Fashion Show

Mulberry

2016年の冬に向けて、クリエイティブディレクターのジョニー・コカはシェークスピアの作品に影響を受けた。貴族から名もない人、王室から反逆者まで、社会のすべての階層を再現する脚本家の能力に魅了された。400 年の時を経て、ジョニー・コカはロンドンの街で同じ多様性とコントラストを観察し、着想を得た。
キーワードは矛盾。シャープなテーラリングが斬新な女性らしさと対峙している。伝統的なシェイプに挑戦するかのように遊び心溢れるステッチ、大胆なカフディテール、繊細なプリーツを引き立てる大小さまざまなプレススタッズをあしらい、実用性と機能性を追求しながら大胆さと新しさを備えたデザインが特長。
下に目を向けると、両手にはいくつもの気品ある指輪がデカダンス感を漂わせながら輝いている。大ぶりの襟のついた堂々としたケープは贅沢なニットウェアに匹敵する強烈な印象を与え、レザーのパネルがタフでモダンな雰囲気を伝える。ドレスのさらさらと音をたてるチュールと精巧なビーズ飾りが優美な女性らしさを演出した次の瞬間、重いオーバーコートが彼女を原点のパンクロックの世界に引き戻して、ふたたび矛盾を体現する。ブラック、ダークネイビー、カーキーグリーンの立体感のあるカラーパレットが、チュールやレースの繊細なクリーム色やピンクとワインレッドの縞模様が醸し出すロマンティシズムと対比されている。独創的な質感と布地を選択することで、セクシーでモ ダンなシルエットに誌的な雰囲気が加わる。
シェークスピアは「特定の時代の人ではなく時代を超越した人」であると言われてきた。境界を押し広げつつ、常にイギリス独特のセンスを尊重し、強調するジョニー・コカのマルベリーに対するアプローチには、この時を超えて大切なものを受け継ぐ姿勢が現れている。
「現代性は常に過去に根差していなければならない」
 
 
彼女は都会で生き抜く術を身に付けた学者
独特の物憂さを漂わせ
真珠の神々しい輝きに照らされて
心はダークロマンティック


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