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HIROSHI ASHIDA

蘆田 裕史 / Hiroshi Ashida

1978年、京都生まれ。 京都大学大学院博士課程研究指導認定退学。
日本学術振興会特別研究員PD、京都服飾文化研究財団アソシエイト・キュレーターを経て、京都精華大学ファッションコース専任講師。
ファッションの批評誌『vanitas』編集委員、ファッションのギャラリー「gallery 110」運営メンバー、服と本の店「コトバトフク」運営メンバー。

e-mail: ashidahiroshi ★ gmail.com(★を@に)
twitter: @ihsorihadihsa

『vanitas』の情報は↓
http://fashionista-mag.blogspot.com/
http://www.facebook.com/mag.fashionista

samulo

旅行に行くとき、前もってその土地の情報──観光地やお店など──を調べておかないと、なかなか効率よく回ることはできませんが、何も調べない旅行もまた楽しいですよね。予想もしなかったものに邂逅することができたりして。

先日、鹿児島に少しだけ滞在したのですが、そのときに出会ったブランドの紹介を。

コミュニティ・デザイナーの山崎亮さんが関わったという「マルヤガーデンズ」をふらっと見に行き、たまたま入ったお店の人に鹿児島のお店を色々聞いて回ってみました。(ちなみにそのお店というのはCHIN JUKAN POTTERYというところで、ここも素敵なお店でした。)

教えてもらったお店に行って、そこに置いてあった別の店のショップカードが気になり訪れた店がsamulo。ジュエリーブランドのアトリエ兼ショップです。

繁華街から少し離れた地域にたつひっそりとした佇まいの、ここを目的としていなければ通り過ぎてしまいそうなお店で、何というか、月並みな言い方ではありますが、自分がどこにいるのかを忘れさせてくれるような場でした。ディスプレイ、音楽、什器、そして作品のすべてが調和の取れた空気を構成している、とても心地の良い空間。

紀元前から現代まで、洋の東西を問わず集められたモノを使いながら一点一点手作りされたネックレスやブレスレットは、いわゆるラグジュアリーな印象を与えるものではありません。むしろ、形や色の違うパーツが密度高く組み合わされ、ともすれば無秩序な、雑然とした印象を与えかねないものです。それにもかかわらず、言ってみれば洗練されたプリミティヴィティとでも形容できそうな、あまりに優雅な雰囲気をたたえていました。

僕が無知なだけで、もしかしたら有名なブランドなのかもしれません。が、地方にはsamuloのようなブランドがまだまだあるのかと思うと、何だか嬉しくなってしまって、このブログが地方のブランド紹介になってしまいそうです。

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