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DAIJIRO MIZUNO

水野大二郎 / Daijiro Mizuno

1979年、東京生まれ。Royal College of Art 博士後期課程修了、芸術博士(ファッションデザイン)。

京都造形芸術大学 ファッションデザインコース非常勤講師/同大学ウルトラファクトリー・クリティカルデザインラボ ディレクター/
DESIGNEAST 実行委員/FabLab Japan メンバー/
ファッション批評誌 FASHIONISTA(仮)を蘆田裕史と共同責任編集の元、2012年2月に刊行予定。

Twitter アカウント:@daijirom / @mag_fashionista / @narumizu2011 / @designeast01
Webサイト:www.daijirom.com

Critical Design Labについて

こんにちは、水野です。

Life & Designの楢崎様、コメントありがとうございました!
今年もDESIGNEASTを宜しくお願い致します。

このブログは、校正をせずに生の勢いで書くというルールを自分に課しているため
後で読み込むと日本語が一部おかしかったりします。が、それも併せてお楽しみください。

先週まで京都・Artzoneにて、「ドリフのファッション研究室」にも主宰者として登壇されていた、建築家の藤原徹平さんファシリテーションによる対話実験が開催されていました。

そして、5/29には現在、大学で上司?にあたるコミュニティ・デザイナーの山崎亮さんが情熱大陸で特集されていました。

その話をしたくてしょうがないのですが、そこはあえてこらえ、別の話をしようかと思っています。しかし、非常に面白かったです。情熱大陸はテレビだから仕方ないのですが、ファッションクラスタの方はぜひ、FASHIONISTAの共同責任編集をしている蘆田くんが登壇した回のハッシュタグをtwitterで追いかけてみてはいかがでしょう。#az0528です。

横断領域的な知の構造について様々な角度から議論が会期中されていたわけですが、もちろんファッションもその射程に入っているというところがいいですよね。対話実験では、建築家の言語化能力の高さは明らかですが、他ジャンルの人たちの身体性のある言語のシャープさ、「精度」に関してもやはり別の面白さがあると思いました。

自分の博士論文でも書いたのですが、単純な二項対立としての知/肉や、理論/感覚というのは非常につまらない。そうではなくて、その間の交通論を考えるべきであって、それはファッションでも不可能ではない。デザイナーとしてかつてやってた時のことを振り返っても、そう思います。菊竹清訓の「か・かた・かたち」とか、そのモデルとなる体系はなんでもなんでもいい。問題は、語るべき方法論をファッションの中に設定する試みをしない限り、いつまでたっても言語/非言語の間を結ぶことができないわけですから。

さて、そんなことを書きながら、本日の題はUltra Factory Critical Design Labについて書こうと思います。まず、京都造形芸術大学に位置する、謎の工房Ultra Factoryについて。2008年の6月に、現代美術作家のヤノベケンジさんをディレクターに設立された工房施設です。ここでは、第一線で活躍する様々なアーティスト/デザイナー/エンジニアなどの方をお招きし、学生と共に制作するプロジェクトを展開しています。もちろん学生1人でも制作をしにくることができますが、もっと早く現場のことをしり、苦悩するアーティストやデザイナーと共に制作に従事することから、より効率よく「手で考える」ことを達成できたらと思っています。

その中で、僕はDESIGNEASTの実行委員でもある原田くんと共にDesign Labを運営しています。ここではデザインをしっかりプロセスをふんで制作するために言語化し、その上で作品をつくることを目指しています。簡単にいうとそんな感じで、学生を毎年10人くらい輩出しています。

その名前、Critical Design Labのクリティカル=批評的/批判的な、というのは、批評的精神を引き受けつつデザインをする、という意味で、デザインを否定しているわけではないです。ニュアンスとしてよく、批評=否定しまくる、という感じで受け止められがちですけど、批評は否定ではないです。その名前の由来の一つは、前述の「言語化」することにあるのですが、もう一つはAnthony Dunne とFiona Rabyが提唱する「Critical Design」にもあります。今月のAXISの表紙になってる二人ですね。

Fionaさんにはレクチャーをしに来て頂いたこともありますが、とにかく面白いのは
「デザインは問題解決をするだけでなく、問題提起するためにもある」という観点です。現在アーティスト?として活躍中のスプツニ子こと尾崎ヒロミさん、Design Tide Tokyoに出展していたスズキユウリくん、「覗かれ穴」の岡田憲一くん、アンカーズラボのメンバーの柳澤知明くんなど、後進に面白い人たちが沢山でてきました。あと、アンカーズラボ/ライゾマがアルスエレクトロニカで受賞されたとのこと、おめでとうございます。

ファッションデザインでは、「問題解決型」のデザインは少ないです。特にハイファッションの世界では、足が変形しようが、チクチクして着づらかろうが、洗濯できない素材だろうが、そんなことは関係ないわけです。強いて言えば、解決すべき問題は「美しくみせる」ことでしょうか。でも、プロダクトデザインなどの世界では問題解決を基本に位置づける場合が多いわけですね、「好転する」ことを目的としているわけです。

しかしながら、「好転」することを拒み、むしろ我々を挑発してくるような作品をつくるためのナラティブによって、サイエンスフィクションの小説のように私たちの判断を一時停止させる力がデザインでもできる、という言い方をTony Dunneはするわけです。その為に現在をよくリサーチしよう、そして素晴らしい作品をつくろう、ということで、社会科学的見地からのリサーチを多岐に渡って彼らは行っています。今はバイオテクノロジー系にはまっているようですが。

なんにせよ、そのようなデザインの在り方も含めて横断的視座を育てるためにDesign Labは運営されています。だから、リサーチ&デザインの&の部分をとても大切にしています。

ファッションデザインでは、「問題提起」し、我々を挑発することもあまりない。社会と私たちの関係性について挑発するような作品はすくないのではないでしょうか。実用的に「問題解決」することも少ない。じゃあ何をしているのか。様々な社会的問題に対して、解決も提起も何もしないで「表現」する、というのもこの社会状況下いかがなものか?
なんていう思いから、ファッションショーが延期されたりしたのでしょうか。

そうだとするなら、ファッションデザインとは果たして何なのか。どういう社会との関係性を構築すべきなのか。そのための作品とは、どのようにつくり、どのようなアイデアを提示していくことができるのか。これまで、議論の対象にもならなかったような「建築」的な言語化能力も身につけていくことから、これまでのファッションデザインの領域で語られてきたアイデアがより明確になる契機がそこにあるのかもしれません。

自分を中心にした同心円を描くにあたり、自分近辺の話のみならず、遠くの社会圏に至るまで描き、そららに等価に価値を見いだすことはファッションに可能か。それは倫理、環境、歴史、社会、科学技術など様々な文化にも言及することになるやもしれませんね。

Critical Designについて詳しく知りたい方は、Hertzian TalesとかDesign Noirとかをおすすめします。とても面白いです。映画「Objectified」にも出てました。

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