サッカーの監督にもっとも近い職業、それは『オーケストラの指揮者』だと思います。
筆者は、アムステルダムのコンセルトヘボウオーケストラの練習風景を見たことがあるのですが、指揮者マリス・ヤンソンスが訂正することで、音がどんどん変わっていき、やがて、音のうねりが感動を呼びおこすものになっていくのを聞いたことがあります。
優れた指揮者というのは、本当にスゴイのです。
サッカーにおいても、監督がその試合をどういったものにしていくのか設定することで、サッカーそのものの質、物語、展開は、大きく変わっていきます。
ハリルホジッチ新監督が就任したサッカー日本代表は、数日間の合宿を経て、大きくその音色とハーモニーを変えました。
その結果としてスペクタルを生み出したと思います。
ハリルホジッチの初演は、とりあえず大成功(スタンディングオベーション)だったといえるでしょう。
「呼んだ選手全員使う」と公言していたハリルホジッチ新監督ですが、ゴールキーパーを除いて、本当にそれをやりました。
初戦と違って先発の攻撃陣は『いつものメンバー』
岡崎
乾 香川 本田
今野 青山
酒井高 森重 昌子 内田
川島
今野と青山をボランチに
昌子は、代表初先発
立ち上がりは、前からハイプレスをかける展開。
これは、ザッケローニの時にもありました。
今回のポイントは、青山が、ものすごいミドルシュートを決めたことです。
あれは、年間ベストゴールランキングに入ってくるような素晴らしいゴールでした。
このミドルシュートですが、ハリルホジッチの狙いだったようです。
そして、青山選手は、この試合のマンオブザマッチといって良い活躍を見せたわけですけど、シュートを良く見てみると、振り幅が狭く速いシュートで、綺麗にミートしている。
そして、時折前線にものすごく正確なロングパスを供給しています。
つまり、この美しいミドルシュートは、たまたま偶然生まれたものではなく、青山選手が、29年間磨いてきた技が出たものです。
こちらの記事も参考に
青山敏弘の原風景。あのロングパスの背景には、逆境の日々がある
http://j-ron.jp/jwp_1.php
青山は、縦に速い攻撃を掲げるハリルホジッチのサッカーに向いた選手と言えると思います。
素晴らしい選手ですが、足りないのは、国際経験ですね。本当の強豪と闘った経験です。
そして守備ということになるでしょう。
ワールドカップのコロンビア戦では、やられてましたから。
そのあたりがどれくらい改善出来るかが、次回のワールドカップ出場出来るかどうか?に繋がっていきそうです。
山口蛍もまた、青山と同じような素質を持った選手です。
この競争も続くでしょう。
この素晴らしいミドルシュートが決まったことで、ウズベキスタンはペナルティエリア外からのシュートに気をつけなければならなくなります。
それは、守備の設定の変更を意味します。
バイタルエリアの外側に素早く寄せる必要があるため、バイタルエリアの内側に隙間が生じます。
そこをどう突くか。
何回か乾選手が素晴らしい入り込みをしましたが、決めきることが出来ません。
そうこうしているうちに、試合は拮抗したものになっていきます。
試合が動いたのは、後半に入ってから。
メンバーは、
岡崎
乾 香川 本田
水本 青山
太田 森重 昌子 酒井高
川島
太田と水本が入りました。
水本がボランチで使われていましたが、筆者もこのメンバーでボランチとして使うなら対人の強い水本かなと思っておりましたので、そういう選択でしょう。
ただし、初めてのボランチということで、ポジショニングがメチャメチャで、守備の強度は相当下がっていたかなとは思いました。
ただ、リードしている場面でカウンターを決めるために守備設定を低くするためには、でかくて強いボランチが必要ということで、水本を使ったわけで、これからもここの人選を考えていくことになっていくと思います。
今野は、背は高くないですけど競り合いには強いですけどね。
そして吉田麻を前に上げるというのも一度見てみたい気はします。
さて試合ですが、
再び、乾選手が素晴らしい入り込みをしましたが、決めきることが出来ません。
が、そのこぼれ球を太田が、素晴らしいクロスで岡崎の2点目(ダイビングヘッド)をアシスト。
この2点目も、既存の勢力の技術レヴェルでは生まれなかった得点だと思います。
それほど、太田の左足のクロスの質は高いです。
おそらく、日本で一番でしょう。
太田の課題は、守備力と、国際経験値でしょうね。
そのあたり、強い相手に積極的に使っていって欲しいと思います。
得点したのは岡崎。
いかにも岡崎らしいゴールでしたし、3点目の実質的なアシスト含め、守備や攻撃において獅子奮迅の活躍。
もう一人大変目立った選手が居ました。
それは、酒井高徳選手です。
この試合の守備、酒井高徳がものすごく効いていました。
相手カウンターの基点の潰し方。スペースのケア、運動量、スピード、パワー。どれも大変素晴らしかったと思います。
やはり、藤春や太田という左利きのライバルの登場によって自分の地位が脅かされ、その危機感が試合に現れていたように思います。
酒井高徳は、ドイツで超強力なアタッカー陣と対戦して経験値を上げていますからね。
ただ、組み立てやパス、クロスの精度といった部分では、太田や藤春の方に分が有ると思いますから、ここの競争が楽しみですね。
後半途中から
岡崎(川又)
宇佐美 柴崎 本田(大迫)
水本 青山
太田 森重 昌子 酒井高
川島
そしてやはり、宇佐美を挙げないわけにはいきません。
この試合、宇佐美が入ってから、明らかにサッカーの質が変化しました。
最初のパスなど背筋がぞくぞくするほどの質の高さでした。
相変わらず消えている時間もありますが、ここぞという時のスプリントの質も素晴らしかったです。
この試合、後半に入って人に強い水本を中盤に投入して、守備設定位置を下げてカウンター狙いにしています。
左サイドを担当していた宇佐美は、どうしても設定が低いので守備に下がらざるを得なく、宇佐美のストロングポイントが出辛い状況でした。
そんな中、相手コーナーキックからのリスタートで前線に猛ダッシュで駆け上がります。
そこに、青山から絶妙なロングパスが来ます。
そして絶妙なトラップから、全くスピードを落とすことなくボールをコントロールして瞬間的なキックで素晴らしいボールを岡崎に合わせます。
わずか数センチ届きませんでしたが、大変素晴らしいプレーだったと思います。
相当な技術レヴェルと、トップスピードにおけるコントロール力の高さを示しています。
筆者は、宇佐美がバイエルンに行く前のガンバの試合を見ていて、宇佐美は、カウンターの質に関しては、パスの出し手としても受け手としてもワールドクラスなことを感じていました。
ほぼ相手守備陣を独力でドリブル打開した4点目を含めて、やはり、この男にかける期待は大きいです。
よく、サッカー日本代表は、レギュラー組と、その他のレヴェルが開き過ぎているという議論を耳にします。
しかし、筆者は、そうは思いません。
もし筆者が監督になってメンバーを選ぶ権限があったとしたら、3つのチームを作って、その3つのチームの全てがワールドカップ出場出来るチームにすることが出来るだけ選手の層があると思っています。
たとえば、ザッケローニの主軸のチームと、関塚ジャパンの主軸がワールドカップ本大会に出た場合、筆者は、関塚ジャパンの主軸の方が上まで行った可能性が高かったと分析しているのです。
それは、やはりサッカーにおいて守備と攻撃が一体で、関塚ジャパンにおいては、得点に結びつけることが出来る守備が出来ていたからであり、フォワードがボールを失った場面でも、距離感が悪くないので、適切な守備が出来ていた事があるのです。
大久保が言っていましたが、「ザッケローニの攻撃のやり方だと、ボールを失った際の選手の距離感が開き過ぎているので、必然的にカウンターのリスクが高くなっていた」とのことでした。
ザッケローニは、バルセロナのようなサッカーをしたかったようなのですが、その本質が理解出来ていなかったため、世界に多発した「なんちゃってバルセロナ」になってしまい、攻撃時におけるボールロストの際のリスクマネジメントまで含めたバルサ型が出来なかったということなのでしょう。
ハリルホジッチは、きわめて現実的に、相手や試合の状況によってやり方を変えると明言しています。
90分間ハイプレスを続けるわけにはいきませんから、前半の15分ハイプレスして得点を奪ったら、一旦ポゼッションを重視したゆったりした時間を作り、相手のディフェンスを動かしながら前半を終え、後半に入ったら、高さと強さのある水本を中盤に入れて、守備の位置を後方に下げてカウンター狙い。
非常に正攻法な闘い方だと思います。
しかも、レギュラーを固定せず、その時に調子の良い選手を使うと言っています。
もちろん、今回の試合は親善試合であり、6人交代出来るということは、あります。
でも、良い試合をしたことは、この試合を見たほとんど人が感じたのではないかと思います。
良い音楽、良い演奏がそうであるように、良いサッカーも、90分間が一定ではなく、様々な流れがあるものです。
それをどう設定していくのか。
これからの、サッカー日本代表の闘い方を見守っていきましょう。
次がどうなるのか楽しみです。
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