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rooms 23 vivid review part6

アルゼンチンのファッション業界とデザイン業界が成長していく昨今、中でもクローズ、シューズ、アクセサリーの各分野でクオリティー、デザイン性の高い計9つのアルゼンチンブランドがアルゼチン共和国大使館の支援とプロモーションの元、rooms23にて出展された。今回の出展はより輸出を伸ばして行く事だけではなく、実際に各ブランドのデザイナーも来日し、日本のビジターに商品に触れてもらい、デザイナーと話す事により商品のヒストリーやバックグラウンドにも触れてもらいたいという思いが1つの出展の大きな目的でもある。


日本や他国でも既に注目されている、タンゴシューズからはじまったシューズブランドのGRETAFLORA(グレタフローラ)。今回は“ラテンの女性の魅力を引き出す様なモノ”をテーマに各デザインのシューズに2パターンのカラーをのせた。1パターンはレッド、ショッキングピンク、オレンジを組み合わせたパッションカラー。もう1パターンはエメラルド、ターコイズ、水色/海の色を使用したリラックスカラー。上品なフォルムでありながら足にフィットし、アルゼンチンでは「コンフォートだけれども美しい靴」と呼ばれ、都会を走れる位の履き心地に仕上げられている。

クローズブランドのLisobono(リソボノ)は立体的な裁断でフロント、サイド、バックと流れる様なラインを構築し、三次元的なデザインを特徴としている。2012S/Sのシーズンテーマは「明るい未来・光」。そしてrooms23出展の二週間前に授かったデザイナーリサンドゥロ氏の息子の名“ベニシオ”を今回のラインに名付け、レディースコレクションでは“お母さん”をイメージするホワイト、メンズコレクションにはアルゼンチンで“男性的”な色として象徴されるブルーを主に取り入れた。

LEANDRO DOMINGUEZというプリントが得意なレディースウェアブランド。日本での展示は始めてハンドメイドプリントの作品が並んでいた。自然からインスパイアーされ、オーガニックの素材で仕立てたられた作品はクールさの中に南米特有の鮮やかなカラーも使用されていた。これから日本にも出展していくということで、今後の動向に注目したい。

続いてはROPA DOCENADA。アートリサイクルをテーマに制作しているレディースウェアブランド。今期はボリビアの民族とサイクリングのミクスチャーがテーマで、その民族の人々は自ら衣服を作るためその作り方も参考にして作品に落とし込んでいる。ショートムービーも作りアイディア源が何なのかわかりやすく伝えるプロモーションもされていた。リメイクで作られ民族が使う独自の質感がある素材を使用し、デザインも民族テイストの中にも時代性を反映した作品が並んでいた。


La flor de mi SecretoはデザイナーSOLEDAD ROCAによる今回始めて日本に出展したレディースウェアブランド。今期のテーマは手作業の見直し、そうすることでデザインに変化をあったえたかったという。ハンドプリントを中心にしたテキスタイルで、自然をモチーフに、動物、植物などからインスピレーションを受けて制作している。細かく見てみると動物のモチーフが浮かび上がってくるデザインが特徴のブランドだ。

続いて紹介するのはISKINで、レザープロダクトを扱うブランドだ。指輪やネックレスなどレザーの温かみ溢れるアイテムが展示されていた。指輪はセットで販売されていて自分の好みに造りかえることも可能。リサイクル皮を使ったアイテムや、磁石でとめるネックレス、一見シルバーと見紛う指輪などすべてレザーでできたオリジナリティーのあるアイテムが並んでいた。

ここからは同じアルゼンチンでもブエノスアイレスを拠点に活躍するブランドを紹介する。
CECIL SAINはヘッドドレスを扱うブランド。2009年スタートしたブランドで、作品は1点1点手作りでミシンも使わないという拘りぶり。基本的にはオートクチュールで、かかった時間によって値段が決められており、素材や装飾品も全てオリジナルだ。透ける素材とフェルトを使い分け、デザイン性溢れる作品が展示されていた。

次に紹介するブランドはPetite M。レディースウェアブランドで南米特有と色使いをテキスタイルに落とし込んだアイテムが特徴のブランド。姉弟で制作しており、今期のテーマは「森林の物語」からインスピレーションを受けて制作しており、ジャングルに存在する、植物や花を手書きで絵を描きプリントしている。ペルーの上質な綿を使い、丹精に作り上げているにもかかわらず値段がリーズナブルなところも魅力のひとつ。

レザーアイテムを扱うLuria。アルゼンチンの牛革、スウェードを使いハンドメイドで作られている。国と国をミックスした作品が並び、日本の折り紙とアルゼンチンのパタゴニアを融合させた鞄に、ロシアのマトリョーシカを鞄のキーホルダーとして装飾してある。テーマはそれぞれアイテムごとにあり、マリンや自然、動物などがあり、これらのテイストとレザーのもつ力強さがいいバランスで融合され、完成度の高いプロダクトであった。


最後にアフガニスタンのブランドを紹介する。
アフガニスタンでは地域によってその土地の気候と伝統に基づき様々な伝統的な衣装が存在する。
それらの衣装の特性、生地、マテリアルとアンティークを組み合わせ、モダンなスタイルを提案するブランドZolaykha Sherzad。
レッド、グリーン、ブラウンカラーをベースに、セレモニー等の際に男性が着用するチャパンやベストをレディースのパターンで仕上げたアイテムや、男性物のターバンを女性用のラップブラウスにしたアイテム、アフガニスタンの北部地方の織物やチャンパンで用いられるストライプ柄を取り入れたアイテム等、メンズライクで斬新なレディースコレクションを披露した。
現在でも都市部以外は女性はブルカを被り外に出ると言う風習があるアフガニスタン。
「アフガニスタンと言えば、戦争、孤児、そしてブルカしかないという人々の認識を変えたいのです。独自の被服習慣、歴史、そして文化がアフガニスタンにはあります。それらはいずれも美しさにまつわるものです。」とデザイナーのZarif氏は言う。
アフガニスタンのファッション業界で主軸となる存在のZarif氏。現在、ニューヨーク、パリ、ロンドンのショップに既製服のラインナップを展開する事を今後の目標として定め、活動しているそうだ。
アフガニスタンの衣装をインスピレーションに展開されるコレクションも多い中、本国から生まれる独特のアフガンスタイルがどのような展開をみせるのか期待したい。

Text:Kumiko Kobayashi, Fumiya Yoshinouchi

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