アメリカ中西部をパンクの女王Patti Smithとオンボロなトレーラーに乗って放浪した。そんな旅の思い出が今季のコレクションにインスピレーションを与えているとJasper本人が語っている。
カントリーミュージックのBGMにのせて、カラフルな花のネオンライトあふれる芝生の上をモデル達が裸足で駆け抜けて行く。前半はインディゴデニムやモノトーン中心のコレクション。シックなコットンスーツやコンパクトなレザージャケットは、女性らしい柔らかさを残しつつも、無駄のないカッティングでJasperの高度なテーラリング技術を際立たせる。
打って変わって、後半はホットピンク、イエロー、グリーン、オレンジのポップなパレットが会場を包む。
ハトのアップリケや大きなチェリーのスパンコールの刺繍といったヒッピーを彷彿とさせる60年代ファッションテイストのモチーフを多く登場させ、陽気で春らしいスタイルを披露。パッチワークのチューブマキシドレスはボリュームのあるフレアラインが美しく、迫力のあるラストルックとなった。
日常の中で着たいと思えるような実用性を重視した、シンプルでタイムレスなデザインを生み出すJasper Conran。新進気鋭のエッジを利かせたデザイナーの多いLFWの中で、逆に新鮮に映った。
Photo:Hiroyuki Ishimizu Text:Akiko Sakuma