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rooms23 VIVID review part4

今回はACCESSORY AREAについて。その中で最初に紹介したいのは扉の向こう側というブースだ。ディレクターを務めるのはLamp harajukuディレクターの米山えつこ氏。ファッション、アート、デザインがそれぞれの枠にとどまらず、生活に自然と流れ込んでいくような空間を表現していて、若手クリエイターによる展示が中心となっていた。前回までは新しいブランドを次から次へと入れ替えていたが今回は今までと違い、反響のあったブランドを継続して出展させている。Lamp harajukuで取り扱いしていないブランドも出展していた。セレクトの基準は特に設けていないということだが、「どこにもありふれていなくて、心をくすぐられるものも主観的に選んでいる」と米山氏は語る。

このブースに入ってまず目を引くのが、エリアの入り口に現れたHONDA AYANO氏の作品。ヴィヴィッドな色と柄が繰り返されるパターンによって作り出される、新しい次元のように感じられる空間がそこにある。強烈で日常に全くなじまないこの空間だが、アンバランスさ、違和感が、不思議と成立してしまっている。作品は全て彼女自身で版を作り、刷っているという。10月28日から渋谷パルコで行われる『シブカル祭。~パルコの女子文化祭~』にも作品を出展予定で、注目的存在だ。

続いて紹介するのはAODRESS。石松光紀氏と黒田美保氏が手がけるブランドだ。世界中のさまざまな場所を旅した際に、集めてきた古着・パーツを用いて1点もののドレスを制作している。今期初めてインドで生産することとなり現地の方と協力してもらいながら制作している。素材はカディコットンというインドとバングラデシュの一部の地域で作られている手紡ぎ、手織りの布で、糸から手作りのもの。手紡ぎによる独特の風合いがおもしろい素材だ。色とりどりの刺繍は石松光紀氏が担当し、アメリカの現地でヒッピー達に遊びながら教わった技術だという。旅に出た感覚を疑似体験できてしまうようなブランドだ。

続いてのブランドはsina。2009年に立ち上げた刺繍を中心とした作品を制作している。今回がはじめてのrooms出展で、色鮮やかな刺繍を施したバックが展示されていた。テーマは設けず抽象的な表現を自分の好きなように作ったというデザイナーのarimoto yumiko氏。何とも言えぬ柄を刺繍が蜜になって表現しており、派手さや地味さのような二項対立のどちらにも属さないニュートラルな作品だった。自分でデザインしたというブースは、椅子が中央にあり空中には蜘蛛の巣を思わせるカラフルな糸からいくつものバックが吊るされていた。情緒的でかつどこかノスタルジックな雰囲気を感じさせるブランドだ。

扉の向こう側の一番奥にブースを構えるのがRED Profile。デザイナーは嶋山文香氏。手刺繍や手刷りプリントを施し、ハンドメイドで仕上げるレディースウェアを制作している。女の子の人物像をブランドコンセプトにしていて、女の子のプロフィールをすてきに作り上げるお手伝いがしたいとい想いから。今期で5シーズン目となる。プリントを先に入れてから刺繍をし、独自のデザインを表現している。1人で全て手がけている分手間はかかるが、その分嶋山文香氏のイメージする女の子の気分を的確に表された作品群だった。


扉の向こう側最後に紹介したいのが、ニットに力を入れているレディースブランドaacero。身体ではなく心に纏う服”をコンセプトにしている。異素材の組み合わせで、表情豊かなニットが特徴的だった。2シーズン目となる今回は、ヒッピー文化のなかのフラワーチルドレンをイメージしたとのこと。しかし切りっぱなしやダメージ加工などは施さず、フラワーチルドレンに憧れる上品なお嬢様といった雰囲気だ。

次回はACCESSORY AREAの中にあった2011Tokyo New Designer Fashion Grand Prixの受賞者のブースからいくつかピックアップして紹介する。

Text:Fumiya Yoshinouchi

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