原宿kawaii文化の第一人者であり、アートディレクターや6%DOKIDOKIのプロデューサーとしても活躍する増田セバスチャンが、ニューヨークのアート界デビューとなる初の個展「“Colorful Rebellion” -Seventh nightmare-」をスタートさせた。2月27日夜に行われたオープニングレセプションには開場前から行列となり、2時間で約1000人が来場、混雑のため会場に入れない人も続出するほど大盛況となった。
チェルシーにあるアートコンプレックスビルの3Fにあるギャラリーに一歩足を踏み入れると、一気に色彩が溢れ出すように、壁や天井に飾られた作品が目に飛び込んでくる。部屋は入り口のドアの裏まで壁紙が貼られ、その上から溶けるような不思議な形をしたパネルが貼られている。時々聞こえてくる壊れたレコードのようなノイズ音。すこし暗い、夜寝る前の寝室のような照明。さらにインスタレーションとして、大きなクマのぬいぐるみや積み上げられた小さなぬいぐるみの山。そして部屋の中央にはまるで病院のようなシーツがかかっているアンティークのベッドがあり、観客はそのベッドに寝転がって作品を鑑賞できるようになっている。その未体験の衝撃に息をのむ観客の姿が多く見受けられた。
Photo by GION
観客は、アート関係者やファッションピープル、カルチャー層など幅広く、増田セバスチャンがジャンルの境目を越えて注目されている事がうかがえた。写真を撮ったり、ベッドで寝返りをうったり、思い思いのやり方で展示空間を楽しんだ後は、レセプション会場でアーティスト・増田セバスチャンと対面。記念写真を撮ったり、様々な意見をかわしたりと、終了時間まで多くの人で賑わうレセプションとなった。
個展のタイトルである「Colorful Rebellion」とは「色彩の反抗」という意味で、今まで、原宿の街の風景画・街に集まる女の子の心象風景を表す作品として製作してきた増田セバスチャン作品の代表的なシリーズ。自画像をテーマに製作した今回の展示作品は 「増田セバスチャンの7つの大罪」がモチーフとなっている。
Photo by GION
会場では解説が配られており、それによると、1つめのゾーンは「欲望」…手に入れると同時に失う白昼夢。2つめのゾーンは「未来」 …希望と絶望。3つめのゾーンは「妄想」…際限なく膨らむコンプレックス。4つめのゾーンは「運命」…迫りくる濁流。5つめのゾーンは「傷」…残して来てしまったトラウマ。6つめのゾーンは「現実」…不安定な瓦礫の上。と書いてある。
7つの大罪にも関わらず、説明されているのは6つまでだが、その理由を、解説の冒頭で本人がコメントしている。
「僕は文章を書いているつもりでこの作品をつくっている。
これは僕にとって夜中に一人もがく自室、もしくは懺悔室。
部屋の隙間から入ってくる暗闇。朝が来ない夜が襲ってくる。
僕は決して、kawaiiものをつかってグロテクスを表現しているわけではなく、
むしろkawaiiものに心惹かれてしまうプロセス、依存してしまう理由…そこに
kawaiiの本質が有る。少女から大人へ成長する過程におけるひずみ、ゆがみ。
彼女たちのカラフルな反抗。もしかして、彼女たちの居場所をつくってしまったことが、
僕の一番の大罪なのか…?
さて、この部屋には6個しかゾーンが存在していません。
7番目は、あなたに委ねます。」
一見カラフルでハッピーな部屋に感じられた部屋が、この解説を読んだだけで、まったく違う空間に見えてくる。
展覧会は3/29(土)まで、ニューヨーク・チェルシーにあるギャラリー「Kianga Ellis Projects」にて開催。3/6(木)から3/9(日)の間はギャラリー内でスペシャルパフォーマンスを行う予定。
【展覧会開催情報】
タイトル:Sebastian Masuda’s exhibition “Colorful Rebellion” -Seventh nightmare-
期間:2月27日 – 3月29日午後6時まで
(定休日: 日・月・火 *パフォーマンス期間の3月9日(日)はオープン)
場所:Kianga Ellis Project
516 West 25th Street, Studio 306B,NY
http://www.kiangaellisprojects.com/
スペシャルパフォーマンス:
3月6日– 3月9日
1) 1:00-1:15pm / 2) 2:00-2:15pm / 3) 3:00-3:15pm / 4) 4:00-4:15pm / 5) 5:00-5:15pm
*予告無く変更になる可能性有り
増田セバスチャンに関する最新情報は下記にて更新中。
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【プロフィール】
増田セバスチャン
1970年生まれ。演劇・現代美術の世界で活動した後、1995年に表現の一環として、”Sensational Kawaii”がコンセプトのショップ「6%DOKIDOKI」を原宿にオープン。2009年より原宿・kawaii文化を発信するワールドツアー「Harajuku”Kawai”Experience」をスタート。原宿Kawaii文化の第一人者として、執筆・講演多数。
アートディレクターとして、きゃりーぱみゅぱみゅのワンマンライブの演出・美術、宮本亜門演出ミュージカル「ウィズ〜オズの魔法使い〜」美術監修、日本テレビ「PON!」美術セット、六本木ヒルズ「天空のクリスマス 2013」クリスマスツリーなどを製作。
原宿kawaii文化をコンテクストとした創作活動を行っている。