Fashion Show

malamute

今シーズンのテーマは「LEMON」、梶井基次郎の短編小説「檸檬」からスタートしたコレクション。
 
“えたいの知れない不吉な塊が私の心を始終圧えつけていた”
 
この最初の一文を読んだ時、デザイナーはある思い出深い石のことを考えたという。以前初春の海岸を歩いていたらある石を見つけた。拾い上げるととても存在感があってひんやりと冷たく、なめらかに湾曲したおもしろい形だった。それは、あとで調べると貝の化石だったという。浜辺で拾った貝の化石と重ねあわせながら、「檸檬」を読み進めていった。
 
小説の中には、危うげな印象を与える切子細工や南京玉が描写されていたり、涼しい印象を与える感覚が詩的に表現されており、そこに心惹かれた。なぜか化石を見つけた時の感覚と似ている気がしたのだという。
 
普段のニットのイメージからくる秋冬モノの温かいイメージ、それと相反する涼しい、ひんやりした印象のサマーニットを制作。糸選びはなるべく速乾性のあるものやひんやりした感覚のするものを選び、麻や綿を中心に使用している。
 
繊細なガラス細工を表現するため裏側が透けるよう透明糸を使用した2色ジャガードや、擬麻加工の糸を使用した麦わら帽子のようなスカートなどを展開。
また、薄いニットに二次加工を施したプリーツとプリント技術で切子柄を表現した。ビードロの中に浮かぶ不思議な模様は細かい引き返し模様を使用し抽象的な柄のニットで表現した。

Photo:Eiki Mori
Hair & Make:KOMAKI


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