先日、豊洲にある CAFE;HAUS というお店で、とある集まりがありました。
この CAFE;HAUS というお店、豊洲という東京の臨海部で、ここ数年再開発が進み超高層マンションがニョキニョキ建ちはじめた場所にあります。銀座から車で10分程度で着いてしまうようなところです。
そこで、なんと庭でバーベキューができてしまうのです。
残念ながら、某大規模複合商業施設に遮られて、海を望むことができないのですが、このロケーションで、潤沢な庭があり、そこでBBQを提供するというスタイルは、今までになかったお店のあり方だと思います。
BBQというとよくあるのは、場所の提供だけ行い、食材や調理は利用者に委ねるというものですが、このお店は食材はもとより、焼き方までも指南していただけるのです。
驚くべきことに、この焼き方次第で全く味が変わってしまうのです!奥が深い。
ぼくたちは、オーナーの石渡さんにほぼ全て焼いていただいたので、完全に満喫できたと思います。
また、食材へのこだわりはもちろんとして、使う機材や炭などにいたっても厳選されています。
それも、ただいいものを集めたというわけではなくて、提供したいサービスに合わせて、それぞれのエレメントが選択されているのです。
この姿勢は本当に素晴らしいと思いました。
決して華美ではなく、純粋に食材の本質を最大限に引き出すための技術を提供する。
それも、一方的に提供するのではなく、お客さんも調理というプロセスに参加するというBBQの特徴もあります。
当然、そこにはコミュニケーションが生まれます。
それだけでなく、場所の魅力も最大限に生かしている。
そして、単純に楽しい。
何気ない一夜の晩餐の場なのですが、このお店のありかたにこれからの建築も含めたデザインに求められる姿勢を再認識させられた気がします。
それは、本質へのまなざし、技術の追求、プロセスの共有化、コミュニケーションの創出です。
これらがないと時間を超えて生き残れるものは生まれないと思います。
この姿勢はきっとこれからの日本に必要な新しい形の物語に通じていくと思います。
それは、一方的とも言えるような大きなところで作られる大きな物語ではなく、とはいえ、小さなところに閉じこもって自閉的な小さな物語を作るのではなく、小さなところからたくさんの人が共有できる大きな物語を作ることです。
決して人間が抗えない自然の驚異に絶えずさらされ、人口が右肩下がりで減っていき、地域の格差が大きくなって行く。
そんなこの国のこれからを考えると、今までのような発展的近代幻想を抱いているような姿勢では立ちゆかなくなるでしょう。
集まった面々がブランディングデザイナー、不動産コーディネーター、銀行で都市の再開発の投資を担う方、大学で教鞭を執る方、建築家とそれぞれ違う立場でデザインに関わる人たちということもあって、そんなことに思いを馳せました。
ぜひ一度足を運んでみてはいかがでしょうか。