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MASATO ASHIDA

蘆田 暢人

建築家
1975年 京都生まれ
京都大学大学院工学研究科建築学専攻修士課程修了
内藤廣建築設計事務所を経て独立

蘆田暢人建築設計事務所 代表
ENERGY MEET 共同主宰

e-mail: mstashd@gmail.com
twitter: @masatoashida

post3.11 これからデザインにできること

10月26日から11月6日まで、六本木のAXISギャラリーで「post3.11 これからデザインにできること」展が開催されます。

post3.11 これからデザインにできること

ぼくは、11月5日のデザインミーティングに参加します。テーマは「探す/切り開く」。エネルギーの専門家お二人との鼎談です。

まだどのような話になるかまったくわかりませんが、エネルギーをデザインという切り口でとりあげるトークイベントはほとんど例がないと思いますので、興味を持たれた方はぜひご参加ください。

エネルギーの話はすぐにファッションデザインにダイレクトに結びつく話ではないかもしれません。ただ、現代においてエネルギーは衣・食・住とともに人の生活になくてはならないものです。
今の日本においては、エネルギーは技術論あるいは制度論の文脈でしか取り扱われていません。それを人に関わるところまで引き寄せ、文化として形をつくっていきたい。
そのきっかけとなるような話ができればと思っています。

森美術館では現在、「メタボリズムの未来都市展」という1960年代に描かれた建築と都市にまつわる展覧会が開催されています。

そのメタボリズムというムーブメントの発端となった1960年の「世界デザイン会議」は、建築家を始めグラフィックやプロダクトのデザイナーが世界中から集まって、モダニズムを超克する新たなる社会の未来像を議論し合った場でした。

このメタボリズムにいま再び注目が集まっているのは、3.11以後の社会を再構築していかなければいけないという意識の集積からでしょう。
そのモデルとしてメタボリズムが取り上げられてるような気がします。

しかし、これからの復興は、60年代に描かれたものとは全く異なる形をとるでしょう。
今までのような右肩上がりの成長を前提にしたものでは成立しません。
今後人口が減り続ける日本において、ベクトルは左上に向かうべきです。
左向きとは、文明の発展ではなく、人の「生」の根源へと目を向けるベクトルです。
そして、その「生」のあり方を向上させていく、そのように文化を紡いでいかないといけないと切に思います。

世界デザイン会議には、ファッションデザイナーは参加していませんでした。
高度成長期の国家あるいは国土主体の大きな物語に、ファッションがアンカーできなかったのは、時代の流れからすると当然だったのでしょう。
ちなみに、エネルギーにはデザインというマインドさえ生まれていませんでした。

左上に向かうベクトルの主体は、国家でも国土でもなく、人です。
あるいはもう少し範囲を広げて、地域やコミュニティでしょう。
そこではファッションの役割が大きくなるような気がしています。

「これからデザインにできること」
答えの見つからない問いかもしれませんが、デザインに関わる人間は皆考えなければならないテーマではないかと思います。

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