Fashion Show

Shaun Samson (MAN)

Topmanの支援のもとFashion Eastが主催し、今回のLondon Collections: Menでも一際注目を集めた若手メンズウェアデザイナーの合同ショー、MAN。James LongやChristopher Shannon、J.W.Andersonなどシーンを賑わすデザイナーを数多く輩出し、ロンドンのメンズウェアの現在形を知るのに欠かせないショーケースである。今回のラインナップは前回に引き続き、Astrid Andersen、Agi&Sam、そしてShaun Samsonの3名。ロンドンから発信される新しいストリートウェアの魅力が存分に凝縮され、今回もパワフルなショーとなった。

昨年セントマーチンを卒業して以降、オーバーサイジングと実験的な素材使いで提案されるモダンストリートウェアで、瞬く間にロンドンのメンズウェアシーンで最も注目すべき存在にまで駆け上がったShaun Samson。ユースカルチャーをこよなく愛し、それらを斬新な方法で洋服に落とし込むバランス感覚で、今誰よりもストリートをおもしろくするデザイナーである。

今回のインスピレーションは、誰もが経験するであろう思春期における心の葛藤。これまでのコレクションで描かれた、音楽やスポーツに夢中であった少年達が少し成長し、自分という存在に苦悩し始め、その結果ピアスやタトゥー、車の改造といった自らの趣味、嗜好を突き詰めることで精神を解放しようとする姿。

ボーダーやチェック柄のアイテムにニットキャップやサンダルを合わせたグランジーなムードの中、各アイテムのサイズ感は従来より少しスマートになり、セーターやシャツといった何気ないアイテムは、シグネチャーであるニードルパンチを用いた異素材の組み合わせにより繊細な変化がもたらされた。

そしてテーマを象徴する極端なピアシングやスタッズに、アメリカのローライダーや日本のデコトラから着想を得たネオンカラーときらびやかな装飾が、コレクションにインパクトを与えた。

大好きなカルチャーを勢いのままファッションにぶつけるのではなく、悩みながらも少しの反抗心を持って自らのアイデンティティを形成しようとする、よりナイーブな少年達。多くのフォロワーを生んだRaf SimonやHedi Slimaneによる少年性の系譜は、現在も新たな形でロンドンのShaun Samsonにより引き継がれている。

Photo:Takahito Sasaki Text:Yasuyuki Asano


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