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ドキュメンタリー・肖像写真家のTomasz Gudzowatyによる「PROOF」 代官山SPEAK FORにて開催

世界100カ国以上を旅し、野生やスポーツ、社会情勢などをテーマに活動を続けるドキュメンタリー・肖像写真家Tomasz Gudzowaty(トマシュ・グゾバティ)の作品展「PROOF」が代官山SPEAK FORにて6月25日より開催される。
 
展覧会「PROOF」は、ポーランドの写真家であるトマシュ・グゾバティが管理していたアナログプリントに偶然の美がもたらした、新しい表現の境地に焦点を当てたもの。優れたクオリティの作品群でよく知られるトマシュの所有している、写真撮影の工程における副産物として認識されていた 「Polaroid TYPE 55」というフィルムのインスタント写真を用いた作品群で構成されている。
  
すでに生産を中止されており、大判カメラを使う写真家から熱狂的に愛用されていたこの白黒フィルムは、撮影時にネガフィルムに加えて正像のインスタント写真ができる。このインスタント写真は通常処分されてしまうか、ネガフィルムからプリントをする前のイメージ確認用として保管される程度の扱いをされてた。「PROOF」は、このインスタント写真の持っている芸術性を主題としている。インスタント写真には撮影された直後には鮮明な像が現れているが、時間の経過とともに、コントロールも予測も不可能な偶然の科学反応がゆっくりと進み、思いがけない変化を図像に与える。その変化は、ネガからプリントされた写真とはちがった「写真性」を含み、芸術写真としての強度をより高める効果をもたらした。不完全で時に感光不足、または過剰に感光し、擦れてしまったり像が見えにくくなっていたりするこのインスタント写真は、時間の経過による変化を記録し、予期しなかった繊細な美しさが備わっている。
 
今回、展覧会のパートナーとなったのは、世界最高峰のアート出版社と謳われるドイツのSteidl社と、同社の設立者であるゲルハルト・シュタイデル。ゲルハルトは本展覧会準備のために来日し、会場候補地の選定から展示プランの作成、会場設営方法までを細かく検証してきた。またドイツのSteidl社が制作した同タイトルの写真集も刊行される。本展は全世界の巡回を予定しており、東京での展示が世界で最初の場となる。
また、本展に合わせ、トマシュ、ゲルハルトが来日し、 6月24日にはオープニングレセプションも開催される。
 
「不完全性は写真の本質的な部分で、写真の媒体としての忠実性に対する対価でもあり、それはある意味、瞬間の偶然的な介入といえる。このコンタクトプルーフはまさに、『写真性』ー写真の本質に不完全性があることーについての証拠として存在している」
—トマシュ・グゾバティ
 
 

Tomasz Gudzowaty, PROOF
期間:2016年6月25日 ー 7月1日
会場:SPEAK FOR
住所:東京都渋谷区猿楽町28-2
開廊:11:00 ~ 19:00
http://post-books.info/news/exhibition-tomasz-gudzowaty-proof
オープニングレセプション: 2016年6月24日
ブックサイニング: 2016年6月25日/会場:代官山 蔦屋書店 2号館1F
 
 
トマシュ・グゾバティ(Tomasz Gudzowaty、1971年ワルシャワ出身)
これまでに世界100カ国以上を旅し、野生やスポーツ、社会情勢などをテーマに活動を続けるドキュメンタリー・肖像写真家。彼の作品はイギリスの「ガーディアン」や「ナショナルジオグラフィック」「British Journal of Photography」「L’Equipe」「イタリアンヴォーグ」などの紙面で発表されてきました。数多くのコンペティションにおいてグランプリ受賞 やファイナリストに選ばれるなど、世界中で高く評価されている。2016年には作品集「Beyond the Body」と「Closer」がSteidl社から出版されている。 http://gudzowaty.com/
 
Steidl 社
Steidl社は印刷から製本、出版までのすべての行程を社内で手がける世界で最も洗練された出版社のひとつ。出版人ゲルハルト・シュタイデル氏は、アートからファッション、文学など様々な分野におけるアーティストや著者に寄り添い、彼らが「魔法を生み出す」手助けをし、「アートとしての書籍」を読者の元へと届けてきた。
紙や印刷への強いこだわりを持つシュタイデル氏自身が、紙や装丁用クロスの選定から編集、デザイン、印刷まで、制作におけるすべての行程に関わることで、それぞれの作品に合ったフォーマットを見出し、コンセプトを具体化した本を世に送り出している。
これまでに、ロバート・フランクからカール・ラガーフェルド、ロバート・アダムス、エド・ルシェ、ロニ・ホーン、ルイス・ボルツ、ユルゲン・テラー、ジョエル・スタンフェルド、ブルース・デヴィッドソンなどの著名作家のほか、若手のアーティストや写真家たちの作品集を精力的に手がけている。 https://steidl.de/
 
ゲルハルト・シュタイデル(Gerhard Steidl、1950年ゲッティンゲン出身)
1967年にデザイナー、出版人としてのキャリアをスタート。1968年、出身地であるドイツのゲッティンゲンでSteidl社を創設、美術展のポスターの印刷から着手し、ヨーゼフ・ボイスなどのアーティストが顧客に。1972年に初となる書籍を出版。以降、政治、ノンフィクションから、文学、厳選されたアートや写真の本へと活動を広げ続けている。
★ドキュメンタリー『世界一美しい本を作る男』ウェブサイト: http://steidl-movie.com

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