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永瀬正敏写真展「変化する時間軸の狭間」

役者として、映画を主要なフィールドに多彩な活躍をくりひろげる永瀬正敏は、アートへの造詣も深く、とくに写真とのかかわりを重要視し、永年にわたり、写真家としての活動をつづけてきたことはよく知られている。
一眼レフカメラと機材を肌身離さずに撮影をおこなってきた永瀬だが、昨年来、東京や台北などで、インスタントフィルムによる撮り下ろし作品に取り組んだ。
さまざまな事象は、時のたゆまない流れのなかでつねにゆれうごき変わりつづける……それらのはざまに横たわる、ちいさな変化をみのがさず、シャッターが落とされていった。
今回の個展は写真家・永瀬正敏による、東京での初めての本格的な個展となる。

Masatoshi NAGASE BETWEEN TIME CHANGES
永瀬正敏写真展「変化する時間軸の狭間」
期間:March 29 (Fri.) – April 28 (Mon.) 2013
場所:Impossible Project Space 153-0042 東京都目黒区青葉台1-20-5 2F
入場無料
opening reception 3.29 (Fri.) 19:00-21:00 @Impossible Project Space
※ 海外ロケの関係で当日はご本人参加はありません。ご本人参加イベントもございます。以下詳細ご覧ください。

Project 1
永瀬正敏写真集『BETWEEN TIME CHANGES』

Project 2
トーク 4.20 (Sat.) 17:30開場/18時start 永瀬正敏x町口覚x本尾久子 
定員40名様(先着順) IMPOSSIBLE TOKYO KKのFACEBOOK ファンページにていいね!をクリック後FACEBOOKのメッセージにてご応募。先着40名様をご招待致します。
http://www.facebook.com/pages/Impossible-Tokyo-KK/151195978278650

Project 3
Masatoshi NAGASE “BETWEEN TIME CHANGES” exhibition(4月半ばより予定)
作家サイン会:4月21日(Sun.)15:00〜16:00 詳細は蔦屋書店ウェブサイトにて。
@代官山蔦屋書店 

問い合わせ : 03-5459-5093 tokyo@the-impossible-project.com

curator: Hisako MOTOO/ art director: Satoshi MACHIGUCHI/ producer: Jun AKAIKE

詳しくは、下記までお問い合わせください。
03-5459-5093/tokyo@the-impossible-project.com
担当:よしか

永瀬正敏 Masatoshi Nagase
1966年宮崎県生まれ。1983年、相米慎二監督の『ションベンライダー』で鮮烈にデビュー。1989年、ジム・ジャームッシュ監督 『MISTERY TRAIN』で国際的な評価を得る。映画『贅沢な骨』(2001)では、スチール撮影をこなし、初のオリジナル写真集を出版。音楽・美術等、アート全般への造詣の深さはひろく知られる。90年代以降、写真家としての活動の幅を確実に広げている。
2013年で、役者生活30年を迎え、この30年で出会った人々のポートレート撮影や、全都道府県で地元と密着した撮影の成果を展覧会として結実させるなどの、長期的なプロジェクトに取り組んでいる。

Masatoshi NAGASE 「変化する時空のはざまに」

私たちは、どのようにして写真に心を動かされるのだろうか。
通常それは、瞬時に起きる。言語中枢がはたらきだすよりはるかにスピーディな速度で。
美しさに感動したのか、畏怖なのか。
戦場や飢餓の悲惨さかもしれないし、自然の偉大さだったかもしれない。
同調があり反発があり、情熱や美意識や冷徹がある。
きりとられた世界を見いだし捉えた人との共振があり、異和がある。
イメージは、見る者の内奥にとどき融けこみ精神と肉体に同期する力をもつ。
印画紙に定着された景色は、世界の断片だが、同時に、世界のすべてでもある。

 ここに一人の写真家がいる。

 祖父がかつて写真館を営んでいた事実を知らずに育つが、いつしか、写真を撮ることに魅了され独学で撮影をはじめる。宮崎県に生まれ、高校生のときに役者を志して単身上京。現在は、日本映画界を牽引する俳優の一人として、独自のポジションを築いている。役に成りきるために、非常にストイックで過酷な努力をみずからに課す人物としても知られる。
 一方で、ロケ現場でも日常でも、カメラと機材を離さない。そこここを歩きまわりシャッターを切り続ける。写真家としての仕事は体力の限界まで引き受ける。
 写される側が写す側にスイッチすることは写真界ではままあるが、彼にとっては、役者も写真も、凹凸を補いあう欠片(かけら)のように、満たされない渇きを癒す水のように、必要不可欠なものであるらしい。

 彼が、インスタントフィルムで撮りおろした作品を紹介しよう。
 焼き付けられた光と影や色彩を見ているはずが、いつしか、視線ははてしなくつづく空洞の向こう側へと突き抜けてしまう。どこか、一筋縄ではいかない頑なものがある。ひたむきであるが、自己を含む外界を俯瞰している。漂う空気は被写体への誠実に充ちているのに、質感はソリッドだ。
 ふと気づく。役者とは、演じるために、みずからを虚ろな器へと追い込み、想像力と献身によって他者を招じる。天性の役者魂は、彼の撮る写真の特性へとつながっていく。
 彼は、時と空間のはざまに揺らぐ非在の存在を、追い求めているのだ。自我を彷徨(さまよ)わせ無と化して、引き寄せた偶然を獰猛(どうもう)に狩る。
 そこにはいなかったかもしれない、しかし、確かに彼が知覚したなにものかを。

 写真家の名前を、永瀬正敏という。

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