新人デザイナーの登竜門として知られるMANショーにおいて今回最も期待を寄せられていたのが、Shaun Samsonの跡目を継いで初選出されたCraig Green。トリを務めた昨年のセントマーチンズMA卒業ショーでは大賞を獲得し、その後Fashion Eastが主宰する合同インスタレーションの一員としてSS13コレクションを発表。巨大なオブジェとモノトーンのガーメントを組み合わせるユニークなスタイルで、ロンドンの新星として業界の注目を浴びてきた。
光と闇の交錯、そして影をテーマに、重厚なエレクトロサウンドが轟き渡る中始まった今回のショーでも、まず目を惹くのは頭部を覆った木製のオブジェ。しかしそれ以上に注目したいのが、ブラックを中心に、クリームやネイビーを加えて展開されるモノトーンのレイヤリング。
密度の異なるコットン、ワックスやしわの加工が施されたサテンに、デニム、フェルト、ラムウールニットなどテクスチャーの異なる素材が巧みにレイヤードされ、モノトーンのルックに微かな表情を与える。特に着丈の違いを生かしたウエスト周りは厳密にコントロールされている。
平面的な各ピースは比較的シンプルでありながら以前より洗練され、シャイニーとマットのストライププリントやローエッジの仕上げ、更にスポーツウェアのディティールが特徴的。
プリントやカラー、素材のブロッキングが主流となっている現在、その儀式的とも言えるストイックな装いは一際新鮮に映る。モノトーンでエッジが効いていた過去のシーンを、現在のストリートウェア感で解釈したような、コンセプチュアル且つウェアラブルなロンドンのニューダークネス。
Photo:Takahito Sasaki Text:Yasuyuki Asano