今日はESMOD東京校の卒業審査会に審査員として参加してきました。
審査後、みなさんの前での挨拶を求められて(いきなり)、アドリブで答えたのですが、あんまりちゃんと言いたいことを伝えられなかった気がするので、ここに記しておこうと思います。
まず、卒業制作おつかれさまでした。僕もESMODの学生だったので、どのくらい制作が大変だったかということはわかっているつもりです。作品を見て、いかに時間と手間と努力を重ねてきたかということがひしひしと伝わってきました。自分が学生だった頃のしんどさを思い出して辛かったくらいです。それだけに、これだけ物が作れるなら、これだけ努力できるなら、もっといい物が作れたのではないか、という半ば怒りにも似た思いが展示を見ている間に強くなり、「君ならもっとできる!」と松岡修造のような気持ちになってしまいました。
結果として、厳しめの採点になりました。
1年生2年生もそうだとは思いますが、3年生は卒業制作にあたって特に、自分とは何者か、何故服を作るのか、自分のストーリーとは、パーソナリティとは、オリジナリティとは何か?ということについて考えてきたと思います。それ自体はとても大事なことです。
しかし、これから会社に就職したり、自分でブランドを始めるにあたって、「自分の表現したいこと」がいかにぞんざいに扱われるかということを経験することになると思います。そこで心が折れることもあると思いますが、個人的には折れてしまってからがようやくスタートだと思っています。
自分の頭の中にあるアイデアを視覚化したり、関連性の見えない情報に関連性を与えたり、バラバラに見える情報をまとめることでわかりやすくすること。伝わらないことを前提にして、伝えるために何をすればいいのかを考えること、それがデザインだと思っています。
伝えたいことが伝わらないこともあると思いますが、工夫をやめないで欲しいです。表現したいこと自体が変わることもあると思いますが、追求をやめないで欲しいです。
自分自身の個人的な経験や感覚や感情と、社会的な状況や生活環境との接点を見つけて、なるべく言葉にしてみてください。単に「売れるものを作る」ことが重要なのだとは思わずに、「自分と自分以外の人との違いを考える」ことが自分のためにも、自分以外の人のためにもなる(かもしれない)ということを考えてみて欲しいです。
何はともあれ、卒業制作おつかれさまでした。これからファッションショーもあってなかなか大変だとは思いますが、妥協すると一生モヤモヤした気持ちが残ると思うので、最後まで精一杯やってみてください。
あと、就職だけが人生ではないので、しつこく生きてみてください。
おつかれさまでした!