AKIRA NAKA

AKIRA NAKAの2010-11 A/W Collectionが発表された。

今シーズンのテーマは「Vltava」。チェコで20世紀初頭から僅か20年間程建築に取り入れられていたキュビズム建築の『静寂』や『知性』を感じるデザイン、そしてモルダウ(Vltava)川の『女性性』という3つの要素をデザインに落とし込んだ。キュビズム建築とは若手建築家がそれまでの近代建築に見られる合理性や装飾性に反して建築の芸術性を追求した事から生まれたもので街の中に突出した建物を作るのではなくランドスケープの中に情緒を保っている「静かなデザイン」。

これまで女性の弱い部分を覆う、足す為の一つのツールとして表現をしていたAKIRA NAKAだが今回の女性はありのまま、ただ彼女たちが選んでくれそうな洋服を表現。得意のグラデーションニットもグラデーションニットでデザインされている服ではなく、気付いたらそこにあるような、誇張するのではなくそこに自然とあったようなデザインになっている。

今までメンズ寄りだったテキスタイルも今回はやわらかく「女性的」な素材を使用。「ベージュでも自分の儚さであったり強さを色んな表現出来る」と新たに『ベージュ』という色(自分なりのベージュを出す為に染めたもの)も取り入れ、ファーも初めて使用した。

「服というのはその人の姿勢や視線を表すもの、彼女たちは何も変える必要はない」彼女たちがそのまま出るようなデザインの音や静かさを保ちながらインテリジェンスが見えるような表現をしたシーズンとなっている。

「これからこういうものを避けてはいけないというのはわかっていた。だからやっておきたかった」と3回続けてきたショー形式ではなく今回は映像での発表。映像を選んだことに関しては自分の表現したい物を汲み取ってくれた映像ディレクターのジョルジュ酒井氏との出会いも大きかったと語っている。

→AKIRA NAKA 10 -11 A/W イメージ映像について

Text:Masaki Takida

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