テーマは「The beautiful people」。人から注目を集めるセレブをイメージしている。ローリングストーンズやビートルズが写るモノクロ写真に影響を受け、リネンのグレーと鮮やかな色味をミックスすることで表現。写真に残るミック・ジャガーとビアンカ・ペレス・モラ・マシアスのカップルなど当時のセレブ達の自由な雰囲気を再現した演出だ。

これまでよりさらに上質な仕上がりとなった今季。自由で軽い気分のスタイルに対し、しっかりとした服づくりを披露。コートやタイトスカートに起用されたレオパード柄はリネンの黒染めとチャコールグレー染めにより、素材を生かした濃淡を利用したもの。チェーンステッチで鶏を描いたカットソー、裏地の上にレースをあてウールをたたくという三層の独自の手法で透け感を引き出したブラックスーツなど素材感や細部にとことんこだわった。

「良いものを着ていると気分が高揚する。モデルさんもそれを感じてくれたようでこれが欲しい、あれが欲しいと、対応するのが大変でした。着てみると気持ちがいいみたいです。」と手応えを感じたように語るデザイナーの熊切氏。

ヌードベージュのセットアップやチェックのトレンチ。グリーンやネイビーや春らしい新鮮味をプラスしている。レディースではマリアンヌ・フェイスフルを想起させるような女優帽や水色のプードルファーマフラーなど小物類を展開。
レディースのダブルスーツが登場するなど、重心を下に下げたバランスを特徴とし、マスキュリンな印象。リネンの他、キュプラシルクやシルク100％と天然素材を駆使した。

Text:Tomoka Shimogata