Interview

spoken words project 飛田正浩 〜ファッションの純度を高めるという事〜 6/6

洋服ってなんだろう、仕事ってなんだろうって考えるようになって、でもまず思った事は、しっかり消費者の事を考えている商売は良い商売だという感覚を取り戻さなければいけないなと。買ってくださった方々が幸せになってもらえるように自分もしていきたいですね

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—いつもテーマを決めてから作られていきますか?

テキスタイル・立体・小物からなどスタートのきっかけはいろいろです。でも必ずストーリーは作ろうとしています。明快なものから、なんとなく文書にならないものと、その都度その都度違います。やはり作るのが好きだから、作りはじめて熱中してしまって、テーマから離れてしまうこともある。そこは微調整しながら修正していきます。
また最近は売るって事を知りたいなと考えています。ショーもVACANTができたからそこでやろうかなって復活しましたが、気軽にやり始めたし、今も昔やってた手弁当でやっているけれど、あれをやってどのくらいのビジネスに繫がるのだろうかと。ショーのありかたも様々思案します。ショーをやるそのパワーも分散してもいいのかなって。ショーじゃなくていいのかなって。

—シューズラインは2012A/Wから始めた新たな試みですよね。

実は僕は足フェチで。ずっと靴は作りたかったのだけれど、作るのならフェラーリだったりランボルギーニだったりを夢想してた。でもいわゆるエロい服を作るのには抵抗があったのと同じように、靴が持つSMチックな拘束とか履きづらさって、実際作るってなると生々しすぎるんです。実はそこにはグッときていなかった。それにやるのなら中途半端なのは嫌だなって。いまはまだフェティッシュは無いかなって思う。オリジナルのフェティッシュを探し始めた感じです。履きやすい中に自分のファッションを落とし込む事の出来る靴。自分のコアな部分を礼儀も無くさらけ出しちゃうんじゃないか、それをお客さんはどう思うかなと。そのバランスは服でも同じです。自分の部屋で楽しんでいるものの伝え方。どこまでお客さんに伝えて良いのかなって。

—さっきkeisuke kandaのことを評価されていたのに、自身ではそれを実践しないのですか?

神田啓介さんはうまいですね。あれだけの共感を得てるっていうのは。僕の理想のフェティッシュはかっこ良くないと駄目なんです。本心とアウトプットのパランス、そのキワキワがかっこいいと考えます。僕なんかはまだ靴の段階でそれを出すのはまだ未熟なのかなって思います。満足はサービスと自己満足でできているけど、今でももちろん自己満足は高いんです。今の作品でも。自分の女性像を出しちゃうというサービス精神が足りないのか?でもその女性像ってオリジナルであればあるほど表現するのに時間が必要です。他者精神が大切ですね。恋愛に似ています。言いたい事は言うけど、言葉使いは気をつけるみたいな。ファッションに対して感覚とフェティッシュを流し込むのは難しいんです。

—ちなみに飛田さんのおっしゃるオートクチュールとはどういうことを指しますか?

オートクチュールは一対一だからフェティッシュのぶつけ合い。その人のためだけですから。ゆくゆくはやってみたいです。そこは靴を作る事で気づいたっていうか・・・。自分のフェティッシュさというのは、どうしても打ち崩されるのが悲しいんですよ。自分の夢想したフェラーリの靴ができて実際に女性にあてはめたら、あれ違うぞってなるかもしれない。オートクチュールはそれを打ち崩さない仕事のはずです。
後はモデルと実際のビジネスとも考えますね。靴に関しては個人的な思いがあって、消化しきれていないし、見ていてほしいなって気持ちもある。さっきの話と繋げるとすれば、僕が現代美術やオタクとの違いは、より他者満足に重きを置いているかどうかだと思います。現代美術やオタクよりも買ってくれる人に近づく。それは表現を続けてくゆく上での基本だし楽しさだと思います。
村上さんも鑑賞者や買ってくれる人にリサーチして「こうゆうの好きでしょ?」って徹底してやっていると思うんです。そこにテーマやストーリーがある。そしてそれをやって初めての世界規模でしょうし。たんに自分の希望だけでやっているだけでは絶対駄目なんです。オタクに対面したら、「でもね、売れるにはこうしなきゃ駄目だよ」ってぶつかってしまうと思う。まあ売るのか売らないのかどっちが良いか悪いかわからないですけど。

—飛田さんのTwitterでハイファッションを作っているという書き込みを読みましたが。

ハイファッションって言葉があって、それをざっくり言えば高級婦人服と言うならそれを作っているよって意味です。触ったらやけどするって気持ちで作っています。自分がどうゆうものを作っているかって事を既存のハイファッション側に向かって言ってる感じですかね。Twitterでたまに嘯くのだけど、落ちているゴミでお洒落できたら最高にお洒落なんじゃないかって。纏ったりするだけでね。でもそれは難しいし、それをちゃんと完成させるのはもっと難しい。ゴミに手作業とコンセプトを入れるとそれがすてきな服になるマジックがあるならすごく探したい。高級品とゴミの見極め。

—東京のハイファッションって何か挙げられますか?

東京のハイファッションですか。ヨウジさんなのかな・・・。ギャルソンは話題も含めて、ハイファッションって言ってもいいもしれないですね。
好きなブランドとかあまりうまく答える事ができませんが、writtenafterwardsもファッションの多様性を出しているから否定しません。楔をうっていますしね。批判されているみたいですが続いてほしいなってのはありますよね。若さって恐れ知らずですし、パワフルです。でも継続できなくなるブランドが多い。いまのガッツと勢いで続けていってほしいですね。

東京のハイファッションってなんでしょうね。逆にMUJIとかku:nel (クウネル)のブランドみたいな、女性が欲しいって服を作っているブランドなのかな。そういえばナチュラル系も日本独自なんですよね。なんでもない麻のスカートとかオーロラシューズとか、南フランスの風のような世界観を模倣しているのが地に足が着いてる。あなどれないと思いますね。その本場があるなら行ってみたい。

—3・11の前後で変化はありましたか?

結論から言うと落ち込みました。でも自分が頑張ろうと思う事に集中するしか無いと思います。自分が服を作ってみんなに元気を与える。ボランティアも自分を慰めるために行ったようなもので、自分がどういう感情になるのかをしりたくて行ったようなところも正直ありました。震災はショックだし、次のシーズンは全然違う服の作り方をしてしまったしね。いろんな意味で過渡期にある日本には、よくない悪循環を一掃する天変地異だったのかなとポジティブに考える事しかできないかなと。その代償は大き過ぎましたけど。
でもその時は、自分の子どもが流される夢とかみて相当まいっていたし、Twitterで肉親無くした人に話きいたりして、やっぱり自分の仕事を頑張るしかないなと思いました。

洋服ってなんだろう、仕事ってなんだろうって考えるようになって、でもまず思った事は、しっかり消費者の事を考えている商売は良い商売だという感覚を取り戻さなければいけないなと。東電の保身とかしょうがないんですよね。彼らにはムラのルールがあってびっくりするような事があそこでは普通なんですよ。お客さんのことを考えずに商売をしていなかったかもしれない。買ってくださった方々が幸せになってもらえるように自分もしていきたいですね。

—予備校で教えていたということもありますし、今後教育に力を注ぐという事は考えていないのですか?

こういう仕事して美大出身だと先生やらないかという話を時々いただきます。昔は先生はやらないって決断していて、大学の先生始めるとブランドも中途半端になってしまいそうですし、それに教えるのは経験不足かなという気もしています。ただ、3.11を機に考えが変わってしまいました。教育そのものを考えるようになりました。
まだ予備校で先生していたニュアンスが残っているのは確かで、若い人にいろいろと言いたくはなります。最近は前に出てくる若者が少なくなってきていて、今すぐにでも表現していい人もいるのに、いろいろ理由つけて延ばす人が多い。「もういいんじゃない?」って思っているのだけれど、本人はまだだと。夢って叶うの簡単だよって。実践すればいいのにと思ってしまいます。やっちゃってからだよと。やってから考えれば良いのにって。
今は原宿なんかで 眉毛無くてスカート履いてるフラフラしている様な人に可能性感じますね。あれは彼等なりのアクションです。

—今後やってみたいことってありますか?

自社工場を作りたいというのはあるし、ここの人数増やしていきたい。インテリアにしてもオートクチュールにしても徐々には始めていて、そしてやっぱり海外は目指したいというのはありますね。アマチュアの意見ってレベルですけどアジアはアジアで押さえて、本場欧州でやりたい。もちろん東京は好きですけどね。知名度あげるなり、売っていくなりは其の過程で今以上の勝負をしていかなければならない。勝負するなら本心もすべて出さなきゃいけないと思います。そしてあとは苦手なビジネス的な面も努力しなければですね。笑

HP:http://spokenwordsproject.com/

Interview & Text:Fumiya Yoshinouchi, Yoshiaki Miyahara

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