News

「tac:tac」のパターンを使った彫刻作品とパターンから起こされた服を使った展示 冨井大裕個展「線を借りる」void+で開催 

2018年11月30日(金)より、void+では冨井大裕の個展「線を借りる」を開催している。
冨井は彫刻の新たな可能性を探り、様々な彫刻の形を提示してきた。作品を制作するその態度や行為、体験などそのものが作品として成立するかどうか、芸術作品となるにはどのような要素が不可欠なのかを模索してきた。冨井は付箋や色鉛筆、ハンマーやゴミ箱等、しばしば身の回りにある既製品を用いて作品を作るが、従来あったその物特有の用途や意味を取り払うことで、その物の物質としての新たな魅力や存在に焦点を当て、全く違うものへと昇華させる。またある時には指示書のみを展示し、観客自身がその指示に従い彫刻作品となるプロセスを踏む作品など、従来の“もの”としての彫刻とはかけ離れた、そのものの裏にある見えない“こと”にも焦点を当てた作品制作をしている。
 
今回の展覧会ではタイトル通り、他人の作品から「線」を借りた作品を発表する。
ファッションブランド「tac:tac」のデザイナー、島瀬敬章氏のパターンの線を元に作られた彫刻作品、そのパターンから起こされた服、その服を試着する観客、それを写す鏡と映り込む背景、その全てのもの・こと・場・時など彫刻としての可能性を顕在化する展示となる。

冨井大裕 線のためのポートレイト(近藤恵介)、2018 、アクリル板、 ドローイング:近藤恵介
展示風景:「卓上の絵画・春」MA2ギャラリー、2018 撮影:柳場大 ©Motohiro Tomii、Courtesy of Yumiko Chiba Associates

 
12月後半のイベントでは、山形ビエンナーレ2018に於いて行われた彫刻についての問題提起を続けているグループ「AGAIN-ST」と「コーヒーのある風景」をテーマに美術やデザインを横断するユニット「L PACK.」によるコラボレーションが、再び「おでん屋」として実現。AGAIN-STのメンバーが制作したおでんの型の展示と共に、void+parkingに3日間限定の屋台が出現する。
 
 
作家名:冨井大裕
展覧会名:「線を借りる」
会期:2018/11/30(金)-2019/1/25(金)
冬季休廊:2018年12月25日(火)- 2019年1月7日(月)
ギャラリーアワー:14:00-19:00
定休日:日、月、祝日*12月23日(日、祝日)は開廊
会場:void+ http://www.voidplus.jp/
東京都港区南青山3-16-14-1F
Tel: 03-5411-0080 email: info@voidplus.jp
協力:YUMIKO CHIBA ASSOCIATES http://www.ycassociates.co.jp/
tac:tac http://tactac.jp/

冨井大裕 Motohiro Tomii
1973年新潟県生まれ。1999年武蔵野美術大学大学院造形研究科彫刻コース修了。2015年文化庁新進芸術家海外研修制度研修員としてニューヨーク滞在(-2016年)。既製品に最小限の手を加えることで、それらを固定された意味から解放し、色や形をそなえた造形要素として、「彫刻」のあらたな可能性を模索する。Twitterにて毎日発表される「今日の彫刻」などと併せ、既存の展示空間や制度を批評的に考察する活動でも注目を集める。近年の主な展覧会に「像を結ぶ」(Yumiko Chiba Associates viewing room shinjuku/東京、2017年)、「引込線2017」(旧所沢市立第2学校給食センター/埼玉)、「コンポジション ーモノが持つルールー」(ATELIER MUJI/東京、2018年)、「水と土の芸術祭2018 MEGA BRIDGE」(ゆいぽーと 新潟市芸術創造村・国際青少年センター/新潟)、「メルド彫刻の先の先」(Maki Fine Arts/東京、2018年)などがある。現在、武蔵野美術大学准教授、「壁ぎわ」世話人。

Comments are closed.