2014年秋冬のラコステはクリエイティブ・ディレクターであるフェリペ・オリヴェイラ・バティスタが、昨年フランスバスクの”シャンタコ”ゴルフクラブを訪ねたところからそのストーリーが始まる。
”シャンタコ”はかつてゴルフのチャンピオンとして名を馳せた、ルネ・ラコステの妻シモーヌ・ティオン・ド・ラ・ショームの父が1920年代に建設したもので、その優雅な自然と建築の楽園では、今もスポーツとレジャーの息吹が漂い、まるで天国のように緩やかに時が流れている。
多彩な表情を見せる芝生の新緑と穏やかな佇まいの巨木の風景からは、グリーンのグラデーションと独特なモノクロームが生まれた。すっかりこの場所に馴染んで年をとったようにみえるクラブハウスだが、そのアールデコ様式が醸し出す上品な雰囲気は年月を経ても色褪せることはない。
その時代シモーヌとルネの若きラコステ夫妻が多くの友人や客人をもてなし、ゴルフの楽しさを伝え、その優雅な時を共に満喫する中で、夫妻の上品でシックな生き方に皆が魅了されていった。
屋外でその豊かで荘厳な自然のなかで優雅な時を満喫するためにデザインされた当時のスポーツウェアは快適さと機能性の代名詞であり、その精神は現代の私達のワードローブにも息づいている。
アーカイブから緻密にモダナイズされたアーガイルやストライプのニットに身を包み、街に出掛ける。立体的なカッティングでありながら、しなやかな質感のハイブリッド・ピーコートと「ミニオーバーサイズ」のバーシティジャケットは、ワイドショルダーがシックで優雅なスタイルを演出する。セーラーのユニフォームにインスパイアされたソフトなピュア・ニュー・ウールジャージー素材をつかったロング・セーターとシャツは、ショートスカートと合せるとシックでイノセントな女性をイメージさせる。足首丈のロングコートには、ライナーにウィンドブレーカーが装備され、厳しい寒さに立ち向かう機能性とエレガントがきちんと同居している。襟がリブ編みでジッパーに防水加工が施されたポロシャツとシャツは、オーバーシャツ・ジャケットとして羽織っても、また薄いニットと同色のトーンで組み合わても、その機会を問わずシックで遊び心のあるスタイルへと昇華する。