Nathan Smith

今季はパリでコレクションを発表するなど、本格的にヨーロッパでのキャリアをスタートさせた、オーストラリア出身のNathan Smith。2006年に自身のシグネチャーブランドをスタートさせて以来、母国オーストラリアの自然を連想させるような、リラックスしたシルエットとオーガニックなカラーリングが特徴の若手デザイナーだ。

今回のテーマは「シンプリシティ」。5年後、10年後、タイムレスで着る事が可能なシンプルなデザインに、レザーやシルク・カシミヤなどの上質なマテリアルを使用する事で、ワンランク上のワードローブを提案。さらに毎シーズン、リラックスしたジャージーシリーズを発表するのが、このブランドの特徴である。全てのアイテムはカラーバリエーションがが統一され、同色でまとめた異素材同士のコーディネートを得意とする。

キーとなるシルエットはリラックスムードたっぷりのオーバーサイズ。明らかに長い袖や大きく開いた首もとは、ウエストマークしないストレートなシルエットに個性をプラスすると共に、肌の見せ方次第では女性らしさを演出、着る者自身に自由な着こなしの可能性を与えるデザインだ。例えば、ルックブックのモデルは、オーバーサイズニットの袖をわざと大きく折り曲げたり、何もせずそのまま指先まで隠したり、首もとからはレイヤードしたインナーをわざと見せるも良し、肩を落として着るのも良し。着こなし次第でアイテムの印象ががらりと変化するのが魅力的だ。

今季のカラーリングはオークルをメインに使用。差し色としてレッド系(特に深みのあるワインレッド)をプラス。今季はブラックの露出は押さえつつ、スモーキーなグレー・ベージュを多用する事で、より柔らかでオーガニックな印象に。対照的なカラー同士を合わせるのではなく、同系色でグラデーションを楽しむのが、Nathan Smithらしいコーディネートのポイントだ。

Text:Yukari Inatomi

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