GALLERY SPEAK FORでは3月4日より版画家、石川真衣氏による個展「HANGA RETRIEVER」(ハンガ・レトリバー)を開催する。
石川真衣氏にとって版画制作への道は、愛犬へのレクイエムを奏でるようにして始まった。自分という主人公「牡丹ちゃん」とゴールデンレトリバー「レオ」を題材に、幼い頃から綴りためてきたという物語を創作のオリジナルテーマとして展開。二者だけのロールプレイではなく、多様な登場人物とその心理的背景などまで細かく設定された構想は、亡きレオの魂の所在をめぐる壮大な叙情劇空間のよう。1枚ずつの絵の中には、まるで絵本の数ページ分を凝縮したような物語性とメタファーが込められている。
少女アニメからの影響を滲ませつつ、60 ~ 70年代の劇画マンガやアングラ演劇が題材としていた精神的な暗がりが口を開けたような世界観がユニークであり、豊かな濃淡グラデーションと緻密な描き込みの両立も持ち味となっている。版画芸術への理解とリスペクトをベースに、その技法を最大限に駆使しながら、二色刷りによるリトグラフ作品、独特な色彩コントロールが効いたシルクスクリーン作品も数多く制作しており、描画スケール
の大きさ、刷り感の美しさが各所のコンクールや雑誌、テレビなどで高く評価されてきた。
本展は、彼女にとって2年ぶりとなる個展。2014年の前回展「RETRIEVE」以後の新作を中心に構成する。「レトリバーは獲物を取って届ける仕事をする犬。受けた愛を版画で返すのが私の表現」と、彼女が愛
する2つをつなぎあわせたタイトルに。様々な犬種を王子様に見立てた「犬イケメンシリーズ」など、最近の人気小品シリーズを含め、約40点を展示・販売する。また、シルクスクリーン刷りのTシャツとタトゥー風ストッキング、陶芸家とのコラボレーションタイルなどの雑貨も多数紹介・販売する。
石川真衣 HANGA RETRIEVER
会期 : 2016 年3 月4 日(金)~ 16 日(水)
開館時間 : 11:00 ~19:00 最終日のみ ~ 18:00 木曜休廊
ギャラリートーク : 2016 年3 月4 日(金)18:30 ~ 19:00
作品解説=石川真衣 聞き手=幾原邦彦(アニメ監督)
石川真衣 版画家
1988年、埼玉県生まれ。多摩美術大学美術学部絵画学科在学中より、創作・展示活動を開始。第33回大学版画展(2010年)にて町田市国際版画美術館収蔵賞を受賞し注目を集める。第1回FEI PRINT AWARD(2012年)にてグランプリ、和紙の里 東秩父版画フォーラム2013にてNHK埼玉局長賞受賞。2013年、多摩美術大学大学院卒業。最近の個展に「石川真衣個展」(2013年、ギャラリーb.tokyo)「RETRIEVE」(2014年、GALLERY SPEAK FOR)など。グループ展にも多数参加。
http://ishikawamai.com/
GALLERY SPEAK FOR
150-0033 東京都渋谷区猿楽町28-2 SPEAK FOR 2F
T.03-5459-6385 F.03-5459-6386
http://www.galleryspeakfor.com
開廊時間:11 AM-7PM 最終日のみ6PMまで
休廊:毎週木曜日・年末年始