリカだけで200店舗に卸している。Toi et Moiの今期はthe first timeというテーマで、初恋や初デートなどの特殊な経験が今のあなたを形成していて、大切にすべきこうした経験をコレクションで表現するというコンセプトだ。ゆったりとしたシルエットに大胆なプリントを使うという作品が多くみられた。

FASHION AREA の中の108ブースをここまで紹介してきたが、FASHION AREA最後はOSKLENを紹介する。ブラジルのリオ・デ・ジャネイロを拠点にファッション、アート、カルチャー、デザイン、自然を融合させブラジルらしい現代的なライフスタイルを表現している。「ロイヤル・ブラック」と題した今回のコレクションは、ブラジルの黒人がテーマでブラジルの歴史と文化に多大な影響を及ぼしたアフリカ系の人々を称えた。箔プリントであしらったワンピースやリネンのようなシルク地のマキシ丈ワンピなどリゾートテイストな作品が並ぶ。メンズもサーフ系のショートパンツやカポエラをモチーフにしたTシャツなど品数も豊富だった。

今度は国内外のデニム・ブランド、ハイカジュアルブランドを集積した展示エリアGOLD。ヨーロッパの町並みを再現したというエリアには暖色系の色を貴重に洗練された中にも温かみのある空間が広がっていた。異なるブランドを一堂に会する難しさを、1つのコンセプトのもと統一感をもたせ、バイヤーや来場者の方々にわかりやすい提案を心がけての結果だという。エリアディレクター関弘巳氏が提案するハイカジュアルという表現は、モードではないがまじめ服作りをしているブランドや、巧みの技ではないが染色や縫製にこだわっているブランドを指す。そしてゆくゆくは世界に対して発信していくことを目標にしており、日本では数少ないカジュアルラインでのコレクション発表なども手掛けていきたいという。モード=デザインだけでなく、カジュアル=デザインという見方もあるということを世間に広め、力のあるブランドを支えていくという理念がこのGOLDというエリアだ。出展ブランドも関氏自らが選び、日本のブランドだけでなく世界のブランドも参加している。継続的に出展しているブランドも多くあり、日本の大型展示会のなかでは珍しい。こうした要因がリピーターの確保につながり、一番の業績を上げる理由だと関氏は分析している。そして合同展示会ではなく、Trade showというshow空間を日本に根付かせることを使命にというこれからプロジェクトを動かしていきたいという関氏の活動に今後注目していきたい。


GOLDエリアでまず紹介するのはEpisode no.,で、こちらはメンズウェアのブランド。タグについてある10からのナンバーがあり、10からスタートし0になると完結しブランドが終了するというおもしろいコンセプトのブランド。期限を設けることでより内容の濃いアイテムを作れるのではないかという想いからこうしたルールを設けたという。ニットをメインアイテムとし、アクリル起毛のアーガイル柄や、ジャガード柄の生地の裏側を表に縫製されたものが特徴的だ。ほとんどの糸を加工してまた製造して使っており、例えば糸をかすり染めしてボーダーの柄を出すなど素材へのこだわりも徹底している。服のパターンはビッグシルエットのものや深い袖ぐりなどルーズなシルエットでユニセックスに着こなせそうなアイテムだ。あと7シーズンで終了してしまうブランドだからこその、手間隙かけた濃厚な作品の発表を今後も期待したい。


最後に紹介するのがTHE SUPERIOR LABOR。ブランド名のTHE SUPERIOR LABORは「優れた労働」を意味する。生地の裁断から縫製、皮の取り付けまで手作りで作っており、カバン、ベルトに始まりファッション関連の品目で200品番を超えるアイテムを生産している。レディースの服は男性用のパターンの縮小版を使用していて、メンズライクなものを中心に展開している。岡山を拠点にしており、産地でもあるデニムにも力を入れている。サボらず、手間をかけてというのがブランドの理念でディティールの細かさを日々追求している。

今回のrooms23では3日間に渡り取材を刊行したが、3日間とも各ブースは人で溢れ、ショーやパーティーなどのイベントも盛り上がっていた印象だ。rooms23のパンフレットの巻頭には海外のexhibitorからの震災後の日本に宛てたメッセージが記されたページがある。愛と平和、そして応援の言葉が並ぶこのページには感極まるものがあった。グローバル化で世界との関係もより相互的になる昨今では、日本の中でのroomsではなく世界の中でのroomsという風に認識が変わることを、日本市場で満足せず、もっと海外に目を向けて行く必要があると今回の取材で感じた。

Text:Fumiya Yoshinouchi

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