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HIROSHI ASHIDA

蘆田 裕史 / Hiroshi Ashida

1978年、京都生まれ。 京都大学大学院博士課程研究指導認定退学。
日本学術振興会特別研究員PD、京都服飾文化研究財団アソシエイト・キュレーターを経て、京都精華大学ファッションコース専任講師。
ファッションの批評誌『vanitas』編集委員、ファッションのギャラリー「gallery 110」運営メンバー、服と本の店「コトバトフク」運営メンバー。

e-mail: ashidahiroshi ★ gmail.com(★を@に)
twitter: @ihsorihadihsa

『vanitas』の情報は↓
http://fashionista-mag.blogspot.com/
http://www.facebook.com/mag.fashionista

高校生向け課題図書

最近、全然ブログを書く時間が取れないので、その場しのぎに別のところで書いた書籍紹介を。


以下は精華大のファッションコースに入学する前の課題図書リストです。
大学に入る前にこんなものを読んでいてくれたらいいな、という僕の個人的な願望です。
ファッションの勉強している学生さんも是非。

◆鷲田清一 『ちぐはぐな身体──ファッションって何?』(ちくま文庫、2005年)
衣服は私たちの日常生活に欠かせないはずなのに、改めて衣服について考えることってあまりありませんよね。鷲田さんの専門である哲学の視点から、人間の身体と衣服の関係について考えるきっかけを与えてくれる一冊です。

◆古市憲寿+國分功一郎 『社会の抜け道』(小学館、2013年)
IKEAや保育園から選挙やインターネットまで、日常的な物事について社会学者(古市さん)と哲学者(國分さん)が会話を繰り広げています。何気なく見ているものについて深く考えることができれば、あなたの視野は必ず広がるはずです。

◆坂口恭平 『独立国家のつくりかた』(講談社現代新書、2012年)
「生きていくために本当にお金は必要なの?」「大地は自然のものなのに、土地を所有できるっておかしくない?」など、言われてみれば「たしかに!」と思ってしまう疑問を出発点に、私たちの世界の見方を変える方法を教えてくれます。


◆東浩紀 『弱いつながり──検索ワードを探す旅』(幻冬舎、2014年)
インターネットが発達した現在、私たちは日本にいながらにして、ヨーロッパの景色も、アフリカの政治情勢も、南米の文化も知ることができます。そのような現代社会では、何かをするのに「場所性」など関係ないと思われがちですが、実はそうではないということを教えてくれる本。平易な言葉で書かれてはいますが、れっきとした哲学の本です。

◆ヨースタイン・ゴルデル 『ソフィーの世界──哲学者からの不思議な手紙』(NHK出版、新装版2011年)
「哲学って難しそう」と思っている人に読んでほしい一冊。この本は、14歳の少女ソフィーを主人公とするミステリー仕立てのファンタジーなのですが、れっきとした哲学の本でもあるのです。物語を楽しみながら哲学の歴史まで知ることができてお得感いっぱいです。

◆ブルーノ・ムナーリ 『モノからモノが生まれる』(みすず書房、2007年)

ファッションデザイナーになりたい人は、まず「デザイン」がどのようなものなのかを知るべきです。料理人が包丁の使い方をまず身に着けるように、スポーツ選手がまず筋トレや走り込みをするように、オーソドックスなデザインの考え方をまず身に着けてほしい。その教科書としてうってつけなのがこの本です。

◆安部公房 『箱男』(新潮文庫、1982年)
世の中にあふれる小説のなかには「ファッション論」として読めるものがいくつもありますが、『箱男』はその代表だと思います。小説でもアニメでもマンガでも、どこにでもファッションについて考えるきっかけはあるのです。この本をきっかけに、何かを読む/見るときに「ファッション」を意識するようにしてください。

◆山崎亮『コミュニティデザイン──人がつながるしくみをつくる』(学芸出版社、2011年)
「デザイン」という言葉は「モノ」を作ることだけを指すのではありません。人と人との関係であったり、場所の使い方であったり、さまざまな「コト」をデザインによって改良することができるのです。そんなことをこの本で学んでもらえたら。


◆谷崎潤一郎『陰翳礼賛』(中公文庫、1995年など)
谷崎潤一郎はとてもきれいな日本語を書く作家です。小説としては「刺青」などを読んでもらうのが良いのですが、まずはデザイン論として読める本書から手に取ってみてください。

◆ヴァレリー、ボードレール、ランボー、リルケの詩集から1冊
特にこの4人じゃないといけないというわけではなく、古典的な詩を読んでください。というのは、言葉による表現の幅を広げてほしいからです。言語化は感覚と密接な関係を持っています。なんでも「かわいい」で済ましていては、感覚は豊かになりません。まずは詩人や小説家の表現に触れる機会をできるだけ多くし、語彙や表現力を豊かにすることから始めてみましょう。

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