デザイナーズビレッジにて開催される「モノマチ」と共催し、第6期プレアドバンスドコース・プライマリーコース修了生による展示会、“ work in progress展 II ”を開催された。制作の過程に隠された潜在的な“美意識の発見”をテーマに、作品を作り上げる上で常に持ち歩くスケッチブックやスクラップ、デザイン画、写真、立体サンプル、ポートフォリオなどの作品展示。また現在活躍中のアドバンスドコース修了生「Takashi Nishiyama」、「Phiz」による特別展示も行われた。
制作過程をみせ、それ故荒削りな展示会。しかし未完成に隠されたファッション表現の可能性を伝えること、表現することが今回の展示会のテーマと山縣良和氏は語る。会場には形容しがたい様々な作品が披露。中でもプライマリーコース修了生による展示物は既成の価値観に捉われず自由で若さと気概溢れる作品が目立った。
Kenichi Uemuraは架空の設定をテーマに採用。ネジマキングという仮想の人物像を設定し、色々なジャンルをミックス。自身のサッカーでの黒歴史、またなでしこジャパンに勇気づけられたことを背景に制作を試みたというサッカーボールのパターンで作られた甲冑、自身が好きなブリティッシュトラッドをミックスしたアイテムなどデザイナー本人の価値観や歴史を色濃く反映させた作品が展示されていた。
Ryota Murakamiはドラえもんのリアルストーリーを服に落とし込む。のび太、スネオ、ジャイアン、しずかちゃんの4人をイメージしたモデル。ストーリー性を感じるヴィジュアルが公開された。またアイテムにはマンガのページが貼り付けられていたり、各人物のテーマカラーに即した作品を発表した。
最後はNoriko Nakazato。何十種類にも及ぶ脱力系な人形は生地もそれぞれ異なり独特の表情をみせる。長さのある繊維で覆われた靴、紙粘土でできた指輪などを披露。また山縣良和氏の教えもあり、自身で作ったニットなど素材も1から作ることを心がけている。
未完成に隠された実験的精神とその可能性。ここでは紹介しきれなかったが、上記に記した以外にも数多くのアイディア溢れる作品が見られた。アートと違い文脈と歴史が確立されていないファッションというジャンルにおいて、如何なるスタンスで若いデザイナーたちが表現を試みるのか。アバンギャルドが死語化(モード化)する今日においてどのような手法で何を表現していくのか、今後の彼らの動向に注目したくなるそんなイベントであった。(その他の作品写真は次のページへ)