Fashion Show

Umit Benan

戦場から帰還する兵士達の姿を描いた前回のショーにより、イタリアクラシコにひねりを加えたコレクションそのものだけでなく、ショーを通したストーリーテラーとしても注目を浴びるようになったUmit Benan。そんな彼が今回見せたのは、自身が以前愛した女性を元にした、よりパーソナルなストーリー。

ショーの幕が開けると、そこにはベッドルームでそれぞれの朝を過ごす8組のカップル達の光景。しばらくして男性達は、女性達の服を拝借して先に家を出る。しかし彼らが着ているのは、どうみてもメンズのアイテム。何故なら彼らが愛したのは、メンズウェアを着こなす女性だから。

クラシカルなものにリラックス感を加えたシルエットで、フォーマルなスーツスタイルからジーンズやショーツといった普段着まで、幅い広いワードローブを展開。ハイウエストのワイドパンツをはじめ、ダブルブレストのジャケットやバイカージャケットといったメンズらしいアイテムを、気負うことなくシンプルに着こなす。鮮やかなカラーにボーダーやストライプ、シルクのシャイニー感を加えたはパレットは力強く、またモヘアのタキシードの肩に施されたスクエアパッチなど今回も細部には変化が与えられている。

ウィメンズウェアを着る男性でもメンズウェアを着る女性でもなく、メンズウェアを着る女性から服を拝借した男性というストーリーにより、個性や日常生活でのリアルなシーンを祝福する、繊細さを備えた男性のワードローブに仕上がった。

Text:Yasuyuki Asano


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