マンチェスター出身の17 歳4 人で結成されたバンド、エジプシャン・ヒップホップは2009 年に突如シーンに登場し、2010 年にリリースされたシングル”Wild Human Child”/”Heavenly”はジョイ・ディヴィジョンやストーン・ローゼスに端を発し、脈々と受け継がれるマンチェスターの遺伝子に刻み込まれた鋭い感覚と秀でた才能を備え、粗削りながら劇的なメロディと、ジョニー・マーに影響を受けたギター・サウンドが評価され注目を集めた。そして同年9 月にリリースされたデビューEP『Some Reptiles Grew Wings』は<Warp>の若き天才ハドソン・モホークがプロデュースしたことでも話題となり、ユニークなポップ・センスと彼らの卓越したリズム感覚は各方面から絶賛され、デルフィック、エブリシング・エブリシング、ハーツらとともに次世代のマンチェスター・サウンドを担うブライテスト・ホープとして大きな注目を集める中、突如沈黙。リード・シンガーのアレキサンダー・ヒューウェットはシャルロット・ゲンズブールのツアー・バンド・メンバーに抜擢されるも、エジプシャン・ヒップホップとしては表舞台に姿を現さなかった。
そして2012 年、2 年の空白を経て、若きマンチェスターの革命児たちは再びエジプシャン・ヒップホップとして待望の活動再開を遂に果たす。
再びエジプシャン・ヒップホップの活動を開始させた彼らは、90 年代のテクノ・ダンス・ミュージック・シーンを牽引した名門レーベルにして、現在はあのジェイムス・ブレイクを筆頭にティーンガール・ファンタジーなど再びフレッシュな逸材を発掘し続ける<R&S>からついに待望のデビュー・アルバム『Good Don’t Sleep』をリリースする。過去作品に比べて圧倒的に成熟したサウンドによって、彼らの魅力が一気に引き出され驚きに満ちた作品となっている。“Yoro”(M-4)やリード・シングルとなる“SYH”(M-8)といった楽曲は、『Remain In Light』時代のトーキング・ヘッズを彷彿とさせる鮮やかかつポリリズミックなビートが特徴。“Pendrell Sound”(M-7)や“One Eyed King”(M-9)には、シルヴァー・アップルズを連想させるストレンジなポップ・センスが漂う。“The WhiteFalls”(M-2)は、ゆったりと心地良く、徐々に徐々にリスナーを引きつけていくイントロと、突如耳を襲うクライマックスとのコントラストが特徴。アルバムの最後を飾る“lltoise”(M-10)は、ドゥルッティ・コラムのような薄く柔らかい膜のようなサウンドが、まるでタンジェリン・ドリームのように大きく広がっていく。
『Good Don’t Sleep』のサウンドは、サイケデリアにも深く通じるが、刺激的なポップ・テイストも同時に兼ね備えている。EP をリリースした時点から注目を集めていた彼らにとって、本作は待望のデビュー・アルバムということになるが、彼らのこれまでの軌跡に基づいた作品であると同時に、無限大の可能性を感じさせるものでもある。今作はワイルド・ビースツ、ダークスターらを手がけるリチャード・フォームビーをプロデューサーに起用し、ウェールズの伝説的スタジオ【Bryn Derwen】でレコーディングされている。早熟なライティング・センスと確信的リズム・センス、そしてダンス・ミュージックを通過した音色は、まさに”今”のバンド・サウンドとして、高らかに新時代の到来を告げる。
EGYPTIAN HIP HOP / エジプシャン・ヒップ・ホップ
タイトルGood Donʼt Sleep
国内盤: 2012 年10 月13 日
収録内容
1 Tobago
2 The White Falls
3 Alalon
4 Yoro Diallo
5 Strange Vale
6 Snake Lane West
7 Pearl Sound
8 SYH
9 One Eyed King
10 Iltoise
11 Ys *Bonus Track for Japan
12 John Baker *Bonus Track for Japan